葉鍵板最萌えトーナメント!!準決勝 Round165!!

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367yoruha ◆ZO8gDhRQ
 緒方理奈支援SS「朝」(1/6)
 
 
 朝の、ささやかな静けさが室内を満たす。
 小さく耳を傾けると、もぞもぞとシーツを動かす音がする。
 ちらり、と目を開けて横を見てみる。
「……」
 すー、と理奈ちゃんが寝息を立てている。
 シーツに包まったその姿は、……かわいい。
 
 ――軽く、見つめてみる。
「おはよう」
 起こさないように声をかけて、ベッドから抜け出そうとした。
 ……腕を、引っ張られている。
「……冬弥君、おはよう」
 どうやら、もう起きていたらしい。
 彼女はにこりと笑って、シーツから顔だけを出す。
「ごめん、起こしちゃったかな?」
「そうね……、じっと見られてたから」
 微笑んでいる。
 小さく引っ張っていた手を離して、呟く。
 ちょっとだけ、視線を逸らして。
「え……えと、先に部屋から出てくれる?」
「う、うん。いいけど」
 こころなしか、動揺しているようだ。
「もう一回寝るわけじゃないから、安心して」
 表情に気づいたのか、そんなことを言う。
 判った、と答えて着替えを取ってドアへと向かう。
 
 その途中、なんとなく、振り向いてみた。
368yoruha ◆ZO8gDhRQ :02/03/05 08:40 ID:Ikqg1H0K
 緒方理奈支援SS「朝」(2/6)
 
 
 理奈ちゃんの視線と合った。
 シーツから抜け出そうとしているところだったようだ。
 ふたりとも、動きが止まる。
 とりあえず謝る。
「あ、えーと。……ごめん」
 理奈ちゃんが恥ずかしそうに言う。
「冬弥君の……えっち」
「い、いや。いきなりだったんで」
 慌てて、外へと出た。
 
 ドアの外に出ると、衣擦れの音がかすかに聞こえた。
 軽く伸びをしながら、理奈ちゃんが出てくるのを待った。
 しばらくすると、ドアが音を立てて開く。
「冬弥君、どう……かな?」
 部屋のなかにあった着替えから選んだのだろう。
 やっぱり恥ずかしそうにしている。
 ドアから小さく顔を出して、伺うようにこっちを見る。
「あ……その、なんと言うか」
「似合わない?」
「似合う……けど」
 と、言うか抱きしめたい。
 大きめの白いワイシャツだけを、肌の上から着ていた。 
「あ、その……可愛いよ。ものすごく」
 照れたように言うと、
 
 本当に珍しく、理奈ちゃんは、顔を真っ赤にした。
369yoruha ◆ZO8gDhRQ :02/03/05 08:40 ID:Ikqg1H0K
 緒方理奈支援SS「朝」(3/6) 
 
 
 そのままの格好で朝食にした。
 ごく普通のトーストと珈琲。
 ジャムやバターを用意しているうちに、理奈ちゃんを座らせる。
 彼女は椅子に座って、トーストをくわえたまま、こっちのほうを見上げた。
「……はむ」
 なにか言いたげな目。
 眠そうな瞳が、かすかに揺れる。
 食べながら、なにかを見ている。
「えっと……何を見てるの?」
 聞いてみる。
 理奈ちゃんは小さく珈琲のカップに口をつけてから、答えた。
「うん。やっぱり……あなたは格好いい」
 真顔で、そんな台詞を言ってくる。
 こっちは、その言葉に困ったように笑う。
 ……照れ隠しだけど。
 そんな考えに気づいているのだろうか。
 微笑みながら、真っ直ぐにこっちを見ている。
 その口から、言葉が漏れる。
 
「好きよ」
 
 ささやくように。
 恋する乙女の表情で。
 熱を込めて。
 軽く、こっちの目を覗き込むように。
370名無しさんだよもん:02/03/05 08:40 ID:4Q0RcniQ
千鶴嬢支援!!(神藝工房の方すみません!)
「MoNochrome」はアガっているが、落とすの重そうなんで、「MoNochrome_Pre」(2.75M)をアゲ。
痕ファンよ、萌え上がれ!

