1 :
伊吹ハム子:
んふぅ。早くぅ。
>鮮烈風子隊
ウザイ
>>194の誤爆が書き込まれる予定だったスレハッケソ
_人
ノ⌒ 丿
_/ ::(
/ :::::::\
( :::::::;;;;;;;)_ ┌┴┐ - ./ ─┐ ..┃
\_―― ̄ ̄::::::::::\ ノ ___ノ ..─┘ ̄ ̄ ・
\ ノ ̄ ::::::::::::::::::::::) /
\( ::::::::::::::;;;;;;;;;;;;人/
/ ̄――――― ̄ ̄::::::::\
( ● \__/::●:::::::::::::)
\__::::::::::\/;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;ノ
/ ドッカン
/ / ,,_ ドッカン
━━━━━'), )= ☆ゴガギーン
∧_∧ヽ\ / / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
( ) 〉 〉_ _ ____ ∧_∧ ∠ おらっ、出て来い◆LoveOR1o
/ ⌒ ̄ / "'''"'| || (`∀´ ) \___________
| | ̄l | |/ / \
. | | | | || | | /\ヽ
| | .| | | へ//| | | |
( | .| ロ|ロ ゙!l''ヽ/,へ \|_ | | |
| .lヽ \ | | ヽ\/ \_ / ( )
| .| 〉 .〉 | | | |
/ / / / | | 〈| | |
/ / / / | | || | |
/ / / / └──┴──┘ | |
どこよりも早く名スレの予感
寝ろ
Karen&上田庄吾のコラボレーションを見たかった……
各スレの矛感
各停スレの矛感
11 :
名無しさんだよもん:02/02/26 01:21 ID:U4+inQiI
みんなっ、外科はないっ?
耳鼻科ならある。寝ろ
13 :
伊吹ハム子:02/02/26 01:49 ID:GMUKslSX
うふふっ。みんなで気持ちよくなろうよぉ〜。
なぜそんなに気持ちよくなりたがるのか…(;´Д`)
彡 ビュウウウ…
彡
彡
.∧ ∧ このスレ寒いなオイ…
ヾ(,,゚Д゚),)
人つゝ 人,,
Yノ人 ノ ノノゞ⌒〜ゞ
. ノ /ミ|\、 ノノ ( 彡
`⌒ .U~U`ヾ 丿
>>16 寝ろ
あったかい布団に包まれて
朝まで寝ろ
18 :
伊吹ハム子:02/02/26 02:14 ID:GMUKslSX
,. -‐'ニ、⌒` ‐ 、_
/ ⌒`'⌒ -‐ `-、
/ / ヽ \
,' / / / / , \
.i l / / / i. _/ 〃 / ,l l ヽヽ
l | ! .l-l‐|.7フl // ,〃./、| l. i、`,
リ| l.、l .l'_L-=レ/ /ノノノヽ l. i !V
!l {fj |.|´|f;;j|!' ´ ィi}ヽノノノ.ノ .ノ
Nヽ.N -'ー , liソ∠ノノ ' ´ / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
!ヽ\ ∀ / < わたしのココで…キモチよくなってぇ…
,.i!、 ` 、_ . ‐ ´ \____________
/ ` 、! 、
〈_ /ハ∧
/ `丶、 .//ヽ`i`,
/ `丶、 `´ :ト、
/ ヽヽ
{/`丶、 ヽヽ
! ヽ ヽ. ヽヽ.
何でこんなところに『夜が来る!』スレが?
とか思ったら違うのか。がっかり。
紛らわしいことするな。ちぇっ。
いいなぁ〜昔漏れが立てた糞スレよりもたくさんレスついてるよ(藁
22 :
名無しさんだよもん:02/02/26 13:29 ID:u1RoDK6i
age
sage
近ごろ駄スレに寛容な葉鍵板。
25 :
名無しさんだよもん:02/02/27 01:34 ID:6dDf0JA4
,. -‐'ニ、⌒` ‐ 、_
/ ⌒`'⌒ -‐ `-、
/ ヽ \
,\ ヽ' / / / / , \
.i l / \ \ / / i. _/ 〃 / ,l l ヽヽ
l | ! .l- l\ \‐|.7フl // ,〃./、| l. i、`,
リ| l.、l .l'_L- \ \=レ/ /ノノノヽ l. i !V
!l {fj |.|´|f;;j|!' \ \ ´ ィi}ヽノノノ.ノ .ノ
Nヽ.N -'ー \ \ liソ∠ノノ ' ´ / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
!ヽ\ ∀ ヽ \ / < わたしのココで…あひゃ!
,.i!、 ` 、_ . ‐ ´ \____________
/ ` 、! 、
〈_ /ハ∧
/ `丶、 .//ヽ`i`,
/ `丶、 `´ :ト、
/ ヽヽ
{/`丶、 ヽヽ
! ヽ ヽ. ヽヽ.
26 :
名無しさんだよもん:02/02/27 01:38 ID:cm2/zQ9R
切られとるがな
駄スレを良スレに変えたがる葉鍵板住人。(・∀・)イイ!
29 :
名無しさんだよもん:02/02/27 02:24 ID:6dDf0JA4
ハム子先生の本スレってここでいいのか?
30 :
名無しさんだよもん:02/02/27 15:22 ID:JW8/UZjq
age
31 :
名無しさんだよもん:02/02/28 01:51 ID:6hTherDG
ハム子サンド一つください。
寝ろ
朝は訪れる
昼まで寝なきゃな・・・
夜の街を私たちは全力で走っていた。
吐き出す息が辛い。
横腹がものすごくに痛い。
けれど止まるわけにはいかない。
まだ、私たちを追っている…
肩ごしに背後を振り返ると、
10メートルほど後ろに走る男の人の影が見えた。
さっきから私たちを追いかけてきている。
たっぷり5分は走っているのに、
その足音は一向に離れる気配がない。
「一体…あの人どこまで追ってくる気なの?!」
隣を走っている楓お姉ちゃんに聞いてはみたけれど
楓お姉ちゃんは何も答えてはくれなかった。
学校帰りに楓お姉ちゃんとばったりと会って、
一緒に帰る途中だった。
家につづく近道に入ったころから、その人影はあった。
最初のうちは気にしないでいたけれど、
ついに我慢できなくなって振り返った私たちの前で
その人は声を出さずに叫ぶと、
私たちに向かってナイフをちらつかせた。
その一振りをすんでのところでかわし、
私たちは背を向け走り出していた。
お姉ちゃんが鬼の力を使えば、きっと何とかなるにちがいない。
でも、耕一お兄ちゃんの一件でもそうだけれど、
鬼の力を使うのは絶対に避けなければいけなかった。
…一体、何?
いつまで追ってくるの?
もう…もう限界っ!
心と一緒にヒザが折れかけたとき、視界の先に人影が飛び込んだ。
路の先に、人が一人立っていた。
足首までの長いスカート。暗くて顔はよく見えないが、
女の人のシルエットに間違いはなかった。
「に…逃げてっ」
今にも前に崩れそうな姿勢のまま、私は声を張り上げた。
私の叫びに応じる様子もなく、
その女の人は同じ姿勢でその場に立っていた。
「何をしているの?!早く逃げてっ!!」
楓お姉ちゃんも叫んだ。
人影「…」
それでも、彼女は動かない。
20…15…10メートル。
女の人との距離が縮まり、今にもぶつかりそうになった瞬間に
その女の人は地を蹴った。
「あっ…」
すれ違い様にその人の顔がちらっと見えた。
その人の目は…
つまり、俺は昼まで寝ていると?
37 :
名無しさんだよもん:02/03/01 00:00 ID:8Lha23xA
やったぜハム子さん!
やったぜハム子さん!!
んっ…まぶしい…
(あ、わたし…寝てたんだ…)
初音は寝ころがっている木陰から身を起こした。
ふああ〜
あくびを一つ。
さっきのは…夢?
怖い夢だったな…よかった、夢で。
さあ、もう教室にもどろ。
あと十二、三分もすれば4時間目の授業が始まる。
ちらりとグラウンドを見ると、
練習する野球部員たちが見えた。
ホームベースのところから次々と打たれるボールを
部員達が一生懸命追いかけていた。
(昼休みから熱心だな…)
一生懸命になれるっていうのは本当にいいことだよね
、、と最近つくづくそう思っている。
叔父さんがなくなってから私の生活も少なからず変わった。
そして、お姉ちゃんたちも。
それでも、時がたつにつれて
元のようなのんびりとしたっていうか、平凡な生活に戻っていった。
そんな平凡な中だから、
かえって一生懸命という言葉に憧れたのかもしれないな、そう思った。
昇降口の前で足を止め、
私はもう一度グラウンドの方を振り返る。
グラウンドではそろそろ昼の練習が終わろうとしていた。
(何の部活に入ろうかな…)
そんなことをあれこれと考えながら、昇降口をまたごうとしたとき…
どんっ
いずみ「たたた…ごめんなさい…大丈夫?」
初音「あ…だ、大丈夫です。わたしこそよそ見してて…」
ぶつかった相手は髪は短くて、眼鏡をかけていて、
瞳の奥の色が……紅かった。
(目が…紅い…。私たちの一族と同じだ…。
それにしても、なんだろう、なんかこの人みたことのあるような…。
そう、さっきまでみていた夢で出てきた…?)
初音「あ…あの…」
そこまでいいかけたが、そこで言葉を飲み込んだ。
「わたしがさっき見ていた夢にでてきませんでしたか?」
なんて訊ける訳ないにきまってる。
いずみ「…?どうしたの?」
初音「いえ…なんでもないんです。え、と…ごめんなさいっ」
そういって教室に逃げ込むように戻った。
(あの子…もしかして…)
いずみは初音が中に秘めるものを直感的に感じ取っていた。
#書いてはみたけれど、難しいわ、これ。
#他のゲームのキャラを他のストーリーに編入することの難しさを
#痛感しておりまする。
>>40 でもそのやる気が凄いッッ!!
もっと読ませてくれぇー
もとい、読みたい。
4時間目からの授業はまるで身に入っていなかった。
(あの人…どうして夢に…?)
自分の記憶力のよさにはちょっぴり自信はある。
もっとも、覚えたものが夢なのだからあまり当てにはならないのだけれど。
(それから…あの人の紅い眼…私たちと同じ…)
そんな考え事ばかりしていたので、数学の問題を当てられたことに気づかず、
5時間目では先生に小突かれた。
放課後。
クラスの友だちたちは、連れ立ってクラブ選びに出かけていった。
昨日の一件もあるので、
念のため途中からは楓お姉ちゃんと一緒に帰る約束になっていた。
まだいくらか時間があるので駅前の本屋さんにでも寄っていこうかな、そう思った。
それにしても、何か外が騒がしいな。
窓から首を出すと、大勢の学生が備品倉庫から長テーブルやら
イスやらを運び出しているのが見えた。
(たしか、今日はクラブ勧誘会だっけ。)
入学してから数日、今日はクラブ勧誘行事が行われる日だ。
標的は…もちろん初音たち一年生である。
頼みを断れない性格もあって、こういうのは苦手だった。
(でも、部活にはいろうと思ってるし、
どのみちあそこを通らなければ帰れないんだしね)
と、そこまでで考えるのをやめて昇降口に向かった。
「うわあ…」
そこは、並べられた机、机、机。人、人、人。
ただでさえうんざりするような状況に、
男女混声の喧騒と吹奏楽の演奏のプラスアルファで、
無事に通りきることもままならない騒ぎとなっていた。
「ラグビー!ラグビー部に!オレたちと青春のスクラムを組もう!」
「手芸は世界を救います…救えるんです…だから入部して…[私たちを]救ってくださいぃ」
「しゅりしゅりけんけん♪ まきまきびしびし♪」
…あの人達…忍者研究会??
とくに心配していたほどしつこく呼び止められることもなかったので
すこしほっとしていた所まではよかったのだが、
ざわめき満ちあふれる勧誘会場を半分ほど過ぎた所で、
<<超俺様>>と書かれた、よくわからない看板を持った集団に巻き込まれ、
初音は訳のわからないまま中庭の方に流されていった。
<<超俺様>>の看板を持った人達は、別に勧誘するつもりがあったわけでもないらしく
中庭のあたりで初音が集団を抜け出しても、そのまま走り去っていった。
「はあ…ようやく解放された…」
クラブの勧誘に忙しいのか、中庭には人影はなかった。
木陰に腰を下ろし、昼休みのときと同じように寝ころがってみた。
さっきまでの暑苦しさとは打って変わって、
まだちょっぴり肌寒い春風が心地いい。
そんなことを考えつつ目を閉じてみる。
太陽に透けた自分の目蓋が赤く見えた。
とん。
(…?)
とんとん。
だれかがわたしの肩をたたいて…呼ばれてる?
