「保科さっ、だめっ!!イっちゃう!!!」
他には誰も居ない家の中。ベッドの上で、二つの胸の先端を、きゅっと摘む。
「出るっ!出、ああっ、あんっ!!!!!」
胸の中の熱が乳首にこみ上げてくる感覚。そして次の瞬間、ぴゅっ、と吹き出す母乳。
乳首から全身に電気が走るような中毒性の快感に、頭の中が真っ白になる。
今日、もう何度目かも分らない、自慰。
「ど、どうしちゃったんだろう…」
果てる直前に脳裏をよぎった、智子の恍惚の表情。聞くだけで魂が溶けてしまうような
甘美なよがり声、そして母乳の甘い味。
友達のそんな姿に、自分は欲情して、そして…。
嫌悪感と、智子への後ろめたさ。そしてどこかでそんなシチュを愉しんでいる、官能の
狂気に冒された自分自身。智子の母乳を飲んでから、壊れてしまった価値観。
「どうしよう…本当に、あたし、おかしくなっちゃってる…」
トゥルルルルルルル…トゥルルルルルルル…。
不意にかかってくる、電話。
「こんな時間に、誰よ?」
覚めやらぬ絶頂の余韻にふらつきながらも、なんとか受話器に辿り付く。
「もしもし、長岡ですけど…」
「長岡さんやね?」
「ちょ、ちょっと、もしかしなくても、保科さん…?」
どうして保科さんがこんな時間に……いや、これってもしかして……。ついさっきまで
おかずにしていた友達からの電話に、志保はとまどいの表情を浮かべた。
「今日は、ほんまごめん…」
「別に、いいわよ。保科さんが悪いわけじゃないし…」
「…そう…言うてもらうと、助かるねんけど…」
「…………」
智子の声が鍵となり、思い出される昼間の快感。
さきほどの絶頂の直後で敏感な身体が、再び興奮し始めたのを感じる。
「長岡さん…私、あれからおかしいんや…」
「おかしい、って…?」
「このことは誰にも言わんといて欲しいんやけど…私、あの時から、胸が何やおかしい
んや。その、ずっと感じっぱなしで、ちょっと歩いて胸が擦れるだけでも、変になって
しまいそうになって…」
あたしとまるっきり同じだ…。
初めて母乳でイった日、あたしは一晩中胸が疼いて、全然眠れなかった。母乳で湿った
胸が熱くて、それがまるで収まらない。乳首が切なくなる度に慰めて、母乳を吹き出し
ながら絶頂を迎えて、でもすぐに性感が高まって…。
あの日から、何度も何度も、力尽きるまで絶頂を迎えない限り眠れない身体になって
しまったあたし。
…保科さんも、あの気持ち良さを知っちゃったんだ…。
「さっきも、胸が気持ち良くて、気付いたら昼間のこと思い出しながら、その、一人で
…何や、怖い…このまま、どんどん変になってしまいそうなんや…」