葉鍵板最萌トーナメント!! 準々決勝 Round158!!

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624荒れホZ
セリオ支援SS「温かい紅茶」1/2

「セリオ。綾香とはいつもどんな話してるんだ?」
紅茶を入れながら藤田様が私に問い掛けた。ふと顔を上げる。
「どうして?」
「もしあのパーティーに綾香がいたら。少しは話せたかなと思ったんだ。」
松原葵様の勝利パーティー。私は綾香様から花を渡すように頼まれてここに来た。
当然、綾香様も松原様の先生であるから呼ばれたのだが
「あたしが行っちゃ無粋ってもんよ。」という私には理解できない理由で
いらっしゃらなかったのだ。
「まあ、呼んでもこなかったんだろうけど・・・・」
ティーポットを揺らしている。紅い透明な液体・・・・・きれい。
「綾香様と話がしたいのですか?」
至極当然の疑問が浮かんだ。
「・・・・・・・・・・・・・うん。」
なれた手つきで紅茶を入れる藤田様。紅い色・・・・・私を惹きつける。
「話して何が変わるってわけでもないだろうけど、でも今のこんな状態のまま
・・・・・・綾香が憎まれたままエクストリームを続けているのが辛いんだ。」
憎まれる?・・・・・・・・坂下様ですね。同門だった。
625荒れホZ:02/03/01 04:28 ID:DAlCEIrw
セリオ支援SS「温かい紅茶」 2/2

「そうですか。・・・・・・・言えばいいじゃないですか。」
一番相手に伝わるのは言葉にすることである。
「え?」と驚いて顔を上げた。私は続ける。
「思っている本当のことを、綾香様に言えばいいんですよ。」
私はまっすぐと藤田様を見つめた。藤田様も私を見ている。
わずかな沈黙。
「そうしないと何も始まりません。」
藤田様が紅茶を入れ終わった。紅い、透き通った色。
「きれいな色・・・・紅茶淹れるの上手ですね。」
そのきれいな色が私を魅了する。暖かい・・・・紅色。
「飲んでもいいですか?」私が尋ねると藤田様は一瞬戸惑って
「あ・・・・・・うん。」と応えた。
私はその紅い液体を口に含んだ。私の喉を通るのが分かる。
同時に藤田様も口をつける。
「少し苦かったね。」ややはにかんで私に話し掛ける。
もちろん私に味覚はない。
「でも、暖かいです。」
藤田様の心と同じくらい。