目を開けると、
そこには、昼間ぶつかったあの女生徒が立っていた。
いずみ「こんにちわ。ちょっと、いいかな?」
初音「あ、はい。大丈夫です。」
そういって、立ち上がった。
いずみ「ありがとう。突然で悪いんだけれど、入る部活、もう、決めた?」
初音「いえ、まだです。」
目の前に立つその女生徒を見た。
自分よりもずいぶん背が高い。
制服の記章から3年生らしかった。
いずみ「できれば…私たちの部活に来てくれないかな。
そして…一緒に戦ってくれないかな?」
初音「……?」
一体何が言いたいのか、まったくわからなかった。
次に何を言うべきか考えつくまでに、しばらく時間がかかった。
初音「あの、戦いって?」
いずみ「そう、戦いよ。」
女生徒は真剣な顔でうなずいた。
初音「え、え?え、あの…」
いずみ「ふふっ。よくわからないっていう顔ね
でも、昨日の夜も、わたしとあなた[たち]は会っているはずよ」
初音「あ…」
昨日の記憶は、記憶違いでも、夢でもなかった。
この人が、昨日わたしと楓お姉ちゃんを助けてくれた人…。
初音「あ、あの…あなたは」
いずみ「私は、火者よ。光狩を討ち、闇を護る者。
そして、あなたのことでもあるのよ…。」
私が、かしゃ…?ひかりを討つもの?
どういうことなのか、よく分からなかった。
でも、とりあえずこれだけは言っておかなければならなかった。
初音「き、昨日はありがとうございましたっ」
いずみ「ありがとう。でも、これが私たちの戦いだから…。」
そういったとき、
その顔は優しくあり、誇らしくもあり、そして寂しげな、そんな顔だった。
46 :
名無しさんだよもん:02/03/02 03:16 ID:KNJzuwzZ
age
50 :
名無しさんだよもん:02/03/03 02:18 ID:VMnFX/Sy
超優良スレ
うわ、しばらく見ない間にSSスレ・・・・・・(・∀・)イイ!
それからしばらくして、初音は天文部の部室に向かっていた。
少なく見積もっても、昨日自分たちが襲われたこと、
そして、この先輩に助けられたことは紛れもない事実だと確信していた。
その先輩に、「一緒に戦ってほしい」そういわれて
「ハァ?冗談でしょ?」と一蹴できるほど初音は疑り深くはなかった。
もっとも、いまだこの先輩の言っていることは
理解できていないのだけれど。
部室に入ると、部員らしい人たちがすでに待ち構えていた。
女子「いずみー、この子がそうなの?」
男子「おー、よろしくな」
男子2「ほらほら、怖がってるって。キミは無神経なんだから」
男子「おー、なにぃ?おい星川?!」
いずみ「さ、そんなことで揉めてないで、自己紹介するよ?」
いずみ「それじゃ、新開君からね」
男子=新開「おう。三年の新開健人だ。能力は金剛力」
新開「見てのとおり、力が自慢だ。そらホシ、次はお前逝け」
男子2=星川「キミが仕切るなって。」
星川「2年の星川翼。能力は目貫。動体視力で物体の破砕点
…ようするに、物を壊すツボを見抜くって能力かな。」
星川「好きなことは、歌うこととキミみたいな女の子。あとは…」
げしっ
星川「いたっ」
鏡花「そんなことまで喋らないでいいわよ。」
星川「ちぇっ」
鏡花「さ、次は私ね? 2年の七荻鏡花。能力はサトリよ。
サトリっていうのは、読心、つまり人の心を読み取る能力ね。」
いずみ「そして、私は3年の火倉いずみ。繕い…傷を癒す能力よ。」
いずみ「それにあなたを加えた5人が天文部、そして火者メンバーよ。
何か、わからないことは、ある?」
初音「あの、私、かしゃとか、ひかりとか、全然ピンと来なくて…」
鏡花「ま、無理もないわね。火者とか光狩とかは聞いたことがなくても、
ルナシィは聞いたことあるでしょ?」
…もちろんルナシィは知っている。
ちょうど2つ目の月(真月と呼んでいたが)が見えだしたころから、
起こるようになった、奇妙な連続事件。
もっとも、夏ごろの連続殺人はルナシィじゃなくて鬼の血のせいなのだけれど。
結局、あの事件もルナシィということで片づいてしまっていた。
いずみ「あれは神経症でも、心の病気でもないわ。もちろん偶然の連続でもなくて…」
いずみ「全部[敵]の仕業」
初音「敵?」
いずみ「ええ。伝承に光狩と呼ばれる…」
鏡花「…世界の敵よ。」
鏡花「そして光狩を討つものが火者。光狩と戦える能力を持つものよ。」
鏡花「つまりあなたと、私たちのことね。」
初音「…。」
新開「この世界には、人を狙う化け物がいる」
新開「オレたちは、そいつらと戦ってる」
星川「で、このたび新たな戦力をスカウトしようと思ってね。キミに近づいたってワケさ。」
いずみ「最近になって、敵の力が増したわ」
いずみ「勝手かもしれないけれど、私たちも力が欲しいの。」
いずみ「分かって…くれたかな?」
この人達…私たちと似てるな、そう思った。
火者と鬼と。
かたや化け物を倒すための能力者であり、
片方は化け物そのものだったのだけれど。
何百年前という大昔からの運命というか、そういうものにとらわれていることは同じだった。
初音は天文部に入部した。
この部に入ることが、自分の運命であった、そういうような気がしてきたので。
そして、そこには同じような運命をもった仲間がいる、そう思ったので。
学校帰り、意外にもいずみの家は柏木家のすぐ近くだった。
すっかり日の暮れた道を連れ立って歩く。
夜。
2つの月が浮かぶ夜。
この月にそんな意味があったなんて…。
いずみ「そういえば…」
ふと、思い出したように言う。
いずみ「昨日一緒にいたのは、あなたのお姉さん?」
初音「はい、お姉ちゃんの名前は楓おね……あ…」
いずみ「?」
思い出した。どうしよう…。
思わずブックマーク追加(w
がんばれ初音たん火者見習い♪
もうな、見てても誰も言ってないみたいだから言っといてやる。
つーかな、面白いんだよ!面白すぎるんだよ!
誰か言ってやれって!
ちょっといずみさんの口調が違うとか、思うけどな!
俺もSS書きたくなって来ました。
ちょっと考えてみようかな。
という訳で、ここは『夜が来る!@葉鍵』スレとして存続が決定致しました。
58 :
41:02/03/03 10:18 ID:IYNIbKNi
(・∀・)イイ!!
一人の勇者のおかげでこのスレは優良スレになりました。
LeafとAliceのコラボレーション・・・・・・(・∀・)イイ!
あ、あ、あにゃたに朝はおとずれにゃいっ!!
ほとんど夜が来るだな…というつっこみは禁止ですか(w
そのころ、
今日一緒に帰るはずだった初音との待ち合わせ場所には、
ミス待ちぼうけと化した楓の姿があった。
本屋で立ち読みし、
おーいお茶を買って飲み、
そのほか思いつく暇つぶしは片端からやってみたものの、
いまだに初音は現れなかった。
(初音、どうしたんだろ。)
…急に、昨日の夜のことが思い出された。
悪漢に襲われ、逃げていたときのことを。
真月が見えだしたころから、
この町で、というよりも世界的な規模で、
通り魔のような犯罪が増加した。
しかも、その発生件数は日に日に増えている…らしい。
高校でも、夜の外出は厳に慎むように言われている。
まさに、世界の末期症状。そんなふうに思っていた。
3年前、真月が初めて現れたとき、
観測上はないはずなのに、見えるという特殊な事情もあって、
ちまたではさまざまな噂が流れた。
「霊界がおりてきた!」とか、
「中国が打ち上げたステルス型巨大軍事衛星だ!」とか。
しかし、根拠のない噂は次第に影をひそめ、
「見えるものは仕方がない」と、諦めとしか取れない結論が支配的になっていく。
(…これから、どうなってくんだろ?)
そう思って真月を見上げたら、真月はいつもよりも明るく見えたような気がした。
…それにしても初音が来ない。
どう道草をしたとしても、いいかげん来ないとおかしい。
ひょっとして…そう、ひょっとしたら…?
普段から冷静でいるようにしているつもりではいるのだが、
その仮定に行き当たった以上、
一抹の不安は、さらに大きな不安を煽るものでしかなくなっていた。
ここから初音の通う学校までは電車で10分ほど、自転車をこげば30分くらいかかる。
全速力でこげば20分は切れるだろう。
次の電車…あと4分ほどで、初音が乗ってるはずの下り電車が来る。
もし、それに乗っていなければ、、、
乗っていなければ、初音の学校まで行ってみよう。
まもなく、電車が来た。
会社帰りの人、学生、杖に頼ったお婆さん…
いろいろな人影が、電車から駅舎へと吸い込まれていった。
2分、3分…、駅の入り口で待っていたが、妹の姿はなかった。
自分の勝手な心配であることは、十分分かっている、つもりだった。
それでも、自分から血の気が引いて、胸がどきどきするのがわかった。
もう待っていることは出来なかった。
むしろ、今まで待っていた自分が憎らしくさえ思った。
妹が、血を分けた妹が襲われているのかもしれないのに!
駅に背を向け、駐輪場にむけて走り出そうとした、そのとき、
「ごめん、おねえちゃん!」
背後から聞こえたのは、紛れもなく今から迎えに行こうとしていた妹の声。
自分のからだからへなへなと力が抜けていくのを感じた…。
なんかほめていただいてうれしく思っております。
ほぼオリジナルの文を書いてみました。
>>57 いずみさんの口調に違和感があるのは、
たぶん私がヘタレだからでしょう。
夜が来る!近いうちにやり直します。。。
もしよければ、一緒に書いてもらえたらいいな、とか。
>>61 許してください(w
66 :
57:02/03/04 05:46 ID:Z60cTzzG
>>65 いっそコテハンなりステハンなりつけたらいかがかと。
リレー小説形式は苦手なので、よそからキャラ引っ張ってきて見ますわ。俺は。
さ〜ネタ仕込み〜。
,. -‐'ニ、⌒` ‐ 、_
/ ⌒`'⌒ -‐ `-、
/ / ヽ \
,' / / / / , \
.i l / / / i. _/ 〃 / ,l l ヽヽ
l | ! .l-l‐|.7フl // ,〃./、| l. i、`,
リ| l.、l .l'_L-=レ/ /ノノノヽ l. i !V
!l {fj |.|´|f;;j|!' ´ ィi}ヽノノノ.ノ .ノ
Nヽ.N -'ー , liソ∠ノノ ' ´ / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
!ヽ\ - / < あなたに………
,.i!、 ` 、_ . ‐ ´ \____________
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/ `丶、 `´ :ト、
/ ヽヽ
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! ヽ ヽ. ヽヽ.
68 :
名無しさんだよもん:02/03/05 00:55 ID:B9vRr8hz
,. -‐'ニ、⌒` ‐ 、_
/ ⌒`'⌒ -‐ `-、
/ ヽ \
,\ ヽ' / / / / , \
.i l / \ \ / / i. _/ 〃 / ,l l ヽヽ
l | ! .l- l\ \‐|.7フl // ,〃./、| l. i、`,
リ| l.、l .l'_L- \ \=レ/ /ノノノヽ l. i !V
!l {fj |.|´|f;;j|!' \ \ ´ ィi}ヽノノノ.ノ .ノ
Nヽ.N -'ー \ \ liソ∠ノノ ' ´ / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
!ヽ\ ∀ ヽ \ / < 殺されます。
,.i!、 ` 、_ . ‐ ´ \____________
/ ` 、! 、
〈_ /ハ∧
/ `丶、 .//ヽ`i`,
/ `丶、 `´ :ト、
/ ヽヽ
{/`丶、 ヽヽ
! ヽ ヽ. ヽヽ.
初音「お姉ちゃん、ゴメンね…わたし、約束すっかり忘れてて…」
…大概の場合において、本気で心配していたことが杞憂だとわかると、
最初は一気に緊張が解けて、その次にはなんとなく不愉快な気分になるものだ。
初音が無事だったのは本当によかったんだけれど、
本気で心配したんだから。
と、ちょっとむくれてしまった。
いずみ「ごめんなさい、私たちが引き止めたから。」
申し訳なさそうに初音と一緒に来た人がいう。
楓「いえ、別にいいんです。ただ、妹のことが少し心配だっただけですから。」
初音「あ、楓お姉ちゃん、えっと、今日、わたし天文部に入ったんだけど、
この人はその天文部の部長さんなの。」
いずみ「はじめまして。楓さんで…いいかな。
私は火倉いずみ。よろしくね。」
楓「はい。よろしくお願いします。」
すらっとして、綺麗な人だな、そう思った。
それにしても、初音が天文部に入るとは。
でも、意外と似合ってるかも。
初音を見た。
どうしてか知らないけれど、今日の初音はちょっとおかしい。
約束を完全に忘れてる上に、
昨日まで「どこの部活にしようかなー」と迷っていたのは嘘のように
突然天文部に入部するし。
さらにいうなら、初音は何か隠しごとをしてるみたい。
それから、このいずみさんという人も少し引っ掛かる。
さっきから私をどことなく観察しているような、そんな気がする。
楓「初音…?」
初音「何?お姉ちゃん。」
楓「どうして、天文部に?」
初音「…。あ、えっと…。」
おかしい。
なぜか動揺してる。
普通、天文部に入るなら、星を見たいとかじゃないの?
