サクヤは稽古場にいた。
『いかなる時もクーヤを守るのは自分の役目』と苦手な体術の手ほどきを大老に受けていた。
大老にして見れば、かわいい孫娘の頼みを断れるはずも無く、護身術程度ならばと快諾し今に至る。
「…サクヤ、疲れたろう。今日の稽古はここまでだ。黙想して汗を流しなさい」
「…は…はいっ。ありがとうございました」ペコリと頭を下げる仕草に大老が微笑む。
「うむ。…あぁ、わしはこれから出掛けねばならん。後を頼むぞ」
「…は…はいっ。いってらっしゃいませ」
『…ではな』と風を残し大老は稽古場を去っていった。
心地よい風がサクヤの髪を撫で上げる。
「ん〜〜、気持ちイイ♪」
……黙想するサクヤのもとに、芳しい香りが漂ってきた。
(…?…なにかしら…。甘酸っぱくて…イイ匂い)
「…あっ、いっけない。集中しなくちゃ」
数分が経ち、違和感に包まれる。稽古はいつもどおりなのに身体の火照りがとれない。
(…そんなに暑かったかしら?……んー、良し。…汗を流してさっぱりしましょう)
黙想を早々に止め立ちあがろうとする。「…あれ?」…足元がおぼつかない……。
股が擦れ『そこ』がジュワッと湿る。(…いやだ……汗…流さなくちゃ…)
フラフラと身体を揺らし廊下へ出る。そこでも甘酸っぱい香りがサクヤの鼻腔をくすぐる。
ほどなく歩みを進めた頃、変化が現れた。
身体を壁に預け、瞳は虚ろ…肌が薄紅色に染まり、モジモジと股を擦りあわせる。
「…はぁはぁ…っん!……っぃや…」自ら発した声にハッとする。(だ…だめっ!こんな声出しちゃ…)
言葉とは裏腹に欲望を求める無意識の手が下着を避け敏感な『そこ』に触れる。
(ビクンッ!)電流が突き抜ける感覚に身体が反返る。その刹那サクヤはペタリと座り込んでしまった。
<カツン…カツン…>「…?!」誰かが向かってくる足音に意識が鮮明になる。
(…こんなところを誰かに見られたら……)残り僅かな理性、すぐさま立ちあがり急いで浴場に向かう。
しかし身体が敏感になりすぎていた。
歩みを進めるたびに胸が…、股がこすれ意識を淫らに引きずり込む。
(…早く………触りたい……慰めたい)サクヤの理性が消えてゆく。
その姿を見つめる影がある。ハウエンクアである。
ハウエンクアはサクヤが座り込んだ場所をみる。そこはうっすらと湿っていた。
湿りに触れると粘着質な液体であることがわかる。指先を鼻に近づけ匂いを嗅ぐ。女の匂いがした。
(クックック…、凄い効き目だな。ディー特製だけのことはある)
「媚薬の量を少し減らしても良かったか?…クックック」
甘酸っぱい匂いの正体こそディー特製の媚薬を香に混ぜたものだった。
「…さてと、サクヤの相手をしてあげようかな。…クックック」
ようやく浴場へたどり着いたサクヤは中に入り扉を閉める。
(…誰も居ない……ここなら………もう…がまん……できない……)
「どうしたんだい?サクヤ」不意に声をかけた人物は、背後からサクヤを抱きしめる。
「ひゃぅん!」身体から力が抜ける…。触れただけで達してしまうほど研ぎ澄まされた感覚。
足をガクガクさせ太股から生暖かい液体が流れ落ちる。その液体はさらさらしていた。
「……あ……あ…………………………」
何も考えられなかった。何も考えたくなかった。
「…クックック。聖上の側近が『お漏らし』か?」
「!!?」振り向かずとも、この声の主は判る。最も隙を見せてはいけない男…ハウエンクアだ。
「あぁ〜あ、こんなに汚してどうすんだよ。…クスッ、侍女を呼んで掃除させるか?…クックック」
気丈に答えるサクヤ「…呼びたければ…呼べば…良いでしょう」
ハウエンクアを振り解こうとするが、その身体に力は入らない。
「…それもそうだな。『サクヤが倒れた』と言えば聖上まで飛んで来るやもしれんしな。…クックック」
「なっ?!」サクヤはハウエンクアの狙いが読めた。
