葉鍵板最萌トーナメント!! 準決勝 Round164!!

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661yoruha ◆ZO8gDhRQ
緒方理奈支援SS「Waiting for you」(5/5) 
「今日はありがとう……」
「よかったわ。喜んでもらえて」
 理奈は笑みを浮かべて、珈琲を頼む。ちゃっかり由綺の分も頼んでおくことを忘れない。
「理奈ちゃん、でも、本当にいいの?」
「あたりまえでしょ」
「でもー」
 尚もいいつのる由綺の顔に、自分の顔を近づけてささやく。
「遠慮する必要なんてないの。判った?」
「……うん」
 ようやく納得したような由綺。運ばれてきた珈琲に、軽く砂糖を入れる。
「それでも気になるのなら……そうね」
「……?」
「いつか、私と同じところまで、上ってきなさい」
「理奈ちゃんと……同じところに」
「どうかしら。頑張れる?」
 由綺は深刻そうな顔をして、決意を固めたかのような表情になる。一転して、笑顔になる。
「うんっ。がんばる」
 答えた由綺の笑顔につられるように、理奈が可愛らしく微笑む。
「じゃあ、それまで、由綺が来るのを待ってるからね」
 飲み終えた珈琲のカップをテーブルに置いて、立ち上がる。   
 勘定を手にして、そのままマスターに声をかける。
 慌てて立ち上がろうとする由綺。それを、手で制する。
「まだ食べ終わってないでしょ? それに、例の彼が来るんじゃないの?」
「あ……うん」
「じゃあね」
 手を振りながら、颯爽と店を出る理奈。道行く誰もの目を引いて、堂々と歩き出す。
「さーて、宣言した以上は、こんなところで負けてなんていられないかぁ」

 そう言って、トップアイドル緒方理奈は、本当に楽しそうに微笑んだ。