「うん……いいよ」
────かたじけない。私の名前は次朗衛門。正しくはその片割れだが。
「次朗衛門。じゃあ次朗ちゃんだね、わたしはみさき。よろしくね」
────次朗ちゃん……まあいい。全ては私の責任。全ては奴らの母なる船ヨークがその機能を失いかけている事が原因だ。
────奴らはヨークの助力無しには魂だけで存在を保っていられないのだ。追いつめられた奴らは、下等生物の肉体を奪うという屈辱的な選択まであえて受け入れたらしい。
────500年の時に、我が封印も綻びが生まれている。封印を解けば全ての怨念が流れ出すが、我が全ての武具がそろえばそれもまたなんとかできよう。
────刀と闘衣はここにある。みさき殿、あなたの助力ありがたく受け入れさせてもらう。
「気にしなくていいよ。それより、次朗ちゃん。楓ちゃんを助けてあげて。楓ちゃん、一人で怨念達を相手にしているの」
────楓……エディフィルの片割れか!! 委細承知!! 我は全力を持って救うことを誓おう!!
私の身体が自分の意志とは関係なく動く。でもそれはさっきみたいな嫌な感じじゃなく、
(お父さんのような、力強く安心できる感じ)
次朗ちゃんと私は楓ちゃんを助けに道を引き返した。
その頃……
A.楓がどうなったか気になる。
B.柳川達はどうなってるだろう?
B
あ、済みません。その頃……の上の行こう脳内変換加えてください。
後ろで解放された怨念達の叫びが聞こえる。
それには構わず次朗ちゃんと私は楓ちゃんを助けに元来た道を引き返した。
アズエルの思いのこもった闘衣を纏い、リズエルの魂が宿った刀を携えて。
あ……先越されちった。がんばれ〜。
ちなみに漏れが書いてたら楓は死んでしまってたぞ〜
「ハハハハハ! どうした次郎衛門の子らよ! キラマらの力はその程度か!?」
『チッ……』
数が多すぎる……! しかも単体もかなり強い……!
「柳川さん! 耕一さん! 下がってください! 毒電波の嵐をぶちかまします!」
「ああっ!」
「………壊れろ! 壊れろ! みんな壊れちまえぇぇぇぇぇぇぇっっ!!!!!」
バチッ、バチッ、バチバチバチバチッ!!!!
……私にもわかる。電波の能力のない、私ですら。【波】が渦巻いているのを。
「ほう……幻術使いか……面白い! 我と勝負だ!」
『な……なんだと!?』
見ると、初音ちゃんからも同じような【波】が放出されている。
「ぐぅぅぅぅぅっ……!」
「その程度か! 所詮家畜は……家畜ということよ!」
「うわあっ!!」
とうとう祐介が弾き飛ばされた。すかさず半鬼が飛びかかるが、そいつらは私が叩き落す。
[ヨーク、主砲、エネルギー充填率30%……]
「クソッ、鬼の武具はまだか!?」
―――――その時! ヨークの裏から現れたのは……
A 舞だった。
B 千鶴さんたちだった。
C 血まみれの楓ちゃんを抱いたみさき君だった。
D 敵の増援だった。
C
Dでおながいします
「来るぞ、構えろ耕一!!」
「言われなくてもわかっているさ!!」
私と耕一は左右逆の方向へと跳躍し、半鬼どもへと立ち向かう。
「狩猟者としての誇りさえ失った愚図共め……お前達の相手など人の身で充分だ」
冷静な思考を失い、誇り高き狩猟者から単なる獣に成り下がった半鬼。
私はそれにかつての自分を重ね合わせいらだちを覚えた。
私は……
A.本物の狩猟者としての力を見せつける。
B.あくまでも時間を稼ぐことに専念する。
はう、今度は自分がミスってやんの……
上のは気にせず続きをどうぞ。
冷静な思考のもとに、Bでいきましょう。
「あ、あれは、みさき君なのか?」
鬼の武具の一つと思われる刀を口にくわえ、光を放つ外套に身を包み
血にまみれた楓ちゃんをその手に抱く姿は…
「美しい…」
戦闘の最中だと言うのに、目を奪われるには十分だった
しかし、さらに我々の目に映るのは…おそらくみさき君達を追跡してきたのだろう
更なる、半鬼の集団だった…
…で>40のBと言う事でどうです?