(ハウエンクアはシャクコポル族が世界を統治するべきだと言っている。
クーヤ様とは違う危険な考え…、自分を材料にクーヤ様を抱き込むつもりだ。
…とすれば、身体がおかしくなった原因はハウエンクア?…でも…どうやって?…)
考えを廻らせることに夢中になり注意がおろそかになる。
ハウエンクアの手がイヤらしく動き服を脱がす「い、ぃや!なにをするんですか!?」
「ピーピーっるせぇな!…なに、ちょっと気持ち良くなってもらうだけさ…クックック」
「っな!…っんぁ…」
(…ぃや…ぃや、いや……触らないで……触られたら私……)頭が真っ白になる。
「…さてと、叫びたきゃ叫んでイイよ。…あっ、叫べねぇか。足腰立たねぇのに誰か来たら困るもんな」
再び魔手が動き出す。その動きは蛇のようだった…必要なまでにサクヤの身体を這いずる。
「…んんっーーー、…っあはぁ……い…や……」火照りの残る身体は易とも簡単に反応する。
「…クックック。イイ声で鳴くじゃないか、サクヤ」敏感なところを避け焦らすように愛撫を続ける。
乳房を揉みしだく手は決して突起に触れず、太股を這いずり回るときも寸前で止まってしまう。
その責めは苦しく辛かった。…頂に触れて欲しかった……貫いて欲しかった。
サクヤの口が言葉を紡ぐ「…じ…焦らさないで……お…おねが…い…」
呆気にとられるハウエンクア。「クックック、おねだりか?…残念だがお前の相手は僕じゃない」
遠くなる意識に声が聞こえる。
「ディー、こっちの準備はイイそうだ。…クックック」
(…?…なに?………だれか…いるの…?)虚ろな目に何者かが映る。
「…少々手間取ったがこちらの準備もできた。」
サクヤの眼前に裸の男が連れられてくる。男は鉄仮面で頭を覆われ人相が判らなくなっていた
男に動きは無く床に寝かされる。起立した男性器が否応無くサクヤの目に映る。
「さぁ、お前の相手だ」
「………」(…男の人の匂いがする)
サクヤの『そこ』から透明な液が流れ落ちる。身体が男を欲していた。
「どれ、手伝ってやろう」ディーがサクヤに近づき背後から脚を抱え上げようとする。
サクヤの尻尾が互いの身体に挟まれ擦られる格好になった。
「ん!?ぃや〜〜〜!」開かれた脚の間からコポッと音を立て愛液が床に滴り落ちる。
「…どうしたんだ?」サクヤを抱え上げたまま振り向く。
「尻尾は『そこ』敏感だからな……まてよ…クーヤとて同じハズ…クックック」
「なにを考えているか知らんが、いまはこちらに集中しろ」
ディーの言葉に不機嫌に「わかった」と返事をする。
(貴様との仲も僕が皇になるまでの辛抱だ。…皇になった暁には…クックック)
抱え上げられていたサクヤの身体が男の一点を目指し下ろされる。
『…クチュ』充分に濡れたサクヤの『そこ』は簡単に男性器を捕らえる。
「一気に入れたんじゃ面白くないな…、そのまま揺すって見てくれよ」
ハウエンクアが注文をつける。「…もの好きな。こうか?」
サクヤの身体が揺れる。浅く入っただけの男性器を離すまいと『そこ』に力が入り柔肉が伸び縮みする。
「…っはぁ〜、…はっ、はっ…んんーーー、っあはぁっ〜」喘ぎ声がしばし浴場に響き渡る。
「気持ちよさそうな声を出すじゃないか…経験済みか?…クックック」
「…もう良かろう。私も疲れるのでな」
『グチュ、ズリュッ、…ズリュリュ…』言い終わるが早いか、サクヤの腰が一気に沈む。
サクヤの膣内で『プツン』と破れる感覚。快感に堪えるように男にしがみつく。
「っああああぁぁぁぁぁぁぁぁぁーーーーーーーーーーーーーー」
剛直を全て飲みこんだサクヤの顔は惚悦としていた。愛液に混ざり朱い筋が流れる。
「へぇー、初めてだったんだ。…クックック…じゃあ気持ち良い初体験をプレゼントしてあげるよ」
ハウエンクアは懐に忍ばせていた媚薬を湯に溶き、サクヤと男に無理やり飲ませる。
その即効性は特筆ものだった。剛直は一回り大きくなりサクヤを刺激する。
