葉鍵板最萌トーナメント!! 準々決勝 Round158!!
こちらにて入場をば。
コール。
それに導かれるように、HMX−13セリオは、セコンドの綾香、浩之とともに控え室を後にした。
三人は、無言で廊下を歩く。試合前の、心地よい緊張を、セリオも感じていた。
徐々に大きくなる歓声。それを封じ込めた扉の前に、一人の女性が立っていた。
前試合の勝者、日本が誇るトップアイドルにして、セリオの同級生、緒方理奈。
試合後に、慌てて着がえたのか、彼女は寺女の制服を着ている。
近付くと、彼女はすっと、右手を上げた。
その仕草の意味がわからず、セリオは立ち止まった。後ろについていた綾香が苦笑して、セリオの耳元にささやく。
「あれはね、ハイタッチっていうの。すれ違う時に、同じように手を上げて、手のひらどうしを打ち合わせるの
よ。ま、相手の勝利と健闘を祈る儀式ってところね」
セリオは、微かに頷いてまた歩き出し、すれ違いざまに理奈の手を打った。
「セリオ!」
理奈の声に、セリオは振り向く。
「待ってるわよ」
「はい」
セリオはぺこりとお辞儀をして、扉に向かう。
理奈が見つめる中、アリーナへ通じる、大きな鉄の扉がゆっくりと開き、セリオは、歓声の中に飲み込まれていった。
HMX−13セリオ、入場!