…だとしたら、一体何が?
初音を遮って喋りだしたのはいずみさんだった。
いずみ「私が天文部に誘ったんだよ。一緒に戦ってくれないかなっ…てね。」
……。
初音を見た。いつになく真剣な顔で私を見ていた。
どちらかといえば、初音はだまされやすい方だと思うけれど…。
初音「昨日、変な人に追いかけられたときに、助けてくれた人はいずみ先輩なんだよ。」
それを聞いて、考えが変わった。
初音の見た記憶がそうであるなら、それは信用する価値はある、と。
楓「そう、ですか。でも、一体何と?」
いずみ「光狩…という敵。それで、もしできるなら、楓さんにも
一緒に戦ってほしい。信じられないかもしれないけれど…。」
楓「わかりました。初音が信じたなら、私もあなたのことを信じます。」
いずみ「…ありがとう。」
その後、火者のこと、光狩のこと、真月のこと、そして天文部のことを聞いた。
学校が違うので、私は授業後に時間がある日と、土日に顔を出すことになった。
天文部に正式な籍を置くことはできないらしいので、
初音の高校には、部活の客として入ることになるらしい。
まあ、それほど大げさなものではないと思うけれど。
…それにしても、知らなかった。
あの真月にそんな意味があったなんて。
空を見上げる。
真月はやはりいつものように、輝いているだけだった。
ということで、今日の分です。
楓と初音は二人一組で…とか言ってみる。
66氏の助言に従いハンドル付けてみます。
なんというか…
楽しみなんですよ。毎日見に来てます。
頑張って下さい〜
時刻は12時過ぎ。
夕食を食べ、風呂に入り、初音は自室でぼんやりとしていた。
疲れてはいたけれど、どうしても寝ようという気にはならなかった。
…昨日今日と、本当にいろいろなことがあった。
戦い。闇を護るための。
やっぱり、怖くなった。
何ともつかない化け物と戦わなければならないということに。
(化け物?)
そこまで考えて、ふと思った。
(そうだった、自分だって「化け物」であることには変わりないんだった…)
ふふっと笑った。
恐れることが、馬鹿馬鹿しいことのように思えた。
(楓お姉ちゃんは、どうしてるかな?)
自分にとって、楓という存在は、
姉としての楓という人物であり、
前世としてのエディフェルという存在であった。
そして、今日からは
ともに戦うパートナーとしての楓という存在にもなる。
(楓お姉ちゃん…。)
足は自然に隣室に向かっていた。
何か、伝えなければならないような気がして。
パジャマ姿の楓お姉ちゃんは数学の宿題をしていた。
あまり、はかどっている様子ではなかった。
初音「お姉ちゃん…?」
楓「あ、初音…どうしたの?」
初音「ううん。ちょっと話したいな…そう思って。」
楓お姉ちゃんは「座って」と仕種で言った。
楓お姉ちゃんは、数学の宿題を続けている。
やっぱり、はかどっている様子ではない。
初音「お姉ちゃん。」
楓「何?」
初音「…わたし、…怖かった。」
楓「…。」
初音「昨日、変な人に追いかけられて、逃げて、逃げて、…あのとき、本当に怖かったの。
それなのに、今日学校に行ったら、いきなり戦ってくださいだなんて…。
どうしたらいいのかよく分からなかったんだけど…。
引き受けちゃった。火者と鬼と、同じだなって思ったから…。」
楓「初音…。」
お姉ちゃんはシャープペンシルを置き、こっちに向き直った。
初音「気づいちゃったから。化け物と戦うんだっていっても、
わたしも柏木の血を引いた…化け物だって気づいちゃったから。」
そういって笑ってみせた。
初音「だから、もう怖くないんだ。化け物と戦うことも。
それからね、お姉ちゃんもいるんだから…。」
楓お姉ちゃんは、ちょっとうつむいて、何か考えているようだった。
それから、ふと顔を上げた。
楓「それなら、私は初音を守ってあげる。」
そういって、わたしに微笑みかけた。
初音「うん…、ありがとう。」
それから、しばらくお姉ちゃんと話しをした。
普段無口なお姉ちゃんは、いつになく饒舌だった。
明日は土曜で高校は休み。
いずみさんたちが、わたしたちに「武器」をくれるという。
……夜が更けていく。
20世紀に別れを告げ、新しい世紀を迎えて数年。
夜空にもう一つの月が現れた。
欠けることのないその月は、
誰がそう名前をつけたのか、「真月」と呼ばれ、
正体が何であるのかもわからぬまま、人々の日常に溶けていった。
昼間が太陽に支配されるように、夜は真月に支配されていた。
それから3年。
県内で奇妙な事件が発生していた。
事件の発生は例外なく、夜。
そして、事件の前後には、決まって真月が青く輝きを放つことから、
人々は、それらを月の狂気、
「Lunacy(ルナシィ)」と呼び、恐れた。
A Night Comes.
人々は闇に脅えているのに、
それでもなお、自ら闇を求め続ける…。
みなさん、最萌お疲れ様です。
9日はどういうことになるのかわかりませんが、
いい形で勝者を決めたいものです。
>>73 どうもです。
当分続けようと思っていますんで、よろしくです。
78 :
57:02/03/06 04:36 ID:Xw7UQzn4
いつ上げられるかわかんないけど、俺は東鳩方面でやってみようかと。
よろしくお願いしますわ。
>>77 毎晩お疲れ様です。
土曜日。
部屋の時計は、午後6時半を回っていた。
いずみ先輩たちとは、7時半に学校で会う約束になっていた。
梓お姉ちゃんと千鶴お姉ちゃんには、
天文部に入ったとは教えたけれど、火者のことは内緒にすることにした。
「星を見に行くから夕食は要らないよ。」っていったら、
梓お姉ちゃんは、わたしと楓お姉ちゃんにおにぎりをにぎってくれた。
ごめんね…梓お姉ちゃん。
7時2分の電車に乗った。
これに乗れば、ちょうど待ち合わせの時間くらいに学校に着けるはずだ。
電車の中でおにぎりを頬張る。
アナウンス「次はー西大名津ー西大名津です。車内での携帯電話の…」
少し間延びした、聞き慣れたアナウンス。
わたしが1つ目のおにぎりを半分も食べないうちに、
楓お姉ちゃんは、全部食べ終わっていた。
たたん、たたん。
電車がレールの継ぎ目をまたぐときの心地よい音が響く。
次の駅が、目的の駅だった。
窓の外に目をやる。
普段は、気にも止めなかった真月。
ぼんやりと眺める。
楓「初音…降りるよ。」
お姉ちゃんがわたしをつつく。
初音「うん…」
そういいながらも、わたしの目はますます真月に引きつけられていった。
なぜって、真月の光がだんだん強く…青白くなっていったのだから。
それは凍夜だった。
改札を駆け抜け、学校への道を急ぐ。
改札口のおじさんに止められたけれど、
結局、最後には「気をつけなよ。」と言ってくれた。
学校では、いずみ先輩が私たちを待っていた。
わたしが挨拶するよりも先に、先輩が口を開いた。
いずみ「他の人たちは、先にいっているわ」
いつもの口調ではあったけれど、そのなかにいつもと違うものを感じた。
私たちはだまってうなずく。
…いきなりの実戦だった。
いずみ「ついてきて。」
先輩は私たちを連れ立って歩き始めた。
学校から少し離れたあたりにある、近里公園という公園まで来た。
わたしはよくここで道草して帰っている。
先輩は、入り口で一瞬立ち止まり、また歩を進めた。
いずみ「ストップ」
先輩は急に立ち止まると、手のひらでわたしの口元を押さえつけた。
そのまま身をかがめ、正面を見つめる。
まわりを見ると、そこには鏡花先輩、星川先輩、新開先輩の姿もあった。
視線の先にあるのは、噴水。
そのむこうに、一つのベンチ。
いずみ「初音ちゃん、楓ちゃん…」
声を押えて、先輩が呼びかける。
いずみ「二人とも、手を出して。これを渡しとくね。」
先輩はポケットから何か取り出して、私たちの手においた。
楓「これは…」
いずみ「火者の護章、火者のお守りよ…、しっかり身につけておいてね。」
わたしにわたされた護章は、指輪に、
楓お姉ちゃんに渡されたそれは、腕輪になっていた。
そっと指にはめる。指にぴったりとはまった。
いずみ「ちゃんと付けていてね。それ付けてないと、光狩は見えないから。」
(光狩…)
指輪と指の間に、もう汗がにじんだ。
鏡花「いずみ…来たわ。」
鏡花先輩が合図をする。
みんな、ベンチの先を見つめる。
がさ…
草をふむ音。最初遠くから聞こえたその音はだんだん近くなる。
やがて、ベンチの前に一人の人影が現れた。
(あの制服…うちの高校の…?)
制服からみる限り、桜水台学園の生徒に間違いなかった。
虚ろな目、だらりと垂れた腕。
制服の留め金は全部はずれ、その下から白い下着、
胸の谷間ものぞいていた。
生徒「……」
その生徒は、生きているのか死んでいるのかわからないような、
ちょうど、ゾンビのような仕種でベンチに腰掛ける。
次の瞬間、わたしと楓お姉ちゃんは、はっと息をのんだ。
公園の地面を巨大な虫がうごめいていた。
ミミズのような、そんな胴体に縮れた触手のような、
そんなものが無数に生えた、どす黒い、気味の悪い生き物だった。
それ、つまり光狩はギギ…、と鳴くと生徒の方に這っていく。
生徒の脚元まで這っていった光狩は、そこで触手をクルリと生徒の足に絡ませる。
その瞬間、その生徒はびくりと震え、
そして、恍惚とした表情に変わっていった。
生徒「わ。じっと見ないでください…」
光狩は触手を生徒に絡めていく。
生徒「うぐっ、えぐ…」
生徒は、泣いたり笑ったり…感情がどうなっているのかさっぱり解らない。
いずみ「光狩が、夢をみせているの。彼女にとって…決して叶わない夢を…」
先輩が耳打ちする。
その間に、生徒の右手は自らの秘部にのびていった。
生徒「ん…んんっ…」
甘いうめき声が響く。
それに呼応するかのように、光狩もまた触手を揺らす。
生徒「あっ…あ、んん…ああああっ」
その生徒は自らの指と、光狩の触手によって、絶頂がすぐそこまできていた。
なぜ、あの生徒が夢を見るのか、その理由はよく分からなかった。
目の前の光狩を凝視した。
あのまま、絶頂に達すれば、もうあの生徒は二度と夢から覚めることはできないのだろう。
あの光狩を倒し、あの人を助けなければならない。
そうわたしは直感した。
そして。
いずみ「…もう限界よ、あの子を助けるわ。」
まず、いずみ先輩が飛び出し、それを合図に他の先輩も光狩の前に飛び出した。
いずみ「やめなさい!」
それとほぼ同時に鏡花先輩が手にしたニードルで踊りかかる。
ざっ!
寸前のところで攻撃をかわし、光狩は公園の奥側に逃げ込んでいった。
光狩の憑依から覚めたその生徒は、その場にがっくりとなる。
お姉ちゃんとわたしで受け止め、ベンチに寝かせた。
いずみ「とりあえずこの子は大丈夫。それより…」
新開「まだ凍夜がつづいてるな…。この近くにいる!行くぞ!」
新開先輩を先頭に、鏡花先輩と星川先輩も光狩の後を追った。
いずみ「どう…戦える?」
先輩が問う。
わたしと楓お姉ちゃんは、だまってうなずいた。
先輩の顔が微妙にほころび、また元の表情に戻る。
いずみ「武器はもう渡してあるわ。火者の護章を真月の光にかざして。」
言われた通り、護章をかざした。
凍夜の真月の強い光に照らされた護章から、地面に影が伸びる。
そして、その影は数秒としないうちに、
わたしの護章の影からは、細身のスピアに、
楓お姉ちゃんのからは、鉄色をした爪が現れた。
初音「これは…」
いずみ「それが…あなたの武器。光狩と戦うためのね。」
初音「でも、わたし…こんなの触ったこともないし…」
いずみ「でも、護章からでてきたんだから、それが一番あなたに合っているはずよ。」
スピアを振ってみた。意外なほど軽かった。
これなら…戦えるかもしれない。
いや、戦わなければならない。
わたしは、先輩に向かってうなずいた。
いずみ「楓ちゃん…」
楓お姉ちゃんは、もう手に爪を付けていた。
お姉ちゃんも、先輩に向かってうなずく。
いずみ「じゃ…、いくよ!」
わたしたちは、新開先輩たちの後を追って走り出した。
だらだらと長くなってしまいました。
文章構成をもう少し改善した方がいいかも。
さらに、連続投稿に引っ掛かりました…
そういえばそんなのもあったんだった。。。
鬱。吊ってきます。
3人は、蒼い公園を走っていた。
「一体…どこに逃げていったの!?」
初音が少し焦って、誰に問うでもなく、問う。
凍夜はまだつづいていたが、いまだ光狩の姿を見つけることはできないでいた。
「…!!」
いずみは何かの気配を察し、楓と初音を制止する。
「来るよ…!」
3人の目の前で、空気が揺らぐ。
それが見る見るうちに異形の姿へと変わっていく。
いずみが武器を構えた。
何が起こったのかを察し、つづいて楓と初音も身構える…光狩だ!
