当確が出たところで

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95ユズ葉
「ラルク・・・?」
その呟きを聞くと、ラルクはいきなり服を捲った。
「・・・ふん・・・」
戸惑う俺を嘲笑うように顔を歪めつつ、剥き出しの、その白い腹をなでる。
「ラルク。・・・ラルク・・・アナル・・・オナニー・・・シェルター・・・ってね。施設にいた時、ここに書かれた」
「え?」
「つまり、陵辱を受けたの」

――俺は今、どんな顔をしているのだろう?

「わたしは昔からこんな調子で、つまり持て余されたんだよね。12歳の時、施設に渡された」

――そんな事より

「まぁ施設に入った所で性格がなおる訳も無くて、ずっと荒れ放題だった。
・・・ある日いつものように誰彼かまわず悪態をついていたら・・・」

――なんで話し掛ける言葉が無いんだ?

「いや、その、もう・・・」
「・・・ふっ、ふふふふふ・・・つまり上級生の、ちょっと頭が・・・ね。
・・・ふふふっ、まぁちょっと訳ありで私と同じ施設に預けられていた連中が何人かで私を囲んでぐだぐだ言うのよ。
バカニスンナーとか、ナンダオマエーとか、ふふ、まぁ聞き取れるのはそのくらいで要領を得ないんだけど、わかるでしょ?
あいつらったら・・・ふふ・・・」
96ユズ葉:02/03/18 23:40 ID:rPGkFFES
――まったく

「まぁ今に始まったところじゃないからさ・・・酷い?・・・いつも通りに適当にあしらって、
イスこいでそのままそこを去ろうとしたら、こう、腕をつかまれて」
「だからもういいって・・・」

――そういい乍ら、言葉を止めていいのかすら迷っている・・・

「車椅子から転げ落ちて、その瞬間は、ただあいつらが、ちょっとカッとなった弾み程度だと思ったから、
まぁ、とことん口が悪い私は、罵りながら起き上がろうとする訳。・・・でも起き上がれなかったんだなぁ・・・!」
「ラルクもういいって・・・!」
「もがいても動けないの。
いつもトロくて馬鹿なくせにそういう所だけ把握してやがって・・・あいつら・・・あいつら・・・・・・・う・・・」

――彼女は涙を流して

「・・・ふーっ・・・それからはもうしたい放題されたい放題よ。殴られて、服破かれて・・・」

――俺はその告白を止めることが彼女を肯定することになるのか否定することになるのかわからなくて

「・・・ごめん、私が嬲られる様は適当に想像して。・・・あーそうそう、HNの話ね。
ふーっ、誰が思いついたんだかしばらくすると人の体に落書きはじめて・・・私のHNのラルク〜アナル〜オナニー〜シェルターはその中のひとつ。
ここ。ここよ。ここに書かれた。他にもかかれたんだけどそれが一番長く残ったんだ。
いくらラルクなんとかが好きだからって、もう少し芸のあること書きなさいってのよねぇ・・・」

――結局、ラルクは俺を空気のように扱い、俺は空気のように分かれた――
97ユズ葉:02/03/18 23:42 ID:rPGkFFES
「・・・うぜぇ!」
「あん?」
――気がつくと、まことが前に立っていた。俗にいう仁王立ちという奴だ。
「なんだよ?」
「うぜぇっていったの! しけた顔して、お前・・・おにいちゃんの、バカ!」
「まこと・・・」
「まことはね、うじうじしたおにいちゃんなんか、見たくないよ」
そういってまことは俺の顔を覗き込んだ。その目には滴がたまっている。
すん――と鼻を吸い上げてまことは
「おにいちゃんはラルクの事・・・好きなんでしょ?」
すこし口をとがらせ気味に言う。
「・・・どうかな?」
「もう! そうなのっ。まことがいうんだから、そうなんだよっ・・・あのねおにいちゃん。
ラルクは昔、その・・・とても酷い目に遭ったんだよ」
「ああ・・・」
「相手は上級生の人たちだったんだけど・・・その時先生が目の前にいたんだって」
「・・・!」
「ラルクは助けてくれるって信じてたのに・・・何かその先生にだけは気を許してたらしいんだけど・・・
その人は只見ているだけで、上級生を止めようとしないでずっと見てたんだって。
笑いながら・・・いくらなんでも酷いよ・・・」
98ユズ葉:02/03/18 23:43 ID:rPGkFFES
「おにいちゃんラルクを助けてあげて。あの人はいつでも・・・死ぬつもりなんだよ。
誰も信じられなくて自暴自棄になってる。
でもね、本当は友達が欲しい。とってもとっても寂しいんだ。まこととおんなじだね。
・・・おにいちゃんはラルクの事・・・」

――俺は何を迷っていたんだ。

「・・・まこと」
「なに? おにいちゃん」
「今度、どこかに遊びに行こうな」
「・・・うんっ」
そういうと俺は家を飛び出した――