最萌トーナメント支援用SSスレッド#2

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309詩子さん ◆SHIIko2U
最萌が終わっても、ネタがあると字を書いちゃう罠。
なにがしだよもんさんへの二次小説、
『緑の絨毯』 全4レスです。


「あ、なにがしさ〜〜〜〜ん!」
 すっかり片づけが済んだ最萌会場。
 残すのは、真ん中のリングと、このピアノのみ。
 最後に上ってきたこの高台。
 そこで、リングのそばを歩いているなにがしさんを見つけた。
 頭を左右に振って声の主を探すなにがしさん。
「こっちこっち〜!」
 あたしの呼びかけにこちらを向いて、にっこりと微笑み、
 その笑顔のまま、なにがしさんはこの高台へとやってきた。


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310詩子さん ◆SHIIko2U :02/03/11 11:30 ID:I8T+50mT
「なにがしさん、おつかれさまでした」
「詩子さん、おつかれさまです」
 小さく下げる頭、
 それとともに柔らかに舞う金の髪、
 そして漂う花の香り。
 なにがしさんの趣味のよさをうかがわせる。
 あたしはその香りに包まれたまま口を開く。
「なにがしさん、本当におつかれさまでした。
 いつも感想、楽しみにしてました」
「ありがとうございます」
 そう、なにがしさんは最萌の間ずっとがんばっていた。
 支援物資へ感想、ネタふり、スレ建てお手伝い、
 その名前を見ない日は全くなかった。
「でも、これでしばらくはゆっくりできますね」
 二次小説を見てしまうとどうしても感想を書きたくなる、
 そんなこと言っていたなにがしさん。
 最萌のときは数が多くて追いつくのに大変そうだった。
 でも、それも終わった今、ゆっくりと見ることができると思っての言葉。
「そうなると思っていたのですけど…」
 ちょっとうつむいてつぶやくなにがしさん。
 あたしはその顔を覗き込む。


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311詩子さん ◆SHIIko2U :02/03/11 11:31 ID:I8T+50mT
「実は3月いっぱいで来られなくなってまうんですよ」
「ええっ!?」
 その言葉にあたしはちょっとショックを受ける。
 昔から、いつも二次小説あるところに現れて、
 的確な感想を残していくなにがしさん。
 その、なにがしさんが3月末で来られなくなる。
「ど、どうしてですか?」
「私の所属する『勝手に感想委員会』の代表として、
 4月から英国へ研究のため留学することになったんです」
「留学!?」
「はい。二次小説などの感想を自分流で書いていたのですが、
 やはりそろそろ限界を感じていたのです。
 そんな時、英国の本部から連絡がありまして、
 こちらで少し研究をしてみないか、と言われまして」
「それってすごいじゃないですかっ!」
 思わず出てしまう大きな声、
 びっくりして目を見開くなにがしさん。
 あたしは頭を下げてあやまる。
「いいえ、だいじょうぶですよ」
 でも、なにがしさんはたおやかに答えてくれた。


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312詩子さん ◆SHIIko2U :02/03/11 11:36 ID:I8T+50mT
「いつかは戻ってくるんですか?」
 あたしは一番気になることを聞いてみる。
 けれども、なにがしさんはあいまいに微笑みを返すだけ。
「そう…ですか…」
 聞こえないように小さく呟いてから、
 あたしもなにがしさんに微笑みかける。
 悲しくならないように、気にさせないように、少し無理な微笑み。
 そして、それをごまかすようにピアノへ向かい、座りなおす。

「なにがしさんへ一曲…」
「ありがとうございます」
「いいえ、今までお世話になったお礼にしては安すぎますけど…」
「そんなこと、気にしないでください」
 優しい、なにがしさんの言葉を受けながら、
 あたしはピアノを弾き始めた。
 遠い国の、緑色の絨毯を浮かべながら。


音楽はこちら。
イギリス民謡『グリーンスリーブス』です。
http://ichigo.sakura.ne.jp/~go/img/img-box/img20020311113538.jpg

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