葉鍵板最萌トーナメント!! 準々決勝 Round157!!
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頭文字J:
セリオ入場SS「星は星から」5
だめよ、と綾香は強い口調で言った。
「しかし、参加する理由がございませんが」
「理由なら、あるわ」
綾香は、探っていた手を、バッグから引き出した。
その手に握られている布。どうやらコスチュームのようだと判別したが、入れた覚えは、
セリオにはない。
「これよ」
綾香は、広げて見せた。
TEAM TO HEART.
QUEEN OF QUEENS.
黒の字に、銀の文字があしらわれた、リングコスチューム。
「綾香様の、ではありませんか」
「ちがうわね。デザインは同じだけれど、サイズはあなたに合わせてあるわ。本当は決勝
で私と戦うとき、セリオに着てもらうつもりだったけれど」
負けちゃったからね。
綾香は、軽い口調で言ったが、今になって悔しさがこみ上げてきたのか、目元がわずか
につりあがったのをセリオは見た。
「あなたは、今はただのメイドロボットよ。でも、このコスチュームを着て戦ったら、き
っと周りの人は、さすが来栖川の『人間』だというでしょう。サブヒロインにすぎなくて
も、生き残ったのがセリオだけなら、評価も変わるでしょう。メインヒロインもサブヒロ
インも、かわらない萌えの要素をもっているのだと、世の中に知らしめることができるわ」
綾香は、見るからに消耗しきった体を無理に持ち上げて、セリオの正面に立つと、言っ
た。
「勝ちなさい、セリオ。星は星の残骸の中から生まれ出でるものよ」
そして綾香は、コスチュームをセリオに手渡した。
今にもなくなってしまうような軽い生地のなかに、確かなぬくもりをセリオは感じた。