白きアヴ・カムゥ、聖上クーヤ スレッド 其の一

このエントリーをはてなブックマークに追加
206聖上は床上手 (1/14)
「クーヤ様、サクヤはあちらで控えておりますのでご用があればお呼び下さい。ではごゆっくり」
「うむ、ご苦労であった」
 サクヤが一礼して姿を消すと、クーヤは私の隣に腰を下ろした。
「見ての通りの働き者だ。欲しくなったのではないか?」
「そうだな。……だが、働き者には困っていないからな。逆に働き者過ぎて困るくらいだ」
 一瞬、ベナウィのすました顔が浮かんで消えた。
 クーヤが不思議そうな顔をするのを、ゲンジマルのようなのを考えればいい、と言うと納得したように頷いた。
「それに、サクヤをクーヤから取り上げるのにも忍びないしな。大切にしてやるといい」
「無論だ。……優しいのだな、ハクオロ」
 クーヤは微笑んで呟くと、不意に顔を上げて言った。
「サクヤで思い出したのだが」
「ん?」
「以前に床上手がどうこうと話したことがあったろう」
 私は天を仰ぎ、たっぷり三呼吸置いて問い返した。
「済まない、最近どうも耳の調子が芳しくないようだ。床上手がどうとか……と聞こえた」
「前にもそなたとこのような会話をした気がするぞ。聞き違えではない」
「あ、あぁ……そうか」
「うむ、サクヤに聞いてみたのだが要領を得なくてな。家臣の者に聞いてもどうもはぐらかされているようなので自分で調べてみたのだ」
 家臣たちもさぞや面食らったことだろう。ゲンジマルがどのように対応したのかが少し知りたい気がした。
「なるほど、床上手であるということは淑女の嗜みのひとつであるのだな。知らずに恥をかくところであった」
「ちょっと待て、何で調べたのか知らないがその認識はどこか違うんじゃないか」
 さらに言えば恥ならもうかいているのでは――と言いたいところをぐっと堪えて私が遮ると、クーヤはきょとんとした表情をした。
「そうなのか?」
「いや……著しく間違っているというわけではないのだが……」
「歯切れの悪い言い方をするのだな……まぁ、それならば良い」
207聖上は床上手 (2/14):02/05/12 11:30 ID:kFc4sg6O
 そう言うとクーヤは静かに立ち上がった。晧々と輝く、欠けたところのない月を目を細めて眺める。
「美しい月夜よな」
「あぁ、そうだな」
 確かにこれほど綺麗な月はそうそうお目にかかれないだろう。
 柔らかい光があたりに満ち、木々が、下草がそのなかで息づいている――幻想的な光景だった。
 そして、その絵画のような景色の中心に少女が立っている。
 華奢な双肩にクンネカムンという國を、シャクコポルという民族を背負った、美しい少女。
「ハクオロ」
 クーヤが私に背を向けたままで呟いた。
 ――何故だろう。とても嫌な予感がした。
 そして、その予感はすぐに的中した。
「おいクーヤ……ちょっと待て、何をしている!」
「見てわからないのか?」
 言いながらクーヤは外套を脱ぎ捨てると、下の装束に手をかけた。
「いや、そうではなく……何を考えている!」
「うむ、余はあれから色々と勉強したのだ。ハクオロ、余は床上手であるかどうか判断してはくれまいか」
「ぶっ……」
 何をどう勉強したのか気にならないでもなかったが、私は厳しい声で制した。
「……クーヤ、やめるんだ」
 前留めを外していたクーヤの手が止まる。
「クーヤ、自分が何を言っているのかわかっているのか?」
「失礼な男だ。余は理解しているつもりだぞ」
「なら……服を着てくれ。それはそんな軽々しい気持ちですることでは――」
「ハクオロ!」
 背中越しにクーヤの多分に怒気を孕んだ声がぶつけられた。
 どんな表情かはこちらからは窺い知れないが、肩が小さく震えているのがわかった。