「……ダリエリ、私はここにいるぞ……」
『み……みさき君!』
見ると、ヨークの裏からみさき君と……彼女に抱かれた血まみれの楓ちゃんが現れた。
「……次郎、衛門……?」
ダリエリが一瞬呆けた顔をする。
「……次郎衛門……なのか?」
「ああそうだ……我が子らをいたぶってくれたようだな……」
「次郎衛門……次郎衛門……ジローーーーエモォォォォーーーン!!!!! 者ども! ヤツだ! 次郎衛門だ!
血祭りに上げよ!!!!」
全ての半鬼が向きを変え、みさき君に襲いかかる。
『みさき君! 楓ちゃん!』
「笑止ッ…! 鬼、即、斬ッッ!!!」
刹那、みさき君に触れかけた半鬼たちは、「紅」い「霧」に「消えた」。
『こ……これが一薙で数匹の鬼を屠ったといわれる鬼切丸……』
「……まいったまいった、俺でも全然かなわねぇ」
耕一が楽しそうに吐き捨てた。
「ヌゥゥゥゥゥッ!! まだまだァ!」
ヨークの中から新たな半鬼が現れた……先程よりさらに一回り大きな連中だ。
『チッ……』
「そこまでだ!!!」
今度はヨークの側面……森の中から千鶴さんたちが現れる。
「次郎衛門様! ザコは私たちに任せてください!」
「暴れてやる暴れてやる暴れてやるぁぁぁぁ! テメェら、よくも楓を! 初音を!」
「……電波、届いた?」
「リズエルにアズエルか! 感謝する!」
「チィィィィッ!」
ダリエリが悔しそうに歯噛みする。
「……魔物、そこまでだ」
「な……っ!?」
『ま……舞!』
見ると、満月に照らし出されたヨークの上……ダリエリに肉薄したところに舞の姿があった。
「私は……魔物を……討つ者……」
A みさき君に鬼切丸と力の闘衣を舞に投げるように言う。
B 舞に下がるように言い、首飾りをみさき君に渡すように言う。
C ダリエリを殺るのは……私だ!
Cしかない!
うわああっ! すまん! リロードし忘れた! 忘れてくれ!
C、闘えっ!
大丈夫だ48氏、微妙に繋がっているぞ!
それよりもだ、自分は選択肢を選んでしまったわけだが続きを書いていいんだろうか。
何だか手前味噌な気もするし、展開操作みたいな感じもするし……
混線してるけど、まあ妥協(脳内変更)できる範囲だと思われ
いいんじゃないでしょうか
……ええと、ええと……じゃあ、次のは漏れが書くから、その選択肢の次のは50氏が書く、ってのは?
53 :
修正案:02/07/13 00:47 ID:2V59QU3a
「あ、あれは、みさき君なのか?」
鬼の武具の一つと思われる刀を口にくわえ、光を放つ外套に身を包み
血にまみれた楓ちゃんをその手に抱く姿は…
「美しい…」
戦闘の最中だと言うのに、目を奪われるには十分だった
「……ダリエリ、私はここにいるぞ……」
『み……みさき君!』
見ると、ヨークの裏からみさき君と……彼女に抱かれた血まみれの楓ちゃんが現れた。
「……次郎、衛門……?」
ダリエリが一瞬呆けた顔をする。
「……次郎衛門……なのか?」
「ああそうだ……我が子らをいたぶってくれたようだな……」
「次郎衛門……次郎衛門……ジローーーーエモォォォォーーーン!!!!! 者ども! ヤツだ! 次郎衛門だ!