空気の揺らぎは、ついに3体の犬のような姿をした怪物となった。
グルル…
1体…つづいて、2体…
3体の光狩は、ゆっくりと3人に近づいてくる。
襲いかかる瞬間をうかがっている。
いずみは、楓と初音に目配せをした。
左側には楓、右側には初音がいる。
光狩までの距離は、10メートルほど。
楓と初音には戦闘経験はない。
いずみは、2人をかばいつつ光狩を倒さなければならなかった。
それゆえに、飛び出すタイミングが全てを握っていた。
光狩が一歩ずつ近づくたび、勝負の一瞬が迫った。
いずみは、まだ動かなかった。
ひゅうっと、公園を風が吹き抜ける。
木々が騒めく。そして、1本の枯れ枝が木から離れ…
アスファルトの表面で、きんっ、と音を立てた。
その瞬間、いずみが光狩に向かって走りだした!
光狩も飛び掛かる!
ザッッ
地を蹴り、飛び掛かってきた光狩の攻撃をすっとかわし、
そのまま振り向きざまにカイリを突き立てた。
ギィィィィ!!
深々とカイリが突き刺さった光狩は、気味の悪い鳴き声とともに光の粒となった。
いずみはカイリを引き抜くと、後ろに向き直り、
「楓ちゃん、後ろっ!」
そう叫んで、また走りだす。
その言葉を受けて、楓はとっさに身を翻し、
光狩の攻撃をかわすと、それに向けて爪を振るった。
手応えがある!
そのまま腕に力を込め、光狩を引き裂いた。
あと1体!
いずみは、最後に光狩に向かって飛び掛かった。
ガッ
振り下ろしたカイリは空を切り、アスファルトに火花を散らした。
そのまま光狩は初音に向かって突進する!
いずみは小さく舌打ちした。初音は呆然とたちすくしている。
初音から5メートルほど手前で光狩が地を蹴った。
間に合わない!その瞬間、
ガキッ!
光狩が初音にぶつかるほんの僅かのところで、楓の爪が光狩をはじいた。
そして、その次の瞬間、いずみのカイリが光狩を光塵に帰していた。
「ふう…」
いずみが、額に浮かんだ汗をぬぐう。
そして、初音はへたへたとその場に座り込んだ。
いずみと楓が歩み寄る。
「大丈夫かな?」
いずみの問い。
初音は、放心状態であったものの、こくこくと2度首を縦に振った。
「初音…手…」
楓は、初音の手を引き、立たせた。
今の初音の状態を踏まえると、とりあえずここで休息を取るのが望ましかった。
しかし、凍夜はつづいている。
先の生徒にとりついた光狩は、まだこの近くにいる。時間はなかった。
かといって、初音をここにおいていくこともできなかった。
火者の仲間と分かっている以上、
光狩にとって、初音は憑依の対象ではなく、攻撃の対象であるからだった。
いずみが、スピアを拾い上げ、初音に持たせた。そのとき、
「おーい、いたぞっ!」
向こうの方で、新開の声が聞こえた。
「初音ちゃん。」
いずみは初音を少し励ますと、また走りだした。
そして、そのあとを楓は初音をかばいつつ、追った。
こんばんわ。
自身初めての戦闘シーンであります。
臨場感が感じられればいいな…と。
楓ちゃんは前世とか、前々のことがあって爪の扱いはできるのです。
この主張は(以下略
私は初音を連れて、声のした方に向かった。
初音は、まだ魂が抜けたように、放心していた。
街の中につくられた、大きな公園。
林道のようになった散歩道を、武器を片手に駆け抜けた。
急に視界が開ける。
小道を抜けた所に、そいつはいた。
どす黒い、その生物は触手を四方八方に伸ばしつつ、
丸く固まっていた。
そのまわりを、いずみさんと、
もう3人の人(たぶん、星川さん、新開さん、七荻さんというのだと思う)の
4人で取り囲んだ。
いずみ「楓ちゃんは、初音ちゃんをお願い。」
いずみさんが、さっと振り向いて私に指示する。
私は静かにうなずいて、後ろに引いた。
初音をしゃがませ、自分の後ろに隠す。
初音「お姉ちゃん…」
何か言いたげだったが、それには答えずに、
楓「大丈夫、私が初音を護るから。」
そういって、ちょっと笑ってみせた。
そして、そのまま自分も身をかがめ、爪を構えた。
いつ敵が襲ってきても、初音と自分自身を護りきれるように。
眼前では、4人が光狩に詰め寄っている。
新開「ふふふ…追い詰めたな。覚悟してもらおうか。」
不敵な笑いを浮かべる。
そして、飛び掛かろうとしたとき。
ぼこっ
言葉ではうまく表現できない、なんとも言いがたい気味の悪い音を立てて、
光狩の表面が膨れ上がった。
新開「なっ…」
一歩あとずさり、様子を窺う。
次々と膨らみが現れ、だんだんとその膨らみは大きくなっていく。
鏡花「こいつ…いったいどうなってるの?!」
いずみ「みんな、気をつけて!」
そういっている間にも、光狩は膨らみ続けたいた。
そして、どす黒い背にひびが入り、
中から赤黒い物が見え始めた。
光狩の背の割れ目はどんどん大きくなり、
やがて、そこから別の姿をした怪物が現れた。
鏡花「こいつ…」
いずみ「そんな…変形するなんて…」
4人は戸惑いを隠せないでいるようだった。
星川「どうやら…追い詰められたのはボクたちのほうのようだね。」
そういいつつも、剣を構える。
状況は、こちらに不利なようであった。
それでも、もう逃げることはできなかった。
新開「くそう…いくぞ!」
体格のいい人が飛び掛かったのを皮切りに、一斉攻撃が始まった。
新開「おりゃぁぁぁっ」
光狩に向かって突進し、殴り掛かる。
光狩はそれを直前でかわし、ちょうどゴキブリがはい回るかのように、
ささささっといずみさんのほうに向かう。
その行く手を、白蛇から放たれた羽が阻んだ。
行く手を阻まれた光狩は、その場でわずかに身をかがめると、
その表面から、紅い触手を八方に勢いよく伸ばした。
4人は、身をそらしてそれをかわす。
が、すぐに剣を持った金髪の人が姿勢を建て直して瞬間的に光狩に近づくと
そのまま光狩の目に剣を突きたてた。
ギィィィィ!!
光狩がいななき、触手で剣もろとも金髪の人を撥ね飛ばした。
吹き飛ばされ、立木に強く体を打ちつけられたその人は、
木の根元でぐったりと、体を落とした。
いずみ「星川クン…!」
いずみさんが駆け寄ろうとして、攻撃の手をゆるめた瞬間を光狩は見ていた。
猛然といずみさんに突進する。
初音「先輩!後ろっ!!」
楓「初音っ」
私はあわてて初音の口を押えた。声を出せば光狩をこちらに引き寄せることになる。
しかし、それによっていずみさんは、初音の声に気づき、
光狩の攻撃をカイリの柄で防いだ。
それに一瞬遅れ、体格のいい男の人が殴り掛かり、
さらに白い羽がいくつも光狩に突き刺さる!
光狩は攻撃を阻まれ、その場で止まった。
新開「…やったか?」
…いや、倒せてはいない。進む向きを変えただけだ!
光狩は今し方撃ち込まれた羽を振り払うと、
私と初音の方に向かって突進してきた。
まずい。
初音「あ…あ…」
こうなれば、私が出るより他ない。
かがめていた腰を上げ、すっと爪のついた腕を伸ばすと、
そのまま鬼の力を発散し、身構えた。
あと数メートル…
今だ!
地を蹴り、2、3度爪を振るった。
…しかし、手応えはなく、視界から光狩の姿は消え去っていた。
(え…?)
何がどうなっているのか、よく分からない。
辺りを見回したが、やはり光狩の姿は見えない。
…だが。
初音「お姉ちゃん!!」
初音の絶叫が聞こえ、その直後何かが風を切る音。
次の瞬間、頭上で光狩の鳴き声が聞こえた。
(上かっ!)
さっとその場から後ろに引き、すぐに次の攻撃ができるように身を構え直す。
しかし、もう終っていた。
さっきまで自分が立っていた場所には、光狩がどうと倒れた。
胸の部分には、槍が深々と刺さっている。
やがて、光狩はギギ…、と鳴くと光狩の粒になって闇に溶けていった。
支えを失った槍が倒れ、地面と音を立てる。
初音「お姉ちゃんっ」
初音が駆け寄ってくる。
どうやら、さっき風を切ったのは、
初音がとっさに投げた槍の音だった…らしい。
いずみさんたちも駆け寄ってくる。
新開「おう、大丈夫だったか?」
体格のいい人が言う。
鏡花「初音ちゃん、おみごと♪」
初音「えへへ…」
初音は照れたような笑みを浮かべる。
…光狩を見失って丸腰になっている私を、初音が助けた。
(初音を護るはずが…初音に護られちゃったな…)
そう思った。
かたたんかたたん…
電車がレールを踏み越える音が響く。
初音はよほど疲れたらしく、私に寄り掛かって眠っていた。
初音の髪をなでてみる。
初音「お姉ちゃん…」
何か夢でも見ているのかのか、眠っている初音は、そう、言った。
本当は、初音は絶対に戦いに向いてはいないと思っていた。
が、しかし。
私は、初音の今まで知らなかった一面を見たような気がしていた。
今日は楓ちゃん視点です。
一応フォローですが、
セリフは新開なり星川なり人名が入ってますが、
この時点では楓は名前を知らないはずなので、
「体格のいい人が」とか書いてあるです。
↓さあ、100ゲットしろ(w
100 :
名無しさんだよもん:02/03/09 05:07 ID:jEb+qPAH
>>99 おつかれさまです100get記念age!
>>99 今日、始めて見ました。
駄スレが良スレに…(・∀・)イイ!!
