葉鍵板最萌トーナメント!! 準々決勝 Round157!!
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頭文字J:
セリオ入場SS「星は星から」4
「あかりはね」
やや唐突に、綾香は切り出した。
「守るものがあって、完全に守りに入った。だから負けた。私は、奪うものがなくなって、
負けた」
ふと思い出したように、綾香はソファの上に放り出してあったバッグを手元に引き寄せ
る。
「他の知り合いは、相手が強かったか実力が不足していたのかはわからないけれど、それ
ぞれ理由があって出場して、負けて消えていった」
綾香は、スポーツバッグのジッパーを大きく開けて、中に手を入れて、少々乱暴に探り
出す。
「さて、ここでセリオに訊くわ。あなたは何のために、このトーナメントに出場して、勝
ち続けているの?」
セリオの見ている前で、セリオが荷物を詰め込んだバッグを、綾香は相変わらずかき荒
らしながら、問う。
「私は少しでも綾香様のためになればと」
それは、綾香が依頼したことであった。
トーナメントは運の要素が大きい。決勝レベルの選手が組み合わせ次第で予選において
も、ばたばたと消えてゆく。だからこそ、情報の多さが勝負を左右する。綾香がセリオに
頼んだのは、EFGH各ブロックの戦力分析である。
だが、綾香は負けた。
もうセリオが戦い続ける理由は、現時点ではない。
「では、棄権いたしますか」