ttp://www.geocities.co.jp/Bookend-Kenji/9328/MoNochrome_Pre.zip

本当は持ってる痕の動画全部アゲたいが、容量的に不可能Death。
371アリョーシャ ◆cqNLfI7o :02/03/05 08:41 ID:QrLfgNm4
午前8時現在までの自作支援画像をサイトにアップいたしました。

http://www.geocities.co.jp/AnimeComic-Tone/6683/
372yoruha ◆ZO8gDhRQ :02/03/05 08:41 ID:Ikqg1H0K
 緒方理奈支援SS「朝」(4/6)
 
 
 顔が赤くなるのは、自分でも判った。
 何度も言われてきた言葉。
 それでも、慣れることがない。
 
 ――見とれてしまう。
 
 向けられる微笑みに、
 動くことすら出来ない。
 
「冬弥君?」
「あ……うん」
 反応が面白かったのか、珈琲を手に、不思議そうな顔をする。
 照れているのだと気づいて、やわらかく笑う。
 カーテンの隙間から差し込む光に、目を細める。
 理奈ちゃんが席を立って、窓の方へと向かう。
 趣味のいい白のカーテンを、一気に引きあける。
「わあっ」
 声を上げる彼女。
 はしゃぐその姿は、子供のよう。
「ねえ……後で海に行かない?」
 外に見える景色は、澄みきった青。
 なるほど。
 目を奪われるほどに綺麗な海だ。
 昇り始めた太陽のオレンジと対象的に、一面の青。
 水着のことを訊くと、用意があるらしい。
 楽しそうに外を見る彼女は、可愛かった。
 同じように揺れる波間を見ていると、なぜか嬉しくなった。
373yoruha ◆ZO8gDhRQ :02/03/05 08:41 ID:Ikqg1H0K
 緒方理奈支援SS「朝」(5/6) 
 
 
 海岸に出ると、人はいない。
 なんとなく、独り占めしたような気分で見回す。
 静かな波の音。
 近寄ってくる足音が、その狭間で砂を踏む。
「気持ちいいわね……」
 風に、彼女の髪が流れる。
 うん、と素直に頷く。
 水着の彼女が、焼ける砂を歩く。
 地平線の彼方まで、なにもない場所。
 世界に、二人っきりになったような感覚。
 いつの間にか、となりに並んだ理奈ちゃんを見ると、彼女もこっちを見た。
 どうやら、同じことを考えていたらしい。
 顔を見合わせてしまった。
 広がる海へと無理やりに目を向ける。
 青が目に飛び込んできた。
 誤魔化したのは、あっさりと見破られている。
 くすっ、と彼女は小さく笑いを漏らす。
 耐え切れなくなって、それに続くように笑い始める。
374yoruha ◆ZO8gDhRQ :02/03/05 08:41 ID:Ikqg1H0K
 緒方理奈支援SS「朝」(6/6)
 
 
 しばらく笑って、ようやく収まってきた。
 理奈ちゃんを見ると、少し、目に涙を浮かべていた。
「……もうっ」
 ちょっとだけ、拗ねたようにこっちを見る。
 そのまま後ろを向いて、軽く伸びをする。
「うーん」
 強く、白い光にその影が映える。
 
 ――ほんの少しだけ、彼女が儚げに見えた。
 
「ほらっ、冬弥君……泳ぐわよ」
「……うん」
 頷きながら、彼女に近づく。
 
 そのまま抱きしめた。
  
 一瞬。
 彼女は驚いたようだが、すぐに力を抜いた。
 理奈ちゃんは、抱きしめた腕に手をやる。
 優しく、触れるように。
「……行きましょう?」
「……うん」
 本当に、楽しそうに。 
 
 彼女は、輝くような笑みを浮かべた。