102 :
名無しさんだよもん:02/03/09 23:34 ID:Y/IXY3Po
最初から超優良スレです。
月曜日。
6限目の古文の授業が終わり、わたしはぐーっと背を伸ばした。
今日から、「訓練」が始まる。
光狩といつでも戦えるように、日頃から訓練を積んでおくんだそうだ。
(あのとき、スピアがあたったのは本当に偶然だったんだもんね…)
あのとき、わたしは必死だった。
光狩が、ばっと跳び上がって。
楓お姉ちゃんは、それに全然気づいてなくて。
お姉ちゃんがやられちゃう、
と、手に持っていたスピアを必死で投げた。
それが偶然でも当たったから、よかった。
もし、当たっていなかったら…ううん、そんなこと考えるのはよしておこう。
(わたし、弱いからなー)
そうつぶやいた。
4人姉妹の中で、なぜかわたしだけ鬼の力、ことに攻撃をする力が弱い。
もっと鬼の力があったら、みんなに迷惑かけなくてすむのにな、とか思う。
(でも、だから訓練を積むんだよね。)
とも思った。
その後、いずみ先輩に訓練で何をすればいいのか教えてもらった。
最初だったのもあって、槍術の基本から始めることになった。
凍夜の夜でなければ、あの武器は出せないので、
代わりに武道場から借りてきた、木製の模擬の槍での練習。
分かってはいたけれど、…つらかった。
部活がおわって、帰り道。
いずみ先輩と鏡花先輩と、3人で連れ立って歩いていた。
自動販売機で、いずみ先輩はオレンジジュースをおごってくれた。
それを飲みながら、ふと気になったことを訊いてみた。
初音「そういえば…おとつい光狩に取りつかれたて人って…」
ふと、いずみ先輩と鏡花先輩の顔が曇る。
鏡花「今日は…彼女学校にきてなかったわ。
…私たちができるのは、光狩を倒すことだけ。
そこからは…彼女自身の戦いなのよ…。」
いずみ「うん、私たちができるのはそれだけ。」
そこまでいって、表情を戻す。
いずみ「でも、それって大切なことじゃないかな、って思うの。」
そう、にっこり笑ってみせてくれた。
家に帰ると、ちょうど楓お姉ちゃんが出かける所だった。
ただし、上下ジャージ姿。こんなお姉ちゃんの姿を見るのは初めてだった。
初音「お姉ちゃん…?」
楓「あ…お帰り、初音。私、ちょっとそこらへん走ってくるから。」
そういって、玄関をでていった。
台所で夕食をつくっていた梓お姉ちゃんは、
梓「あの面倒くさがり屋の楓が、一体どうしたのかね〜?なんかあったのかな?」
と、不思議がっていた。
でも、私にはわかった。
あれは、楓お姉ちゃんの自主訓練なのだ、って。
最萌トーナメント、お疲れ様でした。
終了後、やっぱり板が荒れ気味っぽいですが、
まあ、気にしない気にしない。
自分もはしゃいでた口だし。
では、オヤスミナサイです。
106 :
名無しさんだよもん:02/03/11 01:20 ID:sXt/lREm
いずみVS千鶴の殺し合いきぼん。
現代文の時間。
わたしは教科書をもちつつ、ちょっと怯えていた。
この先生は、生徒に教科書を読ませて、
その部分の主人公の心情とか、感想とかを聞いてくるのだ。
ちょっとくらいなら、別にいいのだけれど、
この先生は、かなり突っ込んで、どう感じたのかとかを聞いてくる。
ついでに、この先生はランダムに指名してくるから、ことさらにたちが悪い。
わたしは、この授業は少し苦手だった。
どうやら、他のクラスメイトも考えは同じらしくて、
教科書の中に顔を隠す人、先生と目をそらそうとがんばる人、
平静を装う人、それぞれだけれど、やっぱりあたりたくないというのは同じみたいだった。
そんな中。
先生「はい、じゃ、次は…」
?「はいっ♪」
…手を挙げた人がいる。びっくりした。
手を挙げたのは、三輪坂真言美さん。
先生「…。あ、はい、じゃ、三輪坂さん」
先生も、拍子抜けしたのか、指名するまでしばらく間があった。
「2週間…いろんなことがあったよね」
「…そうだな」
三輪坂さんの朗読がつづく。
その朗読は、抑揚の強く出た、凄いものだった。
ときに強く、ときにか細く。
登場人物によって、その声色まで変わる。
言葉の一つ一つが、まるで魔法にかかったような威力を持っていた。
たかだか教科書の朗読にここまでするの?そう思うくらいに。
授業後、部活にいく前に三輪坂さんに話しかけた。
初音「三輪坂さん、すごいねー。わたし聞きほれちゃった」
真言美「私、あのシーン大好きなんですよぅ。妹想いの姉の涙、素敵じゃないですか」
そう言う三輪坂さんには、本当にその登場人物が見えているようだった。
今日分です〜。
三輪坂真言美登場。初音ちゃんと同じクラスにしてしまいました。
普段の生活を書くときは、一編一編が独立した萌えシチュとして
通るように書けるようになりたいなぁ…と思ってます。
110 :
名無しさんだよもん:02/03/12 03:27 ID:vQyx2lc/
あげておこう。
111 :
111:02/03/12 04:19 ID:ll6dFfcq
>111は誤爆
訓練がおわって。
わたしは家に帰ろうと、部室に荷物を取りにいった。
今日は新開先輩と一緒に訓練をした。
(新開先輩って、いつも一生懸命だな…)
と、そう思った。
新開先輩は練習中は、よそ事一つ喋らずにもくもくと練習を積んでいる。
そのことを星川先輩に話したら、
「あー、カレ、あーゆー風だから。あれはあれでいいんだよ。」
みたいに言っていた。
ちなみに、そのあと星川先輩は、
「それよりもさ、今度ボクと一緒に何か食べにいかない?」
と続けて、鏡花先輩にどつかれていた。
やっぱり、何かに打ちこめるって、いいよね。
部室のドアをがちゃりと開ける。
いずみ「ダメ!いま入っちゃ…!」
初音「…え?」
次の瞬間には、どさどさっという音とともに
部屋じゅうに本やら巻物みたいなものやらの湖が出来上がっていた。
初音「あ…」
やっちゃった…。
初音「あ、ご、ごめんなさい…」
いずみ「ううん、いいよ。入り口に積んでおいたのもわるいんだから」
脚元に転がっている巻物(みたいなもの)を広げてみた。
そこに書かれていたのは、何かよく分からない、文字のような図形だった。
初音「…? これは…なんですか?」
いずみ「火者の術とか、要素石とかに関する本。火者の里から持ってきたの」
いずみ「前から、一度整理しようと思ってたんだけどね…」
そういって、散らかったものを拾い上げ始めた。
それをわたしも手伝う。
半分くらい片づけ終わったころ、鏡花先輩が戻ってきた。
鏡花「はいるわよー」
いずみ「あ、鏡花ちゃん。お疲れ様」
初音「お疲れ様です」
鏡花先輩の目に、まだ半分散らかったままの古文書が目に留まった。
鏡花「…うわ。何、あれ」
半分うんざりした顔で、言う。
鏡花「いずみ、燃えるゴミの日は金曜日よ…」
初音「あの、鏡花先輩…」
ああ、何かひどい言われよう。
いずみ「これ…古文書なんだけど…」
鏡花「私からみれば、ゴミにしか見えないわ」
鏡花先輩は、一番上に積んであった古文書を広げ、ぱらぱらとめくると、
うへぇ、というように舌を出してみせた。
初音「いずみ先輩は、これ、読めるんですか?」
いずみ「読めることは読めるけど、全部使えるわけじゃないよ」
初音「え、そうなん…ですか?」
いずみ「術っていうのは、どっちかというと、
生まれつきの才能みたいなのに左右されちゃうからね」
いずみ「だから、全部使えるわけじゃないよ。いくつかなら使えるけどね。」
(才能…か。)
三輪坂さんのことを思い出した。
言葉の一粒一粒が、魔法にかかったような、あの朗読のことと一緒に。
いずみ「ほかにも、術を使える人がいると、戦力になるんだけどね…」
鏡花「ん、初音ちゃん? 何かいいたそうじゃない?」
わたしが、三輪坂さんのことを考えてたのを読み取られたのかな…
初音「あ、ちょっと、クラスの人のことを考えてて…。
その子なら、術でも魔法でも使えるんじゃないかな、って思っちゃって」
いずみ「その子って、そんなにすごいの?」
初音「ハイ、今日その子が現代文の時間に小説読んでたんですけど…
なんか、言葉が魔法にかかったみたいな、そんな感じがして…
とにかくすごかったんです。」
鏡花「いずみ、ダメ元でいいから、一度その子に会ってみたら?」
いずみ「そうなんだ…。じゃ、ちょっと話してみようかな…」
鏡花「おっけー。じゃ、初音ちゃん、セッティングよろしくね☆」
初音「あ、はい。」
こういうことになると、鏡花先輩はものすごくノリがいい。
芸能界って…そういう所なのかな。
いずみ「あ…でも…」
鏡花「? 何?」
いずみ「その子まで、戦いに巻き込んじゃったら…って思うと…
初音ちゃんだって…、いきなり巻き込んじゃったんだし」
鏡花「いずみ…」
初音「そんなことないですっ」
いつもよりも、ずいぶん大きな声がでた気がした。
初音「わたし、巻き込まれちゃったなんて思ってません。
わたしがここに来たのは、その…、運命みたいなもの…かな。
後悔なんてしてないですっ」
いずみ「……」
ちょっといずみ先輩はぽかんとしたけれど、すぐに
いずみ「うん、変なこといってごめんね。じゃ、鏡花ちゃん初音ちゃん、
その子のこと、よろしくね」
鏡花「そう来なくっちゃ!」
鏡花先輩がパチンと指を鳴らす。
こうして、三輪坂さんのスカウト作戦が始まった。
今日の分で1000行逝きました。
鏡花をもっと出したいなぁ、とか。
夜が来る!で最萌なので。
鏡花はいいよね…。
120 :
伊吹ハム子:02/03/13 01:41 ID:+tYvjND2
私の勃てたスレッドがとってもよく育ってるね〜。
みんなのレスを読んでると、体が熱くなるよぉ〜。
あふぅ〜ん。
(……とはいっても、どうやって三輪坂さんを誘えばいいんだろ)
わたしはすこし憂鬱だった。
鏡花先輩は、強引に引っ張っちゃえばいいのよ、みたいに言っていたけれど。
先輩が引っ張るならまだしも、私が引っ張るなんてできないよー、と思った。
そして、どうやって誘うか一晩考えた結果は……
キーンコーンカーンコーン……
午前の授業が終わった。
クラスのみんなが、思い思いの行動を取りはじめる。
仲のいい子同士でお弁当をひろげる人、
学食に全力ダッシュをかける人…。
今日は、三輪坂さんと一緒にお昼ご飯を食べて、
その時に天文部に来ない、って誘ってみようと思っていた。
ありきたりだけれど、無理矢理じゃない方が、いいよね。
初音「三輪坂さーん」
三輪坂さんの席までいってみたものの、
もう、そこには三輪坂さんの姿はなかった。
初音「あれ?三輪坂さんは?」
近くの席の子に聞く。
クラスメイト「あー、三輪坂さんって、昼休みになると
ふいっといなくなること、ちょくちょくあるじゃない?」
そういえば、三輪坂さんとお昼ご飯を一緒に食べたことはなかった。
クラスメイト「三輪坂さん、ちょっと変わってるからねー。
どこで何してるんだろね?」
そのクラスメイトに軽く「ありがと」とお礼を言って、教室をでた。
(うーん、空振りしちゃった)
仕方がないので、私は鞄からお弁当を引っ張りだすと、
いつものように中庭に向かった。
昼休みの中庭は、ちょっとした憩いの場になっている。
食堂と購買部が近いこともあるのだけれど、
天気のいい日は、パンやおにぎりを頬張る人達で、とても賑やかだ。
中庭のすみの方にある木の影に腰を下ろす。
わたしは、ここが大好きだった。
寝ころがると、思わずウトウトしてしまいそうな、
そんな日ざしと、春風があったから。
…お弁当を広げ、卵焼きを一つ頬張る。
今日のお弁当は、梓お姉ちゃんがつくってくれたものだった。
もう一つ、卵焼きを頬張ろうとしたとき、
鏡花「初音ちゃん。」
初音「あ、鏡花先輩。こんにちわ〜。」
手には、ヤキソバパンと午後の紅茶。購買で買ってきたみたいだった。
わたしのとなりに鏡花先輩も腰を下ろす。
鏡花「どう、三輪坂さんのほうは?」
さっきあったことを説明する。
すると、鏡花先輩の顔は、みるみるうきうきした表情に変わって、
鏡花「なんか面白くなってきたわね♪
明日一緒に、真言美ちゃんを追いかけてみるわよ」
初音「あ、え、でも…」
鏡花先輩、やっぱりノリがいい。
別に、わざわざ追いかけなくても、放課後もあるんだし、
明日にしても、真言美ちゃんがどこかに行ってしまう前に
つかまえればいいだけなのだけれど。
鏡花「だいじょーぶよ。明日の昼前の授業は10分前にはおわる先生だから♪」
(そういうことじゃないんだけどな…)
そうは思ったけれど、結局押し切られてしまい、
明日追いかけてみることになった。
次の日。
午前中の授業が終わると、三輪坂さんはやっぱり教室を出ていった。
鏡花先輩と一緒に、その少し後ろを追いかける。
先輩はすでに探偵気取りだった。
三輪坂さんは、何も気づかずに、昇降口をくぐると、体育館裏の方に歩いていった。
(一体、どこにいくんだろ)
私たちの学校の裏は、林になっていて、
その真ん中を舗装されていない小道が通っている。
三輪坂さんは、その路の途中に立ち止まった。
わたしたちは、適当な木の影に身を隠して様子を窺った。
三輪坂さんは、ふうっと息をつくと、鞄に手を入れて何かを探し始めた。