血祭りに上げよ!!!!」
全ての半鬼が向きを変え、みさき君に襲いかかる。
『みさき君! 楓ちゃん!』
「笑止ッ…! 鬼、即、斬ッッ!!!」
刹那、みさき君に触れかけた半鬼たちは、「紅」い「霧」に「消えた」。
『こ……これが一薙で数匹の鬼を屠ったといわれる鬼切丸……』
「……まいったまいった、俺でも全然かなわねぇ」
耕一が楽しそうに吐き捨てた。
「ヌゥゥゥゥゥッ!! まだまだァ!」
ヨークの中から新たな半鬼が現れた……先程よりさらに一回り大きな連中だ。
『チッ……』
54 :
修正案:02/07/13 00:49 ID:2V59QU3a
「そこまでだ!!!」
今度はヨークの側面……森の中から千鶴さんたちが現れる。
「次郎衛門様! ザコは私たちに任せてください!」
「暴れてやる暴れてやる暴れてやるぁぁぁぁ! テメェら、よくも楓を! 初音を!」
「……電波、届いた?」
「リズエルにアズエルか! 感謝する!」
「チィィィィッ!」
ダリエリが悔しそうに歯噛みする。
「……魔物、そこまでだ」
「な……っ!?」
『ま……舞!』
見ると、満月に照らし出されたヨークの上……ダリエリに肉薄したところに舞の姿があった。
「私は……魔物を……討つ者……」
C ダリエリを殺るのは……私だ!
じゃあ……とりあえず書いてみます。
『舞! 下がれ! ダリエリは……私が殺るっ!』
「……わかった」
舞は素直にヨークの裏に降りた。代わりに、私がヨークの上に飛び乗る。
月が美しい。……ここだけ別世界のようだ。
下の闘いの音もどこか遠くの話……
「ほぉ我が子よ! 私を置いてダリエリと闘うか! 面白い……これを使え! これならばお前も使えるはずだ!」
そう言って、みさき君こと次郎衛門は私に力の闘衣を投げつけた。
「……愚か者が。素直に次郎衛門に任せれば勝てたかもしれんものを……」
初音ちゃんの体から黒い瘴気が噴出し、巨大な鬼の形を作る。
「我が名はダリエリ……! エルクゥ一族の長なり……」
A どんな手を使っても勝つ!
B 理性を失った勝利に何の意味がある?
Bでしょ、ここは
Aは破滅エンドっぽいし…
Aでいきたいが、bad臭いからB
54 C 「ダリエリを殺るのは……私だ」で
初音ルート確定と見た
>58
そうでもないよ
つーか…うん、これから次第と思いたい
ふと気付いた。
当初の目的ではサーヴァントを助けるつもりだったのに……
容赦無くぶっ殺しちまってる(w
いや、そこは500年も前の思考を持つ次朗衛門だったからということで。(w
かなり厳しいけど(w
柳川たちに殴られたりやられたりしたなら「実は死んでなかった」っても言えるけど……
さすがに「血煙」じゃあなぁ(w
肉体無いし。
私は冷静な思考を失い、誇り高き狩猟者から単なる獣に成り下がった半鬼をヨークの上から見おろした。
内に眠る狩猟者が檻の鍵を開けろとうるさく言うが、理性を失った勝利になんの意味があるというのだろうか。
「執念深くも現の世に現れた死に損ないめ。亡者はおとなしく墓の中で眠っているのがお似合いだというに」
「ほざけ、この獲物に満ちた世界をお前は素晴らしいと思わないのか? お前達を殺し、次朗衛門の匂いがする土地を焼き尽くし、
この星は我々の狩猟場となるのだ。リネットには我々の依り代となる子供を孕ませてくれる。
残念ながら、エディフィルの方は先に息絶えてしまったようだがなぁ!!」
瘴気の鬼が黒曜石の如く光る爪を振りかざす。
速い!!
