葉鍵板最萌トーナメント!! 準々決勝 Round158!!

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782琉一
「そうだ! サッカーを教えてやって欲しい」
「はぁ? サッカー?」
 浩之の頼みはいつだって唐突だ。
 パンを片手に次の休みはどうしようかと話していたら、いきなりこうきた。
「おう、素人なんだけどよ。飲み込みはいい方だと思うから、ちょちょいっと、頼むわ」「僕はかまわないけど……」
 でも教えて欲しいって……少年サッカーチームの監督にでもなったのかな?
 そして日曜日。浩之に連れられた郊外の研究所らしき場所で……僕はオレンジ色の髪をした、メイドロボに出会った。
 Kurusugawaとロゴの入ったTシャツに、白い二本線の入った黒のスパッツ。
 肘とひざにはサポーターまで付けて、すっかり臨戦態勢だ。後で見たら、背中には背番号10番まで付いていた。
「ほら、こいつ。マルチは知ってるよな? マルチの妹で、セリオっていうんだ」
「はいっ! 私の自慢の妹です!」
「HMX−13、セリオです。今日はよろしくお願いします」
 深々と礼をするしぐさはスムーズで、耳のセンサーと硬い表情をのぞけば、とてもメイドロボには見えない。
 でもマルチもメイドロボには思えないからなぁ。最近の技術ってすごい。
「えっと……ひょっとして、この子にサッカーを?」
「そういうことだ。佐藤君だったね? よろしく頼むよ」
 この研究所の責任者らしい、メガネのおじさんからも頭を下げられる。
「私にも、お願いしまーす!」
 加えてわくわくした様子のマルチからも頼まれる。
 マルチも同じ恰好で、背番号は9番だった。
「タイガーショットで森崎君を粉砕です!」
 ……なんか恐いこと言ってるなぁ。