葉鍵板最萌トーナメント!! 決勝 Round172!!

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 事件というものは、何時だって唐突だ。
 今回だって、そう。
 恋人の千鶴さんとともに寝たある朝、目覚めると、それは起こっていた。
「んにー……おはよ、耕一たん」
「千鶴、さん……?」
 そこにいたのは、だぶだぶのパジャマを着た女の子。
 どことなく、千鶴さんに似た。
「え? 耕一たん、どうしたの?」
「千鶴さん、だよね?」
「ヘンな耕一たん。わたしは、千鶴ですよぉ」
 いや、似ているのではなく、間違いなく千鶴さん。
 千鶴さんが、ちっちゃくなっていた。
 喋り口も、微妙に幼く。

「ぎゃははははははははははっ!!」
「あーずーさー…わらうなー!」
「梓お姉ちゃん、笑いすぎだよう……大変だよねえ、千鶴お姉ちゃん」
 いや、初音ちゃんのほうが、お姉ちゃんに見えるのだが。
「あ、でも、わたしの服が合って良かったよー」
 ……何となく、フォローになってない気がするのは気のせいか?
「…………可愛い」
 なお、楓ちゃんはずっと千鶴さんを抱きしめている。
 ああいうのが趣味なのかな?
「……えぐえぐ」
「じゃ、行って来るから…ぷぷっ…あ、そうだ。変なことすんじゃねーぞ、耕一」
「変なことって……今の千鶴さんにするわけないじゃないか」
 ……だぶだぶのパジャマが可愛くて、つい抱きしめたのは秘密だ。
「まあ、耕一がロリコンだったら初音か楓が毒牙にかかってるだろうけどな。はははっ」
「とっとと行けよ」
「へいへい」
 梓を最後に送り出し、家には俺と千鶴さんの二人。
 もちろん鶴来屋のほうには、「風邪」と言うことにしてある。
 さすがにこの格好で行かせるわけにはいくまい。
 (足立さんなんかは昔を思い出して喜ぶかも知れないが)

「でも、何でそうなったんだろうね?」
「うーーん……わかんない…」
 まあ、悩んでも仕方ないか。

 せっかくの休みということで、朝をテレビ見て過ごしたあと、昼間はデート。
 デートと言っても、メシ食って(千鶴さんが料理をする危険性があったので、家で飯を作るわけにはいかなかったのだ)、ゲーセン寄る程度のデートだが。
 それでも、千鶴さんは上機嫌そうで。

「ねー、耕一たん、あれー」
 千鶴さんが指しているのは、クレーンゲーム。
「あ、クレーンゲームやる?」
「んー……この高さじゃよく見えないの」
 今の千鶴さんだと、景品の状態を見渡すのはつらいだろう。
「じゃあ…」
 ひょい、と千鶴さんを抱えあげる。
 今の千鶴さんなら軽いもの。
「あ……」
 照れてる照れてる。