狩猟者としての本能がかろうじて一撃を避ける。一瞬でも躊躇をしていたら今ので私の命は刈り取られていたに違いない。
「さすがに、古代の鬼と言うことだけはあるな」
「当然。お前達のような雑種如きにナニガできるというのだ。ククク、快い。地上最強とも謳われる狩猟者をこの手で狩る。
果たして宇宙にこれ以上の悦楽が存在するというのか? お前も我らが血に連なるというのならわかるだろうに」
「悪いが、それはお前達だけの理屈だ。同じ狩猟者といえど、人は、鬼畜生とは違うのだよ!!」
さすがは鬼の武具。人の姿のままであっても、鬼と化した時以上に力が漲ってくる。
私は鬼の力で凶器と化した剛腕を振りかぶり、ダリエリの頭部を狙い叩きつける。
だが……
「無駄だ雑種! 真なるエルクゥと化した我には、そのような肉の一撃など通用しないわ!!」
「むぅっ!」
立て続けに繰り出されるダリエリの攻撃をすれすれで避け続ける。
何撃かはかすめるが、鬼の闘衣のおかげで致命傷にはほど遠い。
だが、こちらの攻撃も相手には全く効果を及ぼしていないようだ。
ならば、どうする……?
A.みさきから鬼斬丸を受け取る。
B.舞からエルクゥの首飾りを受け取る。
両方借りろよ…とか思いつつA
柳川に鬼切丸は扱えないはず
このままでは埒があかない……!
そう判断した私は、鬼切丸を使うことにした。鬼である私が使うのはかなりの危険が伴うのは承知の上だ。
だが、伝説にあるように、確かにコイツは剣の力がないと倒せない……!
『次郎衛門様……! 剣を、鬼切丸を、俺に!』
下で半鬼を屠りながら次郎衛門は答える。
「なに…っ!? 本気か? 確かに今キサマは鬼化はしていない。だが、それでもキサマが鬼であることに代わりはない。
……肉体がどうなるかわからんぞ?」
私は、迷い無く答える。
『承知の上!』
「……その意気やよし! 使うがいい、我が魂の剣を!」
ォォォォォオオオオオオオン!!!!!
空気を切り裂き、鬼切丸が投げつけられる。
私は目も配らず、それを受け取る。
パシッ!
『これが……リズエルの爪……鬼切丸……』
ビリ……ビリ……ビリビリビリビリビリ………!!!!
「ツ…ゥ…ッ!」
瞬間、体中に激痛が走る。
『だが……この程度ッ!』
「ヌウ……ッ!」
耐えてみせる!
A 一気にダリエリを殲滅する。
B 初音ちゃんに呼びかける。
なんつーペースの早さだ。
読み切れねーぞゴルァ!
Bだ、突っ走れ〜
『初音ちゃん! 聞いてくれ! 初音ちゃん!』
「血迷ったか!」
フォン! フォン! フォン! ピッ!
ダリエリの繰り出す爪が空を、あるいは私の体を徐々に切り裂いていく。
……私の右手には伝説の鬼切丸が握られている。確かに、これを使えば古代の鬼であるダリエリに対抗することもできるだろう。
『だが……私に、私に初音ちゃんを斬ることなど……!』
「……魂まで家畜に売り渡したか! キサマなど同族として見るに耐えん!」
『好きに言え! 狩猟者の論理などが崇高と言うならば……私はそんなものはいらん! 私は人間だ! 泥にまみれても、私は人間でありつづける!』
ダリエリの怒気が膨れ上がる。
「こ・の・か・と・う・せ・い・ぶ・つ・ガァァァァァァ!!!!!」
必殺の一撃が来る……! 力の闘衣も、これには耐えきれるか…!?
