葉鍵板最萌えトーナメント!!準決勝 Round165!!

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601漢たちの誰彼 ◆801ATCDM
●寝取られアイドルデビュー? 前編(1/6)

 冬弥と結ばれた理奈でありますが、もちろん彼女の芸能界での立場を考えれば
今の段階でその関係をおいそれと公言するわけにはいきません。ましてや冬弥は
理奈の出演するテレビのADでもあるわけですから。
 そんな2人がテレビ局にいる時は、メモ帳に待ち合わせ場所を書いてさりげなく
渡したりしてデートの待ち合わせなどをしております。
 携帯で済ませればいいじゃないか! などと思われるところだと思いますが、
こういうスリルのあるやり方を2人で楽しんでいるわけですね。
602漢たちの誰彼 ◆801ATCDM :02/03/05 13:14 ID:5l1d50sx
●寝取られアイドルデビュー? 前編(2/6)

(コンコン)
「はーい」
 今日はADの冬弥が理奈の共同楽屋のドアを開ける。
「緒方さん、リハーサル10分前です」
「わかりました」
 そういって2人はさりげなく視線を交わす。
「おーい、藤井! 用が済んだらさっさと来やがれ」
「あ、はーい。それでは、よろしくお願いします」
 名残惜しそうにドアを閉めて冬弥は立ち去る。
「彼って意外とADにしては格好いいよね」
 そう言ったのは理奈と別の事務所のアイドルであるニコである。
 普段ファンの前で見せる姿はサイボーグのように完璧。整形疑惑もあるが、
理奈もその姿には同じ芸能人として一目置いている。
「そう思う?」
「うん、ADにしとくのが惜しいぐらいだわ」
「フフ、彼が聞いたら喜ぶわよ」
「なんか誇らしげね、理奈ちゃん」
「え、そんなこと無いわよ」
 理奈は慌てて立ち上がる。
「じゃあ、リハに言ってくるね」
「はーい」
603漢たちの誰彼 ◆801ATCDM :02/03/05 13:15 ID:5l1d50sx
●寝取られアイドルデビュー? 前編(3/6)

(コンコン)
「あい」
 AD冬弥が再び同じ楽屋のドアを開ける。
「ニコさん、緒方理奈さんがそろそろ終わりますので準備お願いします」
「わかった」
「よろしくおねがいします」
「あ、藤井くん!」
 そのまま去ろうとする冬弥をニコが引き止める。
「ちょっとこっち来て」
「はあ」
 冬弥がニコに近づいていくと、突然ニコの顔が藤井のかなり間近にまで接近してきた。
「ちょ、ちょっと」
 お互いの鼻先がくっつきそうになるぐらいまで接近する。
「目やにがついているわよ」
 そういって指で冬弥の目蓋に触れるニコ。ニコの呼吸が鼻腔に入り込む。
ニコはミントのガムを噛んでいたせいか、いい匂いだ。心なしか胸の先も
少し身体に当たっている気がする。理奈よりも大きいからそう感じる…。
「取れたは。ダメよ、疲れてても身だしなみはチェックしなくっちゃ」
「あ、ありがとうございます」
 夢み心地でいた冬弥だが、後ろを振り向くと一気に地獄に落ちることになった。
604漢たちの誰彼 ◆801ATCDM :02/03/05 13:15 ID:5l1d50sx
●寝取られアイドルデビュー? 前編(4/6)

「り、いや、緒方さん?」
 怒りに打ち震えているはずの理奈の顔は、しかし、とても華やかな笑顔だった。完璧すぎるほどに。
「ニコさん、私のリハーサル終わりましたのよ」
「あ、わかりました。じゃあ、行きましょうか藤井さん」
「そ、そ、そうですね」
「じゃあ、理奈さん失礼しますね」
「ええ。ごゆっくり。藤井さんもがんばってくださいね」
「あ、ありがとうございます」
 立ち去ろうとする冬弥に後ろからものすごい視線が突き刺さるような感触がする。

「ねえ、藤井さん。失礼なこと聞くけど彼女とかいます?」
「彼女ですか」
 もちろんすぐに理奈の顔が浮かんだ冬弥であるが、今はまだ話すわけにはいかない。
「いえ、今は特に。残念ながら…」
「あら、藤井さんとてもモテそうなのに」
「いえ、そんなことないですよ」
「じゃあ、脈ありですね」
「え?」
「いえ、なんでもありません」
 そのまま2人でスタジオに入っていくのだった。
605漢たちの誰彼 ◆801ATCDM :02/03/05 13:15 ID:5l1d50sx
●寝取られアイドルデビュー? 前編(5/6)

「か、考えてみればあの人由綺から私に乗り換えた人だもんね。さらに乗り換えるという可能性も
無きにしてもあらずだわ…」
 理奈が爪を噛みながらイライラしている。
(コンコン)
 冬弥かと思った理奈はメいっぱい不機嫌な顔を浮かべてノックに答えた。
「理奈さん、本番…本番です!」
 しかし、ドアを開けたのは別の女性ADだった。理奈の顔を見て一気に怯える。
「あ、あら。そうですの。はは」
理奈は慌ててアイドルのスマイルに変えた。

「コーヒー持ってきました」
「ありがとう、藤井さん。ごめんなさいね、こんなことお願いしちゃって」
「い、いえ」
 冬弥がコーヒーを差し出すと、ニコの手と触れ合った。
「あ、すいません」
「あら、手が触れたぐらいじゃないの。ウブね」
 フフフ、とニコが冬弥に向けて笑みを浮かべる。
「な、何、顔を赤くしているのよー!」
 激怒の表情を理奈が浮かべる。
「り、理奈さん。どうかされましたか?」
「いいえ、何も」
 そのまま営業用のスマイルに変え理奈がステージに歩き出す。
「そ、れでは本番参りまーす」
606漢たちの誰彼 ◆801ATCDM :02/03/05 13:16 ID:5l1d50sx
●寝取られアイドルデビュー? 前編(6/6)

「クソー、何よあの女」
 理奈は怒りに打ち震えながらお手洗いで手を洗っていた。
「だいたい、冬弥くんも冬弥くんよ。なに、あの表情。完全に意識してるじゃない!」
 今日は家に帰っても口聞いてあげない。そう決心して理奈は楽屋に戻った。
 そうするとニコもすでに戻っていて弁当を手元に広げていた。
「あら、ニコさん。いつもはテレビ局の弁当は食べないのに」
「朝抜いてきちゃったからどうしてもお腹がすいちゃって。それよりこれ見てよ」
 そう言ってメモ用紙を理奈に見せる。
「今夜7時エコーズで待つ。藤井。梅のにぎり」
 理奈が口に出して読むと不機嫌だった理奈の頭の中が少し晴れた。
(いや、今日は口を聞いてあげないんだったわ)
 慌てて理奈が首を振る。
「弁当の上においてあったのそれにしても、彼って結構積極的ね。
まさか向こうから誘われると思わなかったわ。
「…え!」
「しかし、この梅のにぎりというのはどういう意味かしら」
(そ、それはおがたりないで「おがたりな」という意味よ)
 などと口に出して言えるはずも無く…。
「じゃあ、今夜彼をいただいちゃおうカシラね、フフフ」
(ちがう! 違うのよ!)
「じゃあ、お先に」
「え、ええ、お疲れ様です」
 止めることが出来ない理奈はただ笑顔で立ち去るのを見送るしかなかった。