208聖上は床上手 (3/14):02/05/12 11:31 ID:kFc4sg6O
「そなたは……余が好いてもいない男に簡単に身を委ねるような女子だと思っていたのか?」
「クーヤ……」
「そなたが我を拒むのであればそれは仕方がない。おとなしく帰るとしようぞ」
「いや……そういうわけではないが……」
 ふと、クーヤの耳元に目がいった。
 わずかに持ち上がった兎の耳のようなものの下にのぞく小さな耳が真っ赤に染まっている。
 ようやく、クーヤが先ほどから決してこちらを向かない理由を私は理解した。
 ――だが、私はこの期に及んでまだ言い訳を探していた。
「しかし……お前はクンネカムンの……」
「言ったはずだぞ、ハクオロ。余はクンネカムンの皇としてここに来ているのではないと」
 身に纏っていた装束がパサリと音を立てて落ちた。
「今ここにいるのはクンネカムン皇、アムルリネウルカ・クーヤではない……そなたに惹かれた女子が一人いるきりだ」
 クーヤが振り向いた。
「……あ……」
 私の口から小さな声が漏れる。
 クーヤは下着を着けていなかった。両の手で胸と秘所を隠しただけの裸体が月明かりに浮かび上がる。
 染みひとつない、白い透明感のある肌が満月を背にまるで光を放っているかのように見えた。
「美しい……」
 完全にその姿に魅了された私は呆けたように呟いた。
 自然と目が釘付けになる。クーヤが上気した頬をいっそう赤くして何か言ったが、声が小さくて私には聞き取れなかった。
「ハクオロ……」
 クーヤが一歩、こちらに歩み寄る。
209聖上は床上手 (4/14):02/05/12 11:31 ID:kFc4sg6O
 そして、私の前に膝をつくと、そっとその手を私の腰帯に伸ばした。
「ク、クーヤ! 何をしている!」
「なんだ、知らぬのかハクオロ? そなたも存外疎いのだな」
「いや、そういうことではないのだが、それより一体どうやって何の勉強をしたんだ!?」
「ええい、暴れるでない! 解けぬであろ!」
 クーヤは懸命に帯を解こうとするのだが、手付きがいかにも不器用なためになかなか解けない。
 袴の上を這い回る手が否応なしにその下にあるものを刺激し、私の身体は早くも反応し始めていた。
「うぐ……」
「よし、解けたぞ……それ」
 やっとのことで帯を解き、前をはだけさせると、クーヤは私のそれを引っ張り出した。
 が、半ば堅くなりまっすぐクーヤの顔に向けて伸びたそれを見るなり硬直してしまう。
「えーと……クーヤ?」
「ハクオロ……そなた、病気なのではないか?」
 クーヤはこの上なく失礼なことを真顔で言った。
「うむ、やはり薬師に診てもらった方が良いぞ」
「……待て、どうしてそういう発想に至る」
「これは本来このような……大きいものではないであろ。おおかた虫にでも刺されたのではないか」
 目の前がクラッとした。同時に、クーヤがどのような勉強をしてきたのか大体の予想がついた。
 私は内心笑いを堪えながら、クーヤの頭にぽんと手を置いた。
「別に病気というわけではない。私がクーヤを愛おしく思うから自然にこうなるのだ」
「そ、そういうものなのか?」
「あぁ」
 口に出した瞬間気恥ずかしさに後悔したが、クーヤは真っ赤になって一層興味深そうにそれに見入っている。
 クーヤはしばらく黙って眺めていたが、なんとなく間が悪くなって私が何か喋ろうとすると、おずおずと手を伸ばして肉棒に触れた。
「思いのほか堅いものよな……本当に何ともないのか? かなり熱を持っておるぞ」
「まぁ、そういうものだからな……心配してくれるのは有り難いが、大丈夫だ」
「そうか……ん」
210聖上は床上手 (5/14):02/05/12 11:31 ID:kFc4sg6O
「うっ!?」
 クーヤはいきなり顔を寄せると、先端にちゅっと口をつけた。思わず呻き声をあげてしまう。