A 反撃する。
B 受けとめる。
頑張れ柳川っ…。
Bで。
B。楓シナリオを思い出した…
「…(何という瘴気だ…気を抜くと意識ごと刈り取られる錯覚さえ起こす…
どれくらい耐えれるのか…)」
かろうじて、致命傷は避けたもの血の量は看過できるものではなかった
「…しかし、主等はつくづく我を苛立たせる……見過ごすわけにはいかんなぁ!」
初音の愛らしい容貌からは想像もつかない言葉の数々…
「…メロ…」
「ああ、何をいっておる?死に損ないが辞世の句でも読み始めたか、最もそのような
感性など理解出来んがなぁヒャハハハハ」
「…止めろと言っている!!その姿で、その声で…それ以上…それ以上…」
殺し合いの最中柳川の瞳から涙が溢れ出す…ダリエリは驚いたように目を見開き
「…ハ?ハハハハハハ、気でも触れたか次郎衛門の腐れ形見?」
A、自分の本心を明かし説得を試みる
B、血族としての立場は崩せない
Aで…
『が……ふぅ……』銀色に輝くヨークの甲板。そこに私の血で真っ赤な模様が描かれる。
「柳川!」
「小僧!」
「先生!」
「叔父さん!」
「今、私が手を少しひねればキサマの心の臓は潰れ去る……最後に何か言い残すことはあるか?」
『は……初音……ちゃん……』
しぴぴっ。
初音ちゃんの顔に私の返り血がかかる。
『好き……好きだ……俺は、キミを愛している……』
「……豚めが!」
ダリエリが手に力をこめる。その時……
「やめてぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!!!!」
初音ちゃんが……初音ちゃんがダリエリの元を離れた!
「やめて……やめて……やめなさい!!!」
『は……初音ちゃん……』
次郎衛門の目が輝く。
「小娘! 剣だ! 剣を取れ!」
指示に従い、初音ちゃんは私の手から鬼切丸をもぎ取る。
「リネット! キサマ!! またしても我らを……!」
初音ちゃんの目つきが変わる。
「……ダリエリ、今こそ、全てを終わらせましょう」
「リネットォォォォォォ!!!!!」
「滅しなさい! 汚らわしき古代の狩猟者よ!!!」
……初音ちゃんの振るった鬼切丸が、ダリエリを両断する。
「オオオオオオオオオ!!!!! オノレ、オノレ、オノレェェェェェェェ!!!!
ジロウエモン! リズエル! アズエル! エディフェル! リネット!
……ヤナガワァァァァァァァァ!!!!!!」
……消えた。まるで、そこには最初から何も無かったかのように、ヤツの姿は霧消した。
『が……ふぅ……』
体中の生気が抜き取られたように、私は倒れた。
「柳川さんっ! 柳川さんっ!」
『は…つ…ね…ちゃん…』
「ごめんなさいっ! ごめんなさい……」
『いいんだよ……全ては……』
[ヨーク、主砲、エネルギー充填率、94%……]
A 終わった。
B 終わってない。
Aにしたいが…。やっぱ、スルー。
B、まだだ、まだ終わらんよ
76にはわるいがAで。
ログ読んだ限り、Aでも無事ハッピーエンドにできそうな感じがするんだ!
職人ファイト!
安らかな眠りに落ちかけた私の意識は……無機質な機械音声によって覚醒させられた。
[ヨーク、主砲、エネルギー充填率、94%……]
「柳川! 大丈夫か!?」
「小僧、小娘、よくやった!」
「先生! 先生!」
みんなが…甲板上に…登ってくる。
「初音……初音! 初音なのね!」
「よく帰ってきたナァ、ウンウン!」
「い…痛いよ、お姉ちゃん……」
姉妹の……抱擁……
『……半……鬼……たち、は……?』
「ああ、安心しろよ。ダリエリの消滅と同時に全員消え去った」
『……それ、は……よか……った……だけど、まだ、主砲が……』
「大丈夫だ。俺たちに任せろ。お前はゆっくり休んでな!」
そう言って、耕一たちはヨークの入り口から中に入っていった。
「あ、初音ちゃん……初音ちゃんは柳川の側にいてやってくれ」
「……うん、わかった」
A 私が行かねば……初音ちゃん、手を貸してくれ……
B 疲れた……耕一たちに任せよう……
そりゃもう断固Aで。
主役はあんただ、柳川。
Aで。ところで瑠璃子さんはいづこへw
>81
楓の介抱だと言ってみるテス
『初音……ちゃん……体の調子……は……大丈夫……かい?』
「そりゃあ……今の柳川さんよりはね」
クススッ、と微笑みながら答える。
『フッ……やっぱり、初音ちゃんは変わらない……』
[ヨーク、主砲、エネルギー充填率、100%
目標、柏木家。総員、対ショック姿勢を取れ。繰り返す。総員、対ショック姿勢を取れ。
なお、艦内防護の為、全ての隔壁を閉鎖します]
ゴッ、ゴッ、ゴッ……
『なん……だ……今の……は……?』
「いやな予感がするよ……」
(柳川! 柳川! そこにいるか、柳川!)