鏡花「何をするのかしらね…?」
わたしの耳元でささやく。表情はますますうれしそうになっていた。
取り出されたのは、ノートのようなもの。
三輪坂さんはそれを開く。
わたしたちはそれを見守る。三輪坂さんは息を吸い込むと、
「どうして、落としたときに探さなかったんだ!」
「…そんなこと言われても」
と、一人演技をはじめた。…取り出したのは、その台本らしかった。
わたしは鏡花先輩を見上げた。
鏡花「すごい…」
そう言ったっきり、黙っていた。
それから、しばらくたった。
三輪坂さんの一人二役の演技は、まだつづいている。
役柄が変わるたびに、一歩づつ右に左に立つ所を変えながら、
台本を演じ続けている。
わたしたちは、そこから少し離れたところで、聞き入っていた。
鏡花先輩の顔には、もう探偵気取りのあの顔はなかった。
と、そこで三輪坂さんの演技に区切りが付く。
台本を一度閉じ、ふうっと息をついた。
と、鏡花先輩が木の影からでると、
鏡花「どーもー」
そう言って、近づいていった。わたしもそのあとにつづく。
真言美「あ、え?こ、こんにちわ。それに初音ちゃんも。
…え、えと、わたしのこと見てたんですか?」
鏡花「ええ、見てたわ。って、すごいじゃない。私、見とれちゃった」
真言美「そうですか。。。恥ずかしいです…。」
鏡花「謙遜しなくてもいーじゃない、とっても上手かったわよ。ね?」
そういって、私の方を向く。
初音「うん。すごくうまいと思うよ。もっと自信を持ってもいいと思うな。」
にわかに、三輪坂さんの顔が赤くなる。
真言美「そんな…わたし…」
鏡花「まーまー。そう照れないで。私は2-Dの七荻鏡花。よろしくね。」
真言美「あ、はい。わたし、三輪坂真言美っていいます。」
真言美「あのー、でも、どうしてここが分かったんですか?」
鏡花「あー、私は初音ちゃんにくっついてきただけよ」
と、鏡花先輩は話しをいきなり私に振った。私はあわてたけれど、
初音「あ…えっと、三輪坂さん、よくお昼になると、
どこかいっちゃうから、どうしたのかな〜って思って。
それで、ちょっと後を付けてきちゃった。…ごめんね」
…自分にしては、うまく言えたと思う。
それを聞いて、三輪坂さんはさらにほほを赤らめる。
鏡花「で、真言美ちゃん? 毎日ここで練習してるの?」
先輩が、会話の間を開けないように挟んだ。
真言美「ああ、はい。わたし、練習するのが恥ずかしくて…。
それで、昼休みと放課後くらいに、ここで練習してるんです。」
鏡花「ふーん、そうなんだ。ねえ、またここに来てもいい?」
真言美「…。」
しばらく考えたけれど、
真言美「はい。いいです。でも、やっぱりちょっと恥ずかしくて…」
その後、別れ際に先輩は突拍子のないことを聞いた。
鏡花「あ、そうそう。真言美ちゃんって、特撮ヒーローみたいなものって、好き?」
真言美「はい。もう、節約戦隊チョットマンは、毎週欠かさず録画してるくらいで…」
鏡花「そうなんだ。それじゃ、また今度ね」
そういって後にした。
初音「あの…、鏡花先輩? どうして誘わなかったんですか?」
鏡花「そりゃー、あんなところでいきなり言うわけにもいかないでしょ。
それに…光狩を見たことのない子に、光狩と戦えって
いってもピンと来ないでしょ?」
そういって、鏡花先輩はわたしにウインクしてみせた。
…もちろん、何かしようとしているみたいだった。
…なんか、こう、今回はものすごく苦労しました。
ヘタレてるし。
番号間違えてるし…。
仲間が入ってくるイベントは、
省略できなのでちょっと書きにくい所がありますです。
それから何日かした土曜の夕方。
鏡花「今日は…来そうね」
と、鏡花先輩がポツリといった。鏡花先輩が言っているのは凍夜のこと。
なんか、こう、凍夜が来そうなときには、独特の感覚があるんだって鏡花先輩は教えてくれた。
今日、三輪坂さんを火者にならないかと誘う。
断られれば、もちろん記憶は消されるはずだった。
(三輪坂さん…)
不安はあった。
三輪坂さんの記憶を消すことになったら、彼女に悪いな、と。
そして、わたし自身には残る彼女のことを、秘密にしきれるのかな、と。
鏡花「初音っ、行くわよ〜」
唐突に声がかかる。
あとは、三輪坂さんが「うん」といってくれると信じるしかなかった。
わたしが、三輪坂さんと話してる間に、
みんながおびき出してきた光狩が来て、わたしを襲おうとするところを
みんなで倒してしまう。そういう手はずだった。
…よくよく考えてみたら、わたしって、おとりだということに気づいた。
それに、三輪坂さんを誘うだけにしては、手が込みすぎていると思うのだけれど。
それを話したら、
新開「おう、それなら大丈夫だ。」
鏡花「だいじょーぶだって、私たちがちゃんと見張ってるから」
楓「私も…ついてるから。」
と、みんないってくれたけど。
大丈夫だよね? 信じてるよ…
三輪坂さんは、いつものようにあの場所で演劇の練習をしていた。
区切りのいい所まで待ってから、話しかける。
初音「三輪坂さん、こんばんわ♪」
真言美「あ、初音ちゃん。これから帰る所?」
初音「ううん、ちょっとね…。あ、こっちはわたしのお姉ちゃん。」
楓「柏木楓です。妹がお世話になっています。」
……
…
あれからしばらく話しているけれど、みんなは一向に来なかった。
光狩をおびき寄せるのがうまくいってないのかな。
一方、ここには、戦隊アニメの話しでものすごく盛り上がっている
三輪坂さんと楓お姉ちゃんが。
(もう、お姉ちゃんもお姉ちゃんなんだから…。)
そう、少しあきれていた。
初音「お姉ちゃんっ」
楓「ん? 何、初音?」
初音「お姉ちゃんってば、やること忘れないでよねっ」
楓「…。 あ、ごめん。忘れてた…」
お姉ちゃん、本当に忘れてたんだ…。
やっと本題に話しが切り替わる。
楓「えっと、ごめん三輪坂さん。ちょっとその話しはおいといて…。
今日、真月がいつもより蒼いと思わない?」
真言美「え、ああ、そういえばそうですねぇ…」
楓「うん…。それで、「おもしろいもの」を見せてあげるから、
ちょっとこれを持っていて欲しいの。」
そういって、火者のペンダントを渡す。
真言美「ああ、はい。おもしろいもの、ですか?」
楓「そう。おもしろいもの。」
そういって、ちょっと笑う。
でも、このときの楓お姉ちゃんの視線は、わたしには怖く思えた。
そのまましばらく時間が過ぎた。
三輪坂さんは、少し退屈しているように見えた。
でも、真月のあかりはだんだん蒼さが濃くなっていた。
みんながついてるとはいえ、わたしとお姉ちゃんにとって、これが2度目の実戦だった。
いつ光狩が来てもいいように、覚悟だけは決めた。
…実際にはマトモに戦える自信はなかったのだけれど。
真言美「楓さん、初音ちゃん、一体何が起こるん…!」
途中までいいかけて、そのまま固まってしまう。
真言美「あ、あ、あれ、あれ…」
次に出てきたのは、こんな言葉だった。
三輪坂さんの目には、わたしの背後にいる光狩の姿が映り込んでいた。
楓「三輪坂さん、さっきヒーロー物とか正義の味方とか好きって、言ってたよね?」
一歩前に出て、そういう。
真言美「楓さん、それよりも、あれ、あれ…」
楓「もし、も、よ?私たちが、その正義の味方だっていったら、
三輪坂さんは、どう思う?」
そして、すっと右手を真夜にかざし、武器を取り出す。
三輪坂さんは、声もだせず、顔も引きつって、思考が止まっていた。
それにかまわず、楓お姉ちゃんは続けた。
楓「たぶん、信じられないと思うけれど…。それでも、今から信じるの。
私たちの敵を見たんだから!」
お姉ちゃんが光狩に飛び掛かる。
それを合図に、陰に隠れていたみんなも飛び出し、そのまま光狩を倒した。
…
天文部の部室。
驚かせてたことを謝って、経緯をみんな代わる代わるに話した。
火者のこと、光狩のこと、凍夜のこと、それに、真夜のこと。
三輪坂さんは、それに聞き入っていた。
ひと通り話しがおわった。いずみ先輩が問う。
いずみ「そういうことなんだけれど…私たちと一緒に戦ってくれないかな。」
三輪坂さんは、黙って考えるような素振りをした。
真言美「あの…それって…」
しばらく時間が流れる。
いずみ「やっぱり…できない、よね…そんなこと…」
先輩はちょっと笑って。そう切り出した、…が。
真言美「すっごいですっ」
三輪坂さんはパチンと手をたたく。目は、キラキラと輝いていた。
真言美「それって、チョットマンみたいに、悪い奴をえいやってやっつけんるんですよね?
わたしはそーゆーのに憧れてたんですよぅ。」
身を乗り出して、勢いよくしゃべる。
真言美「で、わたしは何色ですか?ピンク?グリーン?
あ、レッドはだめですよ。そんなにイチゴジャムばかり食べてられませんから…」
真言美「チョットマン参上! えいっ!とうっ!」
初音「あ、あの、三輪坂さん? 別に、変身するわけじゃないんだけど…」
真言美「ええええっ?! そうなんですか? わたしはてっきり変身するもんだと…」
がっくりと肩を落とす。
わたしは三輪坂さんの、普段教室では見ることのできない一面を見た気がした。
本日分であります、隊長。
現実世界でも…夜の帳が降りてきました。
夜を望みますか?
…普通の夜なら、たぶん望むんだろな、夜はネットの時間。2chの時間。
あいかわらず良スレ。
隊長はむしろ、3時半氏だと思うでありますッ!!
しかし良いペースで書いてますね。
素晴らしい事です。
これからも導いて下さい。
私は技能無いのでなので見てるだけです。
ある夜。
寝ついてから、どれくらい経っただろう。
夢を見ていた。
体が軽くて。
手足を動かす。空を切っただけだった。
空を飛んでいた。
ピーターパンのような、まさに夢のような夢なのだけれど。
この夢の世界は、面白くなさそうだった。
それにしても、私、どうして夢の中にいるってわかるの?
ただ、ゆらりゆらり。
空を飛んでいる。
そのうち酔ってきた。
気持ち悪い。夢の中なのに。
吐きそうだ。
でも、堪える。
ここは夢の中。
いま吐いたら、多分、ベッドの上が悲惨なことになる。
しばらく我慢したら、治まった。
ゆらりゆらり。
空を飛んでいる。
下に見えるのは、森。
それと、民家。明かりがともっている。
縁側のところに、女の人が見えた。
何をしているのか、よく見えない。
でも、悲しそうな様子だった。
髪の長い、綺麗な人だった。
ゆらりゆらり。
空を飛んでいる。
だんだんと、目に映る景色が暗くなる。
木々も、あかりも。
そして、空に浮かんでた真月も。
真っ暗になる。真の闇が訪れる。そして…
目が覚めた。
ベッドの中に潜ったまま、手探りで目覚まし時計を捜し当てる。
スイッチを押すと、6時17分、蒼いバックライトに照らされて、そう浮かび上がった。
朝食の準備は、もうできているだろうか。
眠たい目をこすりこすり、起きあがる。
二度寝する気にならなかったので。
朝の献立は、珍しくパン食だった。
他に、ハムエッグと牛乳。
(牛乳はあまり好きではないのだけれど)
そう思いつつも、将来も考えて我慢して飲み干す。
初音の分のハムエッグをお皿に乗せて、姉さんが出てくる。
梓「あれ?初音はまだ起きて来ないの?」
いつもなら早起きのはずの初音は、今日はまだ来てなかった。
楓「うん。まだだけど。」
梓「あ、そうなんだ。しょうがないなぁ。じゃ、楓。ちょっと起こしてくれない?」
楓「はーい」
そう返事をして箸を置き、部屋に向かう。
あ、その前にちょっとハムエッグを食べてから。
梓「初音ー。今日は遅かったね」
ご飯を食べつつ、たった今起きてきた初音によびかける。
初音「う、うん。何か変な夢を見てて。
目を覚ませたかったんだけど、どうしてか覚めなくて。」
千鶴「変な夢って、どういう夢だったの?」
優しい母親のような声。
初音「うーん、ふわふわって空を飛んでて…真月が蒼くて。」
(え?)
それ、私が見てた夢と同じなんだけど。
初音「それで、家があって、男の人たちが何か話し合いをしていたんだけれど。
何を言っているのかはわからなかったんだけど、なんか怖いことを言ってるみたいで」
夢の中で、その部分だけは、私の見た夢とは違っていた。
何とも言えない、不思議な気持ちになった。
鬼の力によって起きる、意識の共有とは、違っていた。
見ている夢の内容が、私と初音で少し違っていたから。
かといって、偶然に同じ夢を見たのだ、そういうふうに信じたくはなかった。
その日の夜、初音にこのことを教えた。私も同じような夢を見ていたことを。
二人でどういうことなのか、話してみた。
結論はでなかったのだけれど。
ただ、いつもと違う。それだけは分かった。
…また番号間違えちまいました。
火者であることはまた、その血を受け継いでいること。
そしてその血は、鬼の血と同じように
人の意識に影響を与えるのでしょうか?そんな感じのテーマ。
>>136 ありがとうございますです。
ヤバい所があったら、ものすごい勢いで指摘していただけるとうれしいです。
142 :
名無しさんだよもん:02/03/16 08:30 ID:O2Ipx/DY
よくかんがえたら
板ちがいな内容じゃねえかここ?
