39 :
幸せな日:
「………なあ、国崎くん。本当に、本当に私でよかったのか?」
聖が、不安そうに聞いてくる。
「お前以外に誰がいるんだよ」
「……神尾さんとか、遠野さんとか…………佳乃とか……」
いっそう不安になったように、下を向いて似合わない小声で話してくる。
「聖……不満なのか?」
「い、いや、そういうわけではないぞ! そ、その……」
「ならいいじゃないか。少なくとも、俺はお前しか考えられないぞ」
「そ、そうか……」
まったく、聖らしくないな。まるで迷子の少女のようだ。
「…………もう、後戻りはできないんだぞ?」
「もともと、俺は後戻りする気はない。お前もそうだろ?」
聖は、はにかみながら答えてくれた。
「…………ああ、そうだな」
ああ、今日の聖はとても綺麗だ。
自然に口から誉め言葉がでる。
「…………ウェディングドレス、似合ってるな…………」
聖は、顔を真っ赤にして俯いてしまった。