葉鍵板最萌トーナメント!! 準々決勝 Round155!!
はむっ
「ー♪」
はむはむと、美味しそうに肉まんをほおばる由綺。
「夜にあんまり食べると、太るわよ」
「ええっ!」
「冗談だって」
本気で驚かれても。
まあ、こういうとこ由綺らしいんだけど。
「それにしても、どっから肉まんなんか」
「ええと、私が買いに行こうとしたんだけど、それはやめてくれって冬弥君が」
ああ、それはそうでしょうね。
「で、冬弥君が代わりに行ってきてくれたんだ」
「そうなんだ。優しい彼氏ね」
「えー、そんなことないよー」
そう言いながら顔、緩んでるわよ。
まったく、ラブラブなんだから。
「ただいまー」
控え室に、藤井君が戻って来る。
「おかえりー」
「おかえり。ねえ、藤井君」
「何、理奈ちゃん?」
「お腹すいたなー」
「え……じゃあ、肉まんあげよっか?」
「それじゃ由綺に悪いし」
「買ってこよっか?」
あ、やっぱり藤井君優しいな。ホントはそれ、由綺だけに向けといたほうがいいと思うけど。
今日はちょっと甘えたい気分。
「そうね……私も時間あるから、一緒に買いに行こ」
「え?」
「由綺、藤井君借りるわね」
「行ってらっしゃいー」
藤井君の手を取り、引っ張るように部屋を出る。
「ごめんね藤井君、邪魔しちゃったかな」
「え、何の?」
「二人の時間」
「……別に、そんな…」
「うふふ、これで許してね」
きゅっと、藤井君の腕に、自分の腕を絡めて。
「え…理奈ちゃん?」
どぎまぎする藤井君。やっぱり可愛いわね。
「大丈夫よ、この時間だったら人も少ないし。ADと私だったら、ふざけてやってるようにしか見えないって」
腕を組んで、お買い物。
それは曲のすぐ横のコンビニに行って返るだけの短い時間だけど。
いいよね、これぐらいの時間だったら。由綺から奪っちゃっても。
つかの間の恋人気分を楽しむように、私は、藤井君と組む腕に力を込めた。