葉鍵板最萌トーナメント!! 準々決勝 Round157!!
927 :
千鶴入場3:
「お姉さんと私が戦うことになって、つらくない? お姉さんを応援したいんじゃないの?」
普段接してる中で、セリオがロボットであることを忘れがちな千鶴は、なんとなく聞いてしまった。
「つらい、というデータは私の中にはございません。また私のマスターは千鶴様です。マスターの不利益となることは、する理由がございません」
淡々と答えるセリオを見て、千鶴は改めてセリオをロボットだと認識させられる。
そう、と小さく言い、少し悲しげな表情を浮かべながら再び歩き出そうとする。
「…ですが」
と、千鶴の背中にセリオの声が届く。
「ですが、今現在の私の中には、解析不能なバグが生じております」
千鶴は再び立ち止まり、振り返った。
「このバグに類似したものは、以前にも観測されております」
そこには変わらず無表情に、淡々と話すセリオがいた。
「HMX-13の前回の、猪名川由宇様との対戦の時のことですが、私達量産型は衛星回線を通じて『支援』並びに『投票』を行おうとしました。しかしながらHMX-13からの指令により、それら行為は全て禁止されました」
しかしその無表情が悲しみをこらえているものに見えるのは、千鶴の気のせいだろうか?
「このバグが観測されたのはこの時でしたが、その日の23時過ぎにHMX-13の勝利が確定した際に消滅したので、研究所の方に報告するのみで終わりました。研究所によると、同種のバグが他の量産型にも確認されたとのことで、同時に問題ないとの返答もありました」
928 :
千鶴入場4:02/02/28 23:46 ID:h30F5ecX
「ですが先ほど、千鶴様が『つらくない?』と私に問われた際より、再び観測されています」
千鶴は、思わず手に口を当てる。
「只今研究所の方に報告してみたのですが、現時点では他の量産型には確認されてないとのことです。…異常かもしれません」
と、セリオの声が通常使用されているモノから、より無機的で機械であることを強調するようなものに変わる。
「ワタクシHM-13serio-0453ハ故障シテイル可能性ガゴザイマス、さーびすせんたーニ問イ合ワセルコトヲオ勧メシマス。ナオ修理ニ関スル費用デスガ、内部ばぐノ場合ハ…」
千鶴はセリオに思わず抱きつく。その感触はロボットとは思えないほどにやわらかく、暖かい。
「いいえ、あなたは故障なんかしていないわ、セリオ。だから、だからそんな声で話すのをやめて!」
叫びながら、千鶴は泣いていた。
「ごめんなさいね、ごめんなさいねセリオ、私が考えなしにあんなことを聞いて」
「無理しなくていいから、今日の会場に付いてこなくてもいいから、だから…」
「……千鶴様、泣くのはお止めください」
セリオが千鶴に言う。その声は通常のものに戻っていた。
929 :
千鶴入場5:02/02/28 23:47 ID:h30F5ecX
千鶴は、思わず手に口を当てる。
「只今研究所の方に報告してみたのですが、現時点では他の量産型には確認されてないとのことです。…異常かもしれません」
と、セリオの声が通常使用されているモノから、より無機的で機械であることを強調するようなものに変わる。
「ワタクシHM-13serio-0453ハ故障シテイル可能性ガゴザイマス、さーびすせんたーニ問イ合ワセルコトヲオ勧メシマス。ナオ修理ニ関スル費用デスガ、内部ばぐノ場合ハ…」
千鶴はセリオに思わず抱きつく。その感触はロボットとは思えないほどにやわらかく、暖かい。
「いいえ、あなたは故障なんかしていないわ、セリオ。だから、だからそんな声で話すのをやめて!」
叫びながら、千鶴は泣いていた。
「ごめんなさいね、ごめんなさいねセリオ、私が考えなしにあんなことを聞いて」
「無理しなくていいから、今日の会場に付いてこなくてもいいから、だから…」
「……千鶴様、泣くのはお止めください」
セリオが千鶴に言う。その声は通常のものに戻っていた。
「…セリオ?」
「お言葉ではございますが、一回戦より千鶴様は、会場へのアクセスに際し私の回線を使用しております。失礼ながら千鶴様の独力では到達することは難しいかと存じ上げます」
ポカンとしながら腕の中のセリオを見つめる千鶴。変わらず無表情なセリオがそこにいる。