葉鍵板最萌トーナメント!! 準決勝 Round164!!
『バラエティ特番企画?(1/2)』
1ステージ終えた理奈は、楽屋で一人、眠っていた。
机の上に突っ伏して、かわいい寝息を立てている。
ガチャ。
「理奈。……なんだ、寝ているのか」
緒方英二は理奈の顔を覗き込む。閉じた目蓋の下に、長い睫毛が艶やかに並んでいる。英二はそっと髪を撫でた。
「まぁ、どうせ次の収録まで時間はあるからな。少しは眠らせてやるか」
「ん……兄さん……」
「ん? 俺の夢でも見ているのか?」
苦笑しつつも、悪い気はしない。果たして自分は夢の中でどんな役回りを演じているのか。
「だめ、その料理を食べたら……死んじゃうかも……。兄さんならいいか……」
おいおい。どんな料理かは知らないが、俺なら喰ってもいいのか?
英二は起こさないように、心の中で突っ込む。
やれやれと呆れ、ちょっとだけ掠めるように、でこピンをする。
そして、理奈の上に自分のコートを掛けて、出ていった。
……ガチャ。
「理奈ちゃん? あ……寝てるんだ」
由綺だった。
「やっぱり……理奈ちゃんかわいいよね」
別にそういう趣味はないが、寝ている姿は可愛らしく、保護欲をそそる。
「このコート掛けたの……英二さんかな? でも、今日は冷えるから……」
由綺は自分のコートを理奈に掛け、楽屋を出ていった。
……ガチャ。
楽屋をきょろきょろと見渡す弥生。
探していた由綺がいないので、そのまま出ようとしたが、眠っている理奈に気づいた。
姿を消すこと一分。
どこからか毛布を手に入れた弥生は、それを理奈の上に掛ける。
「ん……」
理奈が身じろぎしたのを満足したと解釈し、楽屋を去っていった。
<<ちーちゃん>>マンセー
『バラエティ特番企画?(2/2)』
……ガチャ。
「毎度」
どこからともなく、はるかが現れた。
なにしに来たのかは知らないが、毛布とコートに埋まった理奈を発見し、ぽんと手を叩く。
「ん……こういうゲームなんだね、きっと」
ちがう。激しく突っ込むべきだったが、理奈は少し苦しそうに眠ったままだ。
その上にはるかは暗幕を掛けた。……どこから持ってきた?
「大道具部屋」
満足そうにはるかは出ていった。
……ガチャ。……ガチャ。……ガチャ。
やがて冬弥がやってきた。
「うわっ!」
そして布の固まりを発見し、驚く。
「なんなんだ、これ……」
恐る恐る覗き込むと、中から『んぎゅぅ』と潰れた声が聞こえる。
冬弥は慌てて布団の掘り出し作業にかかった。
3分後、緒方理奈がその中から発掘される。
「理奈ちゃん! 理奈ちゃん! しっかりしろ!」
汗に濡れた緒方理奈はなまめかしく、冬弥は少し理性が暴走しそうになる。
が、理奈がうっすらと目を開けてしまった。
冬弥は安堵半分残念半分のため息をつく。
「大丈夫?」
「な、なんで私、布の群れに埋まっていたのよ……」
ガチャ。
「そーいう企画だから」
涼しげにはるかが告げ、「ばいばい」と手を振って、去っていった。
一瞬の間。
「どーいうことよぉーーっ!」