143 :
名無しさんだよもん:02/03/16 23:13 ID:MLmzwAMh
ここはハム子先生のスレなので問題ないです。
夕方。
初音「今日は、ここまで。」
自分で自分にそういって、今日の訓練を切り上げる。
石の上に腰を下ろした。
ジャージの胸元をあおって風を送り込む。
運動でほてった体に、夕刻の春の空気が涼しく流れ込んだ。
初音「ふぅ」
そんなふうに、何の気のない息をつく。
小鳥のさえずりが聞こえた。
人気のない校舎裏。訓練はここでこっそりやっている。
天文部が槍の稽古なんてやっていたら、誰だって怪しいと思うから。
真言美「初音ちゃーん」
向こうから、私を呼ぶ声。
手を振って歩いてくるのは、三輪坂さん。
わたしも、大きく手を振り返す。
わたしのところまで来ると、すぐ隣の石の上に腰を下ろす。
真言美「んしょ、っと。はい、これ差し入れね」
手の上には、パック入りのレモン水。
少し汗ばんだ額に当てたら、気持ちよかった。
初音「ありがと。三輪坂さんも訓練終わり?」
真言美「うん。」
そういって、パックにストローを差し込む。
真言美「おいしい♪」
二口ほど飲んで、三輪坂さんは上機嫌だ。
初音「三輪坂さんって、訓練はどんなことやってるの?」
真言美「んー、呪文の暗記なんだけど。
わたしは古文書の文字が読めないんで、いずみ先輩が読んだのを録音して、
それを聞いて覚えるって感じかな?」
そういって、MDプレイヤーをポケットから取り出して見せた。
薄型タイプの最新型だ。
初音「へー。そうなんだー。」
聞かせてもらうと、いずみ先輩が何か早口で喋っていた。
ただ、どういう意味の言葉なのかは、全くわからない。
少なくても、日本語じゃないことだけは、確かだった。
初音「なに言ってるのか、全然わからないね。」
真言美「うん。いずみ先輩に訳してもらったら、
○○の名において、××を呼び出すみたいな感じでね?
ものすごくかっこイイんですよぅ」
初音「あはは、そうなんだ。三輪坂さんってそういうの好きだよね。」
真言美「でも、わたし、そういうのものすごく憧れてたから。
小さいころの夢がかなっちゃったって感じかな?」
三輪坂さんの口調は、なんとなく熱を帯びていた。
初音「あ、わたしも小さいころは、そういうの思ってたことあるよ。
あんなふうに空を飛べたらいいなあ、とかね。」
真言美「んー、わたしはそれとはちょっと違うかもしれないね」
人差し指を唇に付けて言う。三輪坂さんの癖だった。
初音「え? じゃ、どういう感じ?」
真言美「えーと、わたしが小さいころは、うちがすごく貧しくて。
それで、おもちゃとか全然買ってもらえなくて。」
初音「…。」
真言美「で、テレビくらいしか、家にはなかったの。
他になにもなかったから、夢中で見ちゃって。」
真言美「そのせいかな。テレビの中のかっこイイものに憧れちゃったのは。」
初音「そうなんだ。」
そうは言ってみたけれど。
どういう感覚なのかは、わたしには理解できなかった。
小さいころから、物にだけは不自由なく暮らしてきた。
わたしは、まがりなりにも、鶴来屋という企業のお嬢さまだった。
真言美「あ、でも今はぜんぜん大丈夫だから」
わたしの顔が、ひどく深刻そうに見えたのかも。
三輪坂さんが、気づかうように声をかけてくれた。
初音「ううん。わたしはそういう風じゃなかったから、ちょっと難しくて。」
真言美「んー、もう昔のことだから。
でも、一度だけ、「あのお人形が欲しい」ってお店の前で泣いちゃったことがあって、
そのときはお母さんに、悪かったなーって。」
笑っていいのか、沈んだ顔をすればいいのかわからなかった。
それ以上は何もいえなかったのだけれど。
ただ、今日笑っているのは、三輪坂さんだった。
帰り道。
遠くから消防車のサイレンが聞こえた。
独特の音のするサイレンと、鐘の音がだんだんと近づき、
わたしの目の前を通りすぎて、音程を変えつつ走り去っていった。
(火事? どこだろ)
もしかしたら、うちかも。
そう思って、小走りに駅に向かいかけたけれど、やめた。
よく考えたら、家が火事になったとしても、こんなところから消防車が来るわけはなかった。
(火事か、やだなぁ)
その日は、寝る前にしっかりと火の元の確認をした。
さて、こちらはとある公立高校。
わりと地元では名前の知られた、公立高校である。
進学率も比較的高く、多数が地元の金沢大学を初めとして、いろいろな大学を目指している。
まあ、それはさておいて。
ただいま昼休み。
とある教室では、光速にお弁当を食べ終え、机にくてっとしている楓の姿があった。
(最近、ちょっと頑張りすぎかも)
ここのところ、学校から帰ると、
毎日近所を走り回り、裏の水門まで行っては爪の素振りをしてみたり。
そういったことを、間違ってもやらなかった過去の自分に比べれば、
ある意味、画期的な進歩だった。
?「かえでー、次、教室移動だよ?」
クラスメイトの一人の声。
適当に返事を返して、またくてっとする。
?「もうっ」
その子はそういったけれど、いつものことなので、それ以上は気にしていないみたい。
眠くて体が痛い。
もともと夜起きているせいもあるのだけれど。
それよりも、普段やりもしない運動を突然始めたせいで、筋肉痛になっていた。
どれだけぶりなんだろ。
前に筋肉痛になったときっていつだったかな。…思い出せるわけないや。
?「かえでー? 最近どうしたの? ぼーっとしちゃってさ。彼氏でも出来た?」
クラスメイトの一人が、からかい半分に尋ねる。
別に彼氏とか作る気はないんだけど。
楓「眠いのと筋肉痛とで、ちょっと」
?「ふーん、帰宅部の楓が筋肉痛ねぇ」
心底不思議そうな顔をする。別に本当なんだけど。
初音に、「部活は楽しい?」って聞くと、「楽しいよ」って言う。
ちょっとうらやましかった。わたしも行きたいな…。
訓練っていっても、一人でやるのは退屈だし。
一応、天文部では、部員みたいな扱いになっているし。
と、そこまで考えて、はっと気づいた。
(そだ。行けばいいんだった。)
不意に、すっと顔を上げる。
?「わっ」
さっきの友だちの声。
楓「あ、ごめん。」
そう言って、笑って見せる。
不意をつかれたその子は、やっぱり不思議そうな顔だったけれど。
どのみち、初音の学校まで自転車で行っても、二・三十分の話し。
授業後にいってみよ。そう思った。
150 :
名無しさんだよもん:02/03/19 01:04 ID:Uv3rXulR
良スレ発見
>>150 スレ違いってわかってるからsage進行してろのよ?わかんないか厨?
153 :
150:02/03/20 02:07 ID:uMiecspf
>>152 ここはハム子先生のスレだから
SSの内容は確かにスレ違いだが、
板違いスレではないだろ?わかんないか厨?
よってage。
150厨キタ━━━━━━(゚∀゚)━━━━━━ !!!!!
板違いじゃねえけど、上げるなよ、猿。
初音「あれぇ? 楓お姉ちゃん、どうしたの?」
授業後、少し部室でゆっくりして、さて、練習を始めようかなと
いつもの校舎裏に来たのだけれど。
そこには、なぜか楓お姉ちゃんが待ち伏せしていた。
楓「一人でやるより、二人の方がいいでしょ?」
すまして言う。
初音「でも…」
いずみ「いいんじゃない? みんなで練習した方が、楽しいもんね。」
真言美「そうですよぅ。みんなでやりましょ。」
楓「そうですよね♪」
お姉ちゃんの顔が、無邪気そうに笑う。
どうやら、一人で練習するのが、よほど退屈だったみたい。
練習は、4人の息を合せる練習をした。
わたしとお姉ちゃんが、前に出て攻撃して、
真言美ちゃんは、言霊の能力(魔法みたいなもの?)で戦い、
そして、いずみ先輩は後ろを守りながら、傷の治療とかみんなの援護をする。
と、そういった形だった。
いずみ「やっ」
先輩が鎌を、振るう。といってもわたしのと同じ木の棒のようなものなのだけれど。
そこをすかさずお姉ちゃんが、別の光狩を攻撃する。
実戦そのものだった。実際に、光狩がいないということ以外は。
初音「やあっ!」
わたしもまた、模擬刀を振るう。そして、
いずみ「真言美ちゃんっ」
そう声をかける。待ってましたとばかり、詠唱を始める。
そして。
真言美「光狩よ、闇に帰れッ」
びしっと、光狩がいるつもりの方向を指さす。
その指さしたところには、
…理事長がいた。
理事長「君たち、そこで何をしてるのかね? ヒカリがどうとか言っていたようだが?」
楓「あ、あのぉ」
理事長「それから、君の持っているその棒も、危ないんじゃないかね?」
わたしの持っている、槍を指さす。
初音「あ、す、すみません」
あわてて自分の持っていた棒を地面に置く。
しまったな、そう思った。
普段人気がないとは言っても、一応だれか来ないか、気にはしながら練習していたのだけれど。
今日に限って、しかも理事長先生が通り掛かるなんて。
どうみても、雰囲気は気まずかった。
(ここは…、謝っておくしかないよね。)
大きく息を吸って、吐いて。覚悟を決めて一歩前に踏み出す。
が、それよりも早く三輪坂さんが前にでた。
真言美「すみません、先生。ちょっと練習に夢中になってしまっていたんです」
意外なほど、茶目っ気たっぷりに言う。
(三輪坂さんっ。火者のことは、秘密にしなきゃっ)
わたしは引っ張り戻そうとしたけれど、三輪坂さんはかまわず続ける。
真言美「劇の発表がありましてー。その練習をしていたんですけれど」
それで何か勘づいたのか、先輩も進み出る。
いずみ「はい、で、その戦いの場面を練習してたんです。これもその小道具で…。」
と、模擬刀を手にとる。
楓「今日は、たまたまみんな集まれたので、張り切りすぎてしまって。
私みたいな、エキストラまではなかなか集まれないんです。」
そういって、お姉ちゃんは生徒手帳を見せた。
真言美「で、あの、先生。これ、内緒の練習なので、秘密にしておいていただけませんか?」
そういってウインクをする。
(あああ、マズいよ。余計に怒られるって)
そう思ったのだけれど、意外に理事長先生は、ふっと肩で息をついて。
理事長「そうか。でも、人に当てないようにしっかり気をつけるんだぞ」
そういって、もときた道を帰っていった。
理事長先生の姿が、校舎の影に入って見えなくなる。
いずみ「ふう。」
先輩が息をつく。それを合図に、みんなへたへたと座り込んだ。
いずみ「ダメかな、って思ったよ。真言美ちゃん、ありがとう」
真言美「いえいえ、みんなの演技が上手かったからですよう」
そして互いに顔を見つめ、ぷっと吹き出す。
こんなにうまくいくとは思わなかった。
三輪坂さんの一言で、こんなにもうまくいくなんて。
こういうのも、言霊の能力のうちなのかな? そう思って、また一人で笑った。
…とりあえず、書くだけ書いて、貼るだけ貼って、
どういうことになるか様子を見てみる試み。
どうでもいいですが、ノートパソコンがdで鬱です。
161 :
名無しさんだよもん:02/03/20 23:53 ID:F747xAy2
あげ。
桜もすっかり散って、ライトグリーンの葉っぱが、枝から顔を出す。
わたしが火者になってから、もうすぐ一カ月たつ。
(早く夏服にならないかなぁ)
わたしの学校の制服は、どっちかというと厚地の方だと思う。
寒い間はいいのだけれど、春になったら、暑すぎるかな。
今日も、練習がおわって、
いつものようにちょっと休憩しながら、そんなことを考える。
実のところ、楓お姉ちゃんや、梓お姉ちゃんの着ているセーラー服は、ちょっと憧れだったり。
セーラー服の学校に通っている友だちと話していると、
「初音ちゃんの学校の制服がうらやましいな」
みたいに言われることもあるんだけれど。
部室の前。話し声が聞こえていた。
ノックをしてから、中に入る。
初音「おつかれさまです。あ、もうみんな戻ってたんですね」
部室には、先輩たちに、三輪坂さん、それからお姉ちゃんも戻ってきていた。
いずみ「あ、おつかれさま。今呼びに行こうと思ってたんだよ」
初音「あ、そうなんですか? 今日って何かありましたっけ?」
鏡花「ええ、ちょっとね。 これを見て」
机の上に広げてある、新聞の切り抜きを指さした。