「ど、どうした。痛かったのか?」
「いや……突然で驚いただけだ。済まない」
「ならば良いのだが……続けるぞ」
「あ、あぁ……」
 初めこそ不安げだったが、それでも徐々に大胆に――多少と言わずぎこちないのは仕方のないことだろう――舌を這わせる。
 手管などと呼べるものでは全くなかったが、しかし丹念に竿の付け根から先端までを舐め上げ、またそれを繰り返す。
「うくっ……はははは」
「む……何を笑うのだ」
「いや、悪かった。ちょっとくすぐったくてな」
「……気持ち良くはなかったか?」
 クーヤが不満そうに頬を膨らませる。私はクーヤの頭をクシャクシャと撫でて微笑んだ。
「そんなことはない。クーヤが私のために一生懸命してくれているのが伝わってくるからな」
「ぁ……ん、そうか。それならば良かった」
 安心したように表情を綻ばせると、舌の動きを再開する。
 と、不意に温かい感触が肉棒の先のほうを包み込んだ。
「うぉっ! ク、クーヤ?」
 クーヤはその小さな口いっぱいに頬張るようにして私のものを半ばくらいまで咥え込む。
「ふぉふほ、ひふぉひほーふ?」
「こ、こら、咥えたまま喋るな!」
 何やら悪戯っぽく、上目遣いでこちらを見ると、クーヤはゆっくりと頭を前後させて愛撫を続けた。
 柔らかい唇と口内の粘膜が絡み付いてきて、これはさすがに素直に気持ち良いと言わざるを得なかった。
211聖上は床上手 (6/14):02/05/12 11:31 ID:kFc4sg6O
「ぷはっ……まだ大きくなるぞ、苦しいのではないか」
「あぁ、クーヤのしてくれていることが気持ち良い証拠だ……」
 頭の動きに合わせて撫でてやると、クーヤはうっとりと目を細めた。
「ぷふぅ……むぐ、あむぅ……んふ……」
「ぐ……ぅあ、クーヤ……もういい」
 単調ではあるが丁寧な愛撫の繰り返しは少しずつしかし確実に私を限界へと近づけていた。
 私が制止すると、クーヤは顔を上げて睨みつけてくる。
「む……やはり気持ち良くないのだな」
「そうではない。されてばかりなのもなんだから今度は私がクーヤを可愛がってやろうと思ってな」
「そんなこ――うわっ!?」
「よっと」
 クーヤの身体を持ち上げ、後ろから抱きかかえる格好で膝の上に座らせる。
 慌てて私の顔を見上げ、何かを言おうとしたクーヤの口を私は黙って唇で塞いだ。
 軽く触れるだけの口吻。唇が離れると、クーヤはそっと口許に手をやった。
「ん? どうした?」
「いいや。……好いた男と口吻を交わすのは幸せな気持ちになるものだな」
「クーヤ……お」
 照れ隠しにクーヤの小さい身体を抱き締めようとしたその時、
 クーヤはクスッと笑って白い太腿の間から伸びる私のそれを細い指で慈しむように撫で始めた。
「意外と愛嬌のある形をしておるのだな……ふふっ、こうして見ると余から生えているようだぞ」
「愛嬌? ……ものは見ようと言うべきか」
「それよりハクオロ。その……なんだ。もう一度……するがよい」
「あぁ」
「んんっ……」
 再びクーヤと唇を重ねる。トロンとした瞳がゆっくりと閉じていく。
212聖上は床上手 (7/14):02/05/12 11:36 ID:ka7RdXmw
 私は後ろから手を伸ばし、そっとクーヤの胸に触れた。
「ひゃうっ!? へ、変な所を触るでない!」
「ほう、クーヤのここは変なのか?」
「そ、そういうことを言っておるのでは……んあっ!」
 随分と感じやすいのだな――と私は思った。
 お世辞にも大きいとは言えないが、形良く整っていて張りのあるクーヤの乳房を包むように愛撫する。
 掌の中で柔軟に形を変えるその感触が堪らなく心地よかった。
「ハ、ハクオロ……やめ……やぁ……」
「こういうのはどうだ?」