突如、私の隣に寝かされていた楓ちゃんの口から耕一の声が聞こえた。
『なん……だ……?』
「わからん! 急に全部のドアが閉じちまった! 全然開かねぇ。システムも操作を受けつけない!
そっちでなんとかならないか?」
『ク……ソ……ダリエリ……め……。初音ちゃん、手を……手を貸してくれ……』
その時、私は気付いた。初音ちゃんの気配が、先程の「アレ」になっているのを。
「……無駄だ。もう主砲は止まらん」
『お前は…リネット?』
「私はヨークの設計にも関わっていた。だからわかる。もうここまできたらシステム上から主砲を止めることはできん」
『なら……どういう手ならあるんだ?』
「……手を貸そう。ついてこい」
私はリネットの肩を借り、砲台の横まで歩いていった。
「…………」
リネットがパネルを操作する。すると、それまでは滑らかだった壁に、いきなり扉が現れた。
「……この下がヨークの動力室だ。そこを破壊すればエネルギーは全て失われ、主砲はもちろん、ヨークも二度と動かなくなる。
だが、フルエネルギーの今、エンジンを破壊すれば室内温度は数千℃まで上がるだろう……やるか?」
A もう、俺にはその力は残っていない……
B ……いや、一つだけ。方法があった。ヤツの力を……
こりゃ、死んじまうかも…B
『もう、私にそんな力は残されていない……』
正直、立っているだけでも辛いのだ。
「だろうな。まぁ、人生は諦めが肝心だ。もう五百年ほど待つとするか」
『だが……ヤツなら、ヤツなら、まだ力が残っている……』
そう、私が今まで封じつづけた、ヤツならば……
「ヤツ?」
『……狩猟者さ』
「な……っ!」
『フ、フ……狩猟者よ、さあ、お前が待ち望んでいた外の世界だ……
狩れるものなら狩ってみろ……数分間だけだが……なっ!』
(……ケッ、なんてヤツだ。お前、俺なんかよりよっぽどタチが悪ぃぜ)
………体が動く。俺の意思で。
俺は久々に「体」を得た。さぁ、命の炎を……
『っつっても数分間だけなんだよなぁ』
チラリと横を見る。リネットがこちらに警戒心剥き出しの視線を向けている。
『ヘッ、安心しろよ。いまさらテメェなんぞ狩ったところでもう何の感慨もわかん』
それでもヤツはこちらを警戒したまま。
「キサマ……これからどうする?」
『なぁ、俺の目的はなんだと思う?』
「……命の、炎?」
ハッ、やっぱその程度の認識か。
『違う。俺は「美」を捜し求めている。永遠にな。今まではそれが命の炎……対象が強ければ強いほど美しい。
それだっただけさ』
「……何を言いたい?」
86 :
END:02/07/13 02:44 ID:7wsDrexQ
『やっとわかったんだよ。この世で最も美しいもの……それは、「俺」の「命の炎」だ』
「……フン」
どうやらやっと警戒を解いたようだ。
「……で、これからキサマはどうするのだ?」
決まっている。
『ヤツは動力室を破壊したい。俺は自分の命の炎を見たい――――答えは一つだろう?』
「フッ、いいだろう。思いのほかお前は面白いヤツだ。付き合おう。地獄の底まで」
と言ってリネットは動力室への階段を下りだした。だが――――
『いや、ダメだね。お前を殺したら地獄で柳川に延々と愚痴を聞かされそうだ――』
軽く首筋に手刀を入れる。
「なっ……キサマ」
『眠ってな』
俺はリネットを甲板の上に寝かせ、動力室の扉を睨みつけた。
『さァ――――逝こうか、柳川……極上の美を堪能しに。我らの、最期の命の炎を!』
[………システム、オーバーローディング。システム、オーバーローディング。エネルギーに関して致命的なエラーがハッセイシマシタ
チメイテキナエラーガハッセイシマシタエラーガハッセイシマシタエラーガ………]
A エンディングへ
B エピローグへ
…似たような感じがするが、B〜
B!
