葉鍵板最萌トーナメント!! 準々決勝 Round157!!

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871頭文字J
 セリオ入場SS「星は星から」1

 予感は、あった。
 星星の残滓と、本人は自身を評した。
 滅び去る恒星の爆発による、一瞬の輝きと。
 あかりの敗北を知らされた綾香の、常にない自虐的なその言葉に、どのような想いがこ
められているのか、その時点ではセリオには知る由もなかった。
 ただ、その言葉を聞いたとき、腹部の擬似筋肉が幾度か小刻みに誤作動し、胸部センサ
ーが圧迫されるのを感知した。セリオの語彙の中に、そのような不随意の胸部・腹部筋の
痙攣をどう表現するのかがあった。
 胸騒ぎ。
 だから、予感だけが、あった。

 試合中の綾香は、明らかに精彩を欠いていた。
 簡単なフェイントに引っかかり、見栄えのする大技ばかりを繰り出し、カウンターを当
てられた。派手さはあり、観客は沸いた。が、ファンの熱狂と判定は別物である。何度か
綾香の時間帯はあったものの、それでも試合の要所要所では、相手に攻め込まれ、ポイン
トを奪われていった。
 ゴングが鳴り、即時に計測されたポイントは、461-394。
 川名みさきは強い。強いが。これほど完全に綾香が押さえ込まれるとは、セリオは全く
予想していなかった。