初音「えっと、これは?」
鏡花「最近このあたりで起こった火事に関する、新聞の切り抜きよ。
これは、光狩の仕業じゃないかなってにらんでるの。
全部放火だし、火事が起きたときの状況から、間違いなく光狩の仕業だと思うわ」
真言美「それを、今夜わたしたちで、えいやってやっつけてしまおうって言うわけなんですよね?」
三輪坂さんが、目を輝かせて割り込む。
初めての実戦でわくわくしている、そういう感じだった。
鏡花「まあ、そんなところね。それで、段取りを決めようとしてたところなの。」
新聞の切り抜きを眺める。
そういえば、最近火事が多かったことを思い出す。
(あれも、光狩のせいだったのかな)
新開「で、どのあたりに出るのか、見当はついてるのか?」
鏡花「ええ。場所を調べてみると…ほら、この川沿いになってるでしょ?」
新開「ほお…」
鏡花「で、そうなると次に来るのは、ほら、この店ってことになるわね」
星川「なるほどね。そこで待ち伏せをするってことでいいかな?」
ふと外を見やる。
初音「あ…、凍夜が始まってる」
「えっ?」
一斉に窓の方を向く。
鏡花「もうすぐね…。行きましょ」
互いに顔を見合わせて、そして、部室を出た。
真言美「光狩よ!待っていなさい!」
(……。)
三輪坂さん、少し勘違いしてるかも。
とりあえず前フリを。
今日中に本編を書ける…といいなぁ
鏡花先輩の、「光狩が来そうな」お店の前に、わたしたちはいた。
何気ないふうを装って、光狩を待っていた。
鏡花「来ないわね」
楓「でも、まだ凍夜はつづいていますから…」
辺りを見回す。
まだ、そのお店の前は人通りが多かった。
楓「だから、武器だけ出しておきます」
腕輪を真月にかざして、武器を取り出す。
道を歩く人たちは、そんな不思議すぎる光景を無視して、通り過ぎていく。
火者の護章を持つ者と、光狩しか入れない、そんな空間にわたしたちはいた。
初音「ねえ、三輪坂さん、怖くはないの?」
どうしても訊いてみたくて。
三輪坂「え? 怖くなんてないけど?」
そういうと思っていたけれど、それでも、納得しきれなかった。
初音「わたし、やっぱり怖いな…。最初に光狩と戦ったとき、わたし、何もできなかったんだ」
真言美「大丈夫ですって、正義は勝つっていうでしょ?わたしがついてるから♪」
三輪坂さん、無理をしている様子じゃなくて。
わたしがついている、そう言った。
「…きたわ」
気配に敏感な鏡花が、何か、気配に気づく。
道の向こうから、赤く光る点が二つ。
ゆっくりと、近づいていた。
何気ないふうを装って、チャンスを待つ。
「真言美ちゃん、詠唱を」
小声で指示をだす。
足音は、だんだんと近づいていた。
足音と、気味の悪い、何かぬるぬるしたものがこすれあう音とが。
光狩が、店の前に立ち止まる。
背は高くて、顔は紫色で。
頭からは、髪の毛の代りにヘビみたいな生き物が動いていて。
ちょうど、メデューサのような、格好をしていた。
三輪坂は目を閉じ、少しうつむいて詠唱をつづけている。
光狩はあたりの様子を窺っている。
「あと少し…」
ひそひそ声だった。唱えている呪文のことだった。
呪文を唱える三輪坂の前に、鈍く光るボールのようなものが出てきた。
呪文で呼び出された、「武器」だった。
ボールのようなものが、だんだんと光を増していく。
光狩は、火をつけることに夢中なのか、全然気づいていない。
チャンスであった。
そして、光るボールを光狩に向かって放つ。
が、
「…違う」
いずみのつぶやき。その瞬間、光るボールは大きな音とともに粉々に砕け散った。
「あ…」
一瞬呆然とする三輪坂。
一方の光狩は、さすがにこの音には気づかないはずがなかった。
「やっ!」
すぐにいずみが光狩に向かって飛び掛かった。
同時に、他の火者もつづく。
光狩はいずみの攻撃をかわすと、炎をあたりにまき散らし、
火者がひるんだ隙に、真夜の中に消えた。
やがて、真月の青い輝きが失われる。
「真夜が、解けた…」
「ちっ、逃がしたか」
新開が舌打ちをする。
あとには、戦う相手を失った火者だけが残された。
このスレ読んでる人がいたら、こんばんわ。
力尽きモードの3時半です。
なんつーか、三輪坂真言美っていうキャラは、
なかなか思うように動いてくれないです。苦手…なのか?
仲間がそろってしまえば、自分の妄想の赴くままの
オリジナルストーリーに引っ張るのもやりほうだいなんだが。
その段階まで書くまでは、ちとつらい。
170 :
名無しさんだよもん:02/03/24 00:43 ID:VccajSSK
メンテしてみる。
隊長!ちゃんと読んでますってば。
力尽き、と言うよりは飛ばし過ぎなだけでは?
もうちょっとペースを落としても良いと思いますが。
頑張ってくだサイ、と言うだけなら簡単なんですな。
でも頑張ってくだサイ、としか言えない…。
今更別の話で殴り込むのもやりづらいですしナ。
173 :
24 正義の味方、わたしの憧れたもの 1/3:02/03/25 04:19 ID:nbQ3rsPv
三輪坂さんは、屋上にいた。
フェンス越しに、遠くの方を眺めてる。
さわやかに晴れた空。さわやかな風。三輪坂さんの長い髪をゆらしていた。
ふと、三輪坂さんがため息をつく。
落ち込んでいるっていうわけじゃなくて、落ち込んでいないというわけでもなくて。
考え事をしているときに、勝手にでてきてしまう、あのため息だった。
初音「三輪坂さん、何してるの?」
明るく振る舞って、呼びかける。
真言美「あ、初音ちゃん。」
思っていたより、明るい声だった。
真言美「ちょっと景色を眺めようかなーって。」
二人そろって、眺めてみる。
坂の上に立っている、4階建ての校舎の屋上からは、かなり遠くまで見渡すことができる。
暑くもなく、寒くもなく。
こんな日だったから、フェンス越しの風景は、とても新鮮に見えた。
グラウンドには、野球部の人たち。
いつも通りの練習をしていた。
バットとボールがぶつかる音が、少し遅れて響いてくる。
一生懸命、ボールを追っていた。
真言美「初音ちゃん?」
初音「ん、何?」
真言美「昨日はゴメンね。わたし、最後の最後で間違えちゃった。」
ぺろっと舌を出して言う。
初音「ううん。なんにも気にしてないし。それよりも、三輪坂さんが心配で。」
真言美「あ、わたしなら大丈夫。次はがんばるから。」
初音「そう? なんか、大丈夫そうには見えないけど。」
真言美「んー。」
三輪坂さんのいつものくせで、人差し指を唇につける。
真言美「でも、大丈夫。正義の味方も本当は厳しいんだな、って。そう思ってただけ。」
また遠くを見る。
真言美「正義の味方なら、簡単に敵をやっつけられると思ってたんだけどなぁ。」
初音「あはは。そんなことはないよ。」
真言美「でも、本当に信じてたんだもん。」
初音「……。」
真言美「ちょっとがっかりかも。」
初音「……。」
やっぱり、昨日の失敗のことで落ち込んでいるみたいだった。
真言美「野球部の人たち、頑張ってるねー。」
初音「うん。毎日あの練習だよね。」
真言美「そういえば、この前の地区大会って一回戦負けだったんだよね。
次の試合から応援に行こうかと思ってたのに。残念だったなー」
初音「そうだよね。でも仕方ないよ。相手は優勝候補だったんだし。」
真言美「でも、なんかかわいそ。」
初音「うーん。」
真言美「? どうしたの?」
初音「なんか、うまくいえないけどね。野球部の人たちって、
負けちゃってもああやって頑張ってるよね。そういうのはわたしたちも同じだと思うよ。
正義の味方じゃないけど、その、落ち込んでてもしょうがないよ。」
三輪坂さんのほうを振り向いて。
初音「だから、さ。一緒に練習しよ?」
そういって、ちょっと笑って見せた。
真言美「ありがと。やっぱり落ち込んでたの、分かった?」
わたしは、ちょっとうなずく。
初音「うん、部室で待ってるからね。」
真言美「うん。でも、ちょっと待ってて。すぐ行くから。」
三輪坂さんは、またフェンスの向こう側を見た。
でも、今度は遠くの方じゃなくて。野球部の練習しているグラウンドの方を。
176 :
3時半 ◆o9Bdtaxw :02/03/25 04:24 ID:nbQ3rsPv
ageてしまった…
ショック。
今日の分は会話文中心でやってみる練習。
>>171-172 どうもです。ちょっとペース落してます。
2日に1つくらい書けるといいかなぁ、とか。
地震が怖いけど(w
またageてるし…
ツール変えてなれないからとはいえ鬱すぎ。
新開と梓って腕力どっちが上?
>>178 えーと、どうなんでしょうね。
鬼の力の梓と、金剛力の新開ですか。。。
まあ、個人的な見解としては、新開のほうが腕力強いんじゃないかなぁとか。
ただ、もし同じ鉄拳食らうなら…梓ののほうが…
訓練の合間のこと。
真言美「いきますよぉ」
部室の隅になぜか転がっていた、バレーボールで遊んでいた。
いずみ「はいっ」
順番にトスを上げて、次の人に回していく。
真言美「それっ」
おとついのこと。
三輪坂さんは、前に取り逃がしてしまった光狩を「説得」してしまった。
「…そんなのって、あんまりじゃないですか。」
一昨日の夜、誰もいない、デパートのフロアに、三輪坂さんの声が響いていた。
このあたりで一番大きなデパート、「106」の4階。ウエディングドレスの売り場だった。
「悲しいんだったら…」
三輪坂さんと、あの光狩が向き合っていた。
遠巻きに、わたしと楓お姉ちゃん。そして、いずみ先輩たち。
「それで、光狩になって…」
商品の陰に隠れて、光狩の様子を見て、
スキができたら、やっつけてしまうはず、だったのだけれど。
どうしてなんだろう、三輪坂さん、いきなり飛び出して、光狩に語りかけ始めたのだった。
もう、三輪坂さんが何をしたかったのか、わからなかったけれど。
見守ることしか、できないでいた。
「でも、あなた、涙を流していたから…」
あのとき、確かに、光狩は涙を流していた。
いずみ先輩を見た。なにかよく分からないという表情。
お姉ちゃんを見た。ずっと変わらず、きっと光狩の方を見つめていた。
鏡花先輩を見た。光狩に同情しているような、そんな顔だった。
また三輪坂さんを見た。光狩を責めるわけでもない、同情するわけでもない、
ただ、語りかけていた。
「もし、だから…」
光狩は、それまでの怖い目ではなくなっていて。
「…ごめんなさい」
不意に、声を上げると、ぼろぼろと崩れて。
後には、女の人と、苦しそうに跳ね回る光狩が残った。
光狩のほうは、すぐに新開先輩が潰してしまったのだけれど。
三輪坂さんが、女の人に駆け寄ったとき、その女の人が言った言葉。
「あなたに、助けられた。」
そのときは、三輪坂さんもちょっと泣いてるように見えた。
楓「初音っ。」
急に、お姉ちゃんの声が聞こえる。
そして。
ガッ、という衝撃が走った。ちょっとくらっとした。
楓「初音。大丈夫?」
みんなが、私のまわりに集まってくる。
私のおでこにぶつかったのは、バレーボール。
ぼーっとしていて、飛んでくるのに気づかなかった。
初音「いたたた。」
いずみ「大丈夫?」
私のおでこに手をかざす。先輩の術「繕い」。痛みが引いていく。
初音「あ、はい、もう大丈夫です。」
真言美「気をつけないとダメですよう。でも、勝利ですね〜♪」
楓「うん。初音。罰ゲーム。」
負けた人が、みんなのジュースを買いに、おつかいに行くということになっていた。
初音「うーん。えと、何がいい?」
みんなから希望を訊いて、自動販売機のある中庭の方に走った。
こんばんわ。
最近、ジンがおいしいということに気づいてしまった3時半です。
とりあえず言いたいのは、モモちゃん、男キャラではいい味出してますね。
最近、強く思った。
…以上です。
「行ってらっしゃ〜い」
みんなで、小走りに自動販売機に向かう初音を見送る。
ボールを頭にぶつけた上に、この仕打ちはちょっと悪いかなとか思ったけれど。
まあ、いいや。
「じゃ、私ボール探してきますから。」
「あ、うん。お願いね。」
ボールは、初音のおでこの上でバウンドした後、植え込みに飛び込んでいた。
ちょっと背の高い植え込み。多分、ボールは、この向こう側にあるはずだった。
「あ、そっか。