 可愛らしく悶えるクーヤを見ているうちに、私はつい悪戯心を出してしまう。
 だんだんと尖ってきて今やぷっくりと自己主張をしている桜色の先端を指先で捏ねるようにすると、クーヤの身体がビクンと跳ねた。
 その反応に気をよくして、私はもう少し刺激を強くしようと指の股に乳首を挟み込むようにし、乳房全体を捏ね回す。
「クーヤ、気持ち良いか――クーヤ?」
 クーヤの様子がおかしいことに気がついたのはその時だった。
「くふっ、ふあぁ……ひぐっ! ひっ、あぁっ、あぁぁぁ……!」
「クーヤ……?」
 今まではそれでも声を抑えていたのだろうか、突然堪えきれなくなったようにクーヤの口からほとんど悲鳴のような喘ぎが漏れ出す。
 それは感じやすいなどという程度ではなかった。快感という獣に全身を食い荒らされているような痛切な悲鳴。
「余は、余はどうなってしまったのだ……ハクオロ、ハクオロぉ……」
 端正な顔が涙と涎に歪んでいた。身体がかたかたと痙攣するように震えている。
 ふと視線を落とすと、半開きになった秘裂から透明な液体が太腿まで滴っていた。
「これは……」
213聖上は床上手 (8/14):02/05/12 11:36 ID:ka7RdXmw
 呟きかけて、私はあることを思い出した。それは過去に読んだ文献――シャクコポル族に関しての伝承だった。
 大いなる父オンヴィタイカヤンの寵愛を受け、それゆえに他の種族の妬みを買い、迫害された種族。
 長年に渡り攻撃され、蹂躙され、虐殺され、陵辱され続けてきた種族――それがシャクコポルだった。
 シャクコポルの民に対し、他族は容赦しなかった。男の見ている前で女を犯し、女の見ている前で男を殺す。
 文献によれば、シャクコポルは生来淫乱な種とされていた。虐げられるものゆえに発達した神経器官が全身の感覚を過敏にし、
 また好き放題に虐殺される種族は滅びないために強い生殖能力を必要とした。
 力が無いために拒むことができず、さらには陵辱を自分から受け容れてしまうシャクコポルの女。
 力が無いためにただそれを見ていることしかできなかったシャクコポルの男。悲劇の構図がここにあった。
「ハク……オロ……」
「クーヤ……」
 私の腕の中にいる少女にもシャクコポルの血が流れている。暗い、悲しみの歴史はその幼い身体にも爪痕を残していた。
 私は手巾を取り出し、クーヤの顔を優しく拭った。
「ぁ……」
「ほら、綺麗な顔が台無しだ……済まなかったな」
 落ち着かせるように頭を撫でる。
「ん……ふぅ……」
「済まなかった……もう少しお前のことを考えてやるべきだった」
「全く、その通りだ……不慣れなのだからもっと優しくするがよいぞ」
「あぁ」
「はふ……もっと撫でるがよい」
 さらさらと手触りの良い髪を梳くように何度も何度も撫でる。香油だろうか、クーヤの髪は不思議な、しかし快い香りがした。
214聖上は床上手 (9/14):02/05/12 11:36 ID:ka7RdXmw
 私は空いた片手でクーヤの頬に触れる。
「ぁ……ぅ?」
「嫌か?」
「んん……続けるがよい」
 頬、首、肩、二の腕――絹のように滑らかな肌の感触を楽しみながら身体のあちこちを撫でる。
 それだけでもクーヤには性の刺激を感じるには十分なようで、やがて吐息に少しずつ艶が混じり始めた。
「んふ……ぁあ……くふぅ……」
「クーヤの身体は柔らかいな」
「ぁん……そ、そうなのか?」
「あぁ、可愛いな……」
「ん……ふふっ、や、そこはよせ、くすぐったいぞ!」
 脇腹のあたりをちょんと突付いてやるとクーヤは全身を揺らして笑った。そこから腹部、太腿と撫で下ろして行く。
「はぁ、んっ……ぁ」
「どんな気持ちだ?」
「ぅ、わからぬ……こんな感じは初めてだ……」
「怖いか?」
「今はもう大丈夫だ、怖くはない……身体が熱くて、宙に浮いているような心地がするぞ……」