まるで失禁したかのように愛液を垂れ流すサクヤ。動きを止めていたサクヤの腰が揺らめく。
「…足りない……も…もっと…っはぅ、ぁはあ…んんーーーーーー」
獣そのものだった。肉が激しくぶつかり合い、快楽の限界へと導く。
サクヤの背が男の上で反返る。「――――あああぁぁぁぁ、いやぁぁぁぁぁぁぁぁーーーーー」
男の腰が浮く。『ドクッ、ビュクッ、ビュクッ・・・・・』男の射精は止まらない。
「ぃやぁぁ〜、膣内に出てる・・・・・・・・」荒い息を吐きながら男の精を受け止める。
全てが終わりぐったりとするサクヤにディーが語り掛ける。
「おわったか…どれ、男の顔を見せてやるか」
男の鉄仮面が外され素顔が見える。
「――――――――――――――――!」
「………サ…ク……ヤ?」
兄妹の心が同時に砕ける音がした。
夜…サクヤはクーヤの寝所にいた。
「ふぅ〜、ハウエンクアめ。余は戦などしたくないというのに…」
昼の出来事を振り返りクーヤがつぶやく。
「サクヤ、茶をくれ」
サクヤの顔が硬直する。手には媚薬が握られていた。
ハウエンクアの言葉が思い出される『これをクーヤの茶に混ぜて飲ませろ』
その効果はイヤと言うほど知っていた。さっきまで自分自身が体験していたのだから……。
思い出しただけで股間が濡れる。…いや、違う。サクヤの身体はいまだ媚薬に犯されていた。
(…クーヤ様……………)
惚ける姿を不思議そうに見つめるクーヤが今一度声を掛ける。「…サクヤ?」
ハッとする。「…あっ、はいっ。お茶ですね……」
お茶を用意する手が微かに震える。(……私が薬を飲めばクーヤ様は助かる……)
主を想う心がサクヤを決断させる。手にした媚薬をそのまま飲みこむとクーヤのもとへ茶を運ぶ。
「…良い香りのする茶だな」香りを楽しみ『コクッ』と一口飲み込むと喉が動く……。
(……あはっ、……なんだか……ヤらしい)サクヤの思考が麻痺する。薬が効いてきた。
スクッと立ちあがるとクーヤに擦り寄る。「…どうした、サクヤ?」
サクヤの手が髪に触れる。「…髪の手入れか? サクヤは上手だな。触られると気持ち良い」
『気持ち良い』その言葉だけがサクヤの耳に残る。
髪に触れていた手が徐々に下りる。「…こ…これ、サクヤ」
「……クーヤ様、もっと…気持ち良くなりましょう」言葉を紡いだその口がクーヤの唇を奪う。
「…っん!?」サクヤの様子がおかしい。慌ててゲンジマルを呼ぼうとする。
口を離そうとするが、首に廻された腕の力は強く引き離せない…と、口に進入してくるものがある。
サクヤの舌だ。
「っんん―――ん!」接吻をしたことがないクーヤは驚き、歯が軋むほど力強く口を閉じ必死に抵抗する。
だが、その抵抗は無駄だった。サクヤの脚が太股を割って秘所を刺激する。
「っん!」一瞬だった。力が抜け舌が進入してくる。
「…ぅうん、(ピチャ)……ぅん(ピチャピチャ)」「―――――!」開かれた脚の間へサクヤの手が伸びる。
(ドンッ)驚きのあまり渾身の力でサクヤを突き飛ばす「…はぁはぁはぁ、なにをするか」
サクヤを見ると床に横たわっている。慌てて駆け寄り声を掛ける「…サクヤ!大丈夫か」
顔を覗き込むとサクヤの腕が身体に巻きつく「……御顔が朱いです。クーヤ様…クスッ」
淫靡だった。サクヤの表情は惚悦としており、さらなる快楽を求めているようだった。
細くしなやかな手がクーヤの尻尾に伸びる。「こ、こら。どこを触るか……っん!」
亀頭を撫で上げるようにやさしく触れる。クーヤの体から力が抜け落ちる。
服を脱がされ形の良い乳房が現れる。
「…クーヤ様、サクヤは『床上手』なのでしょう……クスッ……存分に楽しんでくださいね」
「……………ハクオロ……………」想い人の名をつぶやく。
クーヤの抵抗はここまでだった。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
(終)