雨月山の中腹、穏やかな風が吹き抜けるこの場所で私は風を受けていた。
「まったく、お互いに往生際が悪いな」
私は自分の中に居るはずの鬼に声をかけた。
(言ってろ。だが美しかったな、自分自身の命の炎というものは)
「ああ、恐らくこの先これ以上美しいものは無いに違いない。
私の回答に、狩猟者はさも面白く無さげに返事をする。
(けっ、やっぱりやめとくんだったぜ。これから先は、幾ら狩りをしても無駄だって事じゃねえか)
「お前はおとなしく、私の中で寝ていればいいんだよ」
(くそ、何だか知らない間にお前の影響力は強くなってやがるし、俺の人生はよっぽどついてないぜ)
そう、私は生き残った。
いや、正しくは一度死んだ……生命活動が停止してそれから甦ったと言うべきか。
あの時、灼熱の劫火に焼かれ、私の命はまさしく燃え上がった。
楓ちゃんもまた、息を引き取っていた。
甲板に戻ってきた千鶴さん達が最初に見たのは、泣きじゃくる初音ちゃんの姿だったという。
だが、なんとも陳腐な言い方だが奇跡は起こった。
「ぐしゅぐしゅ……先生も……楓ちゃんも……二人とも死んじゃイヤ」
彼女、舞もまた不思議な力を持っていたらしい。それこそ消え去った命の炎を再びともすほどの。
だが、その力のせいで彼女はずいぶんと迫害され、自分の心の檻の中に閉じこもっていたそうだ。
死の夢を渡る最中、私は麦穂が揺れる平原で彼女に出会った。
「まいを、未来のまいをよろしくね」
舞を幼くしたような少女が私にそう告げると再び視界が暗くなり……目覚めたのは甲板の上だった。
致命傷を負っていたはずの楓ちゃんが助かったのも、きっと私と同じ理由からだ。
支配されていた半鬼達は、ダリエリの消滅と共に解放され、そのほとんどが事情徴収を受けている。
もともとこの地には次朗衛門の子孫が多くすむ。 既に鬼の因子を秘めていた彼らは、
鬼の血を受けて一時的に狩猟者の血が目覚めていたものの、今ではすっかり只の人間に戻っているようだった。
次朗衛門の残留思念は、ヨークの機能停止と共にこの世界から去っていった。鬼の怨念を道連れにして。
そう、あの事件は一応終結したのだ。
最も、事件が終わったからといって全てが終わったわけでもなく、むしろそこから始まる事もあったのだが。
「あ、柳川さん。やっぱりここにいた」
初音ちゃんとの関係もその一つだ。
「お弁当、持ってきたよ」
現在は一応千鶴さん監督の下、清純な交遊に限り許可というものだが、私はそれでも良いと思っている。
時間はある、関係はゆっくりと進めていけばいい。
ただ、耕一の別れ際に言った言葉。
「初音ちゃんを不幸にしたら、あなたを殺しますから」
目が全く笑ってなかった。はっきり言って、あの時のダリエリより余程勝てる気がしない。
「今日はまた、ずいぶんとたくさんのお弁当だな」
重箱にして……20段? どうやって持ってきたと言うんだ。
「今日はみさきちゃんも舞さんも一緒なんだよ。みんなでお昼にしようよ」
いつもの純粋まじり気無しな笑顔を浮かべて初音ちゃんが振り返る。
丘の麓からは、舞に手を引かれてみさき君が登ってきている。
「なるほど、あの二人が一緒だったらそれでも足りないな」
久しぶりに出来た非番の日。天気もいいし、休日の午後はどうやらピクニックと相成りそうだった。
〜柳川密着24時〜 FIN