 頃合か、と思ったが、先程の様子を見てしまっただけに少し不安が残った。
 このまま挿れてしまうよりはもう少し慣らした方が良い気がした。
「クーヤ……」
「ん……ぁ!?」
 中指の先をクーヤの入り口にそっと触れさせる。クーヤの身体が緊張したように強張った。
215聖上は床上手 (10/14):02/05/12 11:37 ID:ka7RdXmw
「力を抜くんだ……強くはしない」
「……わかった……」
 小さく息を吐くと、クーヤの緊張が少しずつ緩んでいった。
 私は静かに指を沈めていく。
「んっ! あぁぁぁ……」
「苦しいか?」
「ぅあ……いや、大丈夫だ……」
 程なく、中指が付け根まで飲み込まれる。熱い隘路がきゅうきゅうと締め付けてきた。
 クーヤの反応を見ながら、今度はゆっくりと時間をかけて引き抜く。それを数度繰り返す。
「くふぅ……あっ、あぁ……ん」
「ほら、クーヤ……お前の中はもうこんなだ」
「ばっ……莫迦者! い、いちいち見せずともよい!」
 引き抜いた指に絡む蜜を見せつけると、クーヤは耳まで赤くなって顔を背けた。
 頭をクシャクシャと撫でてやると、私はクーヤに言った。
「クーヤ。……本当に良いのか」
「…………」
 さすがにこの意味するところはわかるらしく、表情に少し不安の色が差した。
 だが、それはすぐに消え、クーヤは微笑んで答えた。
「当たり前であろ。そなたはここまで来て女子に恥をかかせるつもりなのか?」
「クーヤ……」
 私はもう一度クーヤと口吻を交わすと、クーヤの身体を持ち上げてこちらを向かせた。
「挿れるぞ」
「…………」
 無言で頷く。私は自身の先端を秘裂に押し当てた。
216聖上は床上手 (11/14):02/05/12 11:37 ID:ka7RdXmw
 ゆっくりとクーヤの身体を下ろしていく。
「うぁ……あぁぁっ! くぅぅぅぅぅんっ!」
「なっ……」
 半分ほど飲み込んだところで、クーヤは背中を仰け反らして全身を震わせた。
 身体の力が抜け、くたっとなって抱きついてくる。
「かはっ……はぁ、ハクオロ……」
「クーヤ……」
 挿れただけで気をやってしまったのか――私はそっとクーヤの頭を撫でた。
「ぁ……ハクオロ……?」
「落ち着くまでしばらくこうしているといい」
「ん……」
 繋がったままで抱き合う。瞳を潤ませ、クーヤが唇を求めてきた。
 私の中で、また軽い悪戯心が頭をもたげた。
「んむ……むっ!?」
 いきなり唇を割り、舌を侵入させる。クーヤは一瞬戸惑いの表情を浮かべたが、すぐに躊躇いがちに応じてきた。
 そうしてしばらくの間互いの唇を貪っていると、やがてクーヤの息遣いが少しずつ乱れてくる。
「クーヤ?」
「んふ……んっ……」
 本人は意識していないようだが、クーヤは自分で腰を動かし始めていた。
 身体が性の快楽を求めて自然に動いている。そんな感じだった。
「クーヤ……」
「んうっ!」
 下から決して強すぎないように突き上げる。
 クーヤを怯えさせないように、心を壊してしまわないように、静かに加減して腰を動かす。
217聖上は床上手 (12/14):02/05/12 11:37 ID:ka7RdXmw
「くぁっ、んんっ、ふぅん……はふっ……」
「くっ……クーヤが締め付けてきて気持ち良いぞ……」
「んはっ、あぁっ……ハクオロの熱いのが、余の、余のなかで暴れて……っくぅん!」
 と、クーヤを抱く手に何かふわふわと柔らかいものが触れた。
「ん……これは?」
「ひゃん! そ、そこは触るでない!」
「うっ!?」
 そこに手が触れるたびに急激にクーヤのなかが締まる。
 手触りがあまりにふかふかなせいもあって、止められてもなかなか触るのをやめられない。
「これは……尻尾か?」
