葉鍵板最萌トーナメント!! 準決勝 Round164!!
613 :
yoruha ◆ZO8gDhRQ :
緒方理奈支援SS「Waiting for you」(1/5)
喫茶店「エコーズ」の店内。
マスターが独りで作業していると、二人の客がやってきた。
静かな雰囲気の店内では、常連には、もはや見慣れた人影。
「由綺……、明日なんだけど空いてる?」
「えっと、うん。空いてるけど」
二人が奥の席に座ると、話を始めていた。
マスターが注文を聞きに行く。
「ご注文は?」
大抵の場合、いつも頼んでいるものに決まるが。
「えっと、私はナポリタンと紅茶で。理奈ちゃんは?」
「うーん。とりあえず珈琲だけで」
豆はいつもの、と付け加えたことに頷きながら、マスターはカウンターへ戻る。
「で、空いているなら、ちょっと付き合って欲しいのよ」
「へ? なんで」
「最近、選ぶ服が全部似たような感じになっちゃててね。由綺の意見を聞きたいのよ」
「う……ん。判ったけど」
歯切れの悪い返事。
軽く、言いにくそうにしてから呟く。
「でも、私の選ぶ服でいいのかな……」
「ええ。気になるなら……そうね、参考程度にするから、っていうのはどう?」
「まあ、それならいいんだけど」
困ったように笑う。
理奈は返事を聞いてすぐ、待ち合わせ場所を相談した。
由綺が選んだ店に行く、ということになった。
いい匂いが店内を満たす。
「うん。やっぱりここの珈琲はおいしいわね」
そう、理奈が呟く。
しばらくして、由綺の頼んだメニューが届くと、ゆっくりと食べ始めた。