「ひっ、やぁ、さ、触るでないと言うに……はぅん!」
 私の後ろに回された手の爪が背中にぎゅっと食い込む。クーヤは再び絶頂を迎えようとしているようだった。
 そして、私の限界ももうすぐそこまで迫っていた。
「んっく、んっ、あぁっ、なにか、なにか、くるっ……!」
 クーヤの瞳が溶けていた。
 頬を朱に染め、肌を上気させて喘ぐクーヤの姿は普段からは考えられないほど妖艶で、美しかった。
 接合部から漏れる淫猥な水音が静かな月夜に響く。
「私も、もう、行くぞ……っ!」
「はぁっ、ぁんんっ、くふぅ……ふぁ、あぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!」
「クーヤっ……!」
 クーヤの身体ががくがくと痙攣し、膣全体がぎゅうっと収縮する。
 私はクーヤの腰を抱え、最も深いところまで突き入れると、堪えていた精を一気に放出した。
「あ……あぁ……ハクオロが余の中に……」
 クーヤは惚けたように呟くと、私の胸に頭をもたせかけた。
218聖上は床上手 (13/14):02/05/12 11:39 ID:oWBMzLBd



 衣服を整え、最初のように並んで座ると、クーヤが聞いてきた。
「ハクオロ、結局のところどうなのだ。余は床上手であったか?」
「あー……」
 そう言えばそういう話だったことをすっかり忘れていた。
 私はクーヤの頭に手を乗せてぽんぽんと軽く叩くと言った。
「あぁ、最高の床上手だったよ……どんな男もクーヤにかかれば形無しだ」
「ふ、ふん……莫迦にしおって」
 不機嫌そうにそっぽを向いてみせたが、その表情が満更でもなさそうだったのを私は知っていた。
 もう少しクーヤの可愛い顔を見てみたくなる。
「しかしなんだな。クーヤは見かけによらず大胆に乱れるのだな」
「なっ……!? お、おかしなことを口走るでない! 痴れ者め!」
「ぐふっ!?」
 クーヤの握り拳が鳩尾に叩き込まれる。激痛に思わず息が詰まった。
 ニ撃目が来るかと身構えかけたが、クーヤはそこで振り上げた腕を下ろし、少し頬を染めて微笑んだ。
「……別に良いであろ。余とそなたと二人きりなのだ、素直になっても不都合はあるまい」
「確かにそれはそうだが……ん? 待てよ?」
「どうした」
「サクヤは今どこにいるんだ? そんなに遠くにいるわけではないのではないか?」
 クーヤが硬直する。同時に、少し離れたところの茂みがガサガサッと妙な音を立てた。
219聖上は床上手 (14/14):02/05/12 11:40 ID:oWBMzLBd
「…………」
「…………」
「……出て来るがよい、サクヤ」
「は、はひっ!?」
 案の定、そこの茂みの中から何故か顔を真っ赤にしてサクヤが現れた。
 非常に気まずい沈黙があたりを支配する。
「……見ておったのか?」
「ひっ、い、いいえ! そ、そ、そんなことは全然全くもってありませんですよ!?」
「…………」
 どうしてこう、私の回りの人間は嘘を吐くのが下手な者ばかりなのだろうか。
「さ、さて……私はそろそろ……」
「あぁっ!?」
 サクヤの助けを乞うような視線を決して見ないようにして私は立ち上がった。
 見ると、クーヤの表情が微笑んだまま引きつっていた。
「うむ、余も帰らなくてはの。サクヤと少々話をせねばならんこともあるしな」
「ひっ……」
 泣き出さんばかりに怯えるサクヤの耳がペタンと寝てしまう。クーヤは立ち上がってサクヤの手を取った。
「ではハクオロ、また会おうぞ」
「あ、あぁ……またな」
「ハ、ハクオロさまぁーっ!?」
 引き摺られるように連れていかれたサクヤの声が徐々に遠くなり、やがて消えた。
「……成仏しろよ」
 サクヤのその後どうなったかということは極力考えないことにして、私は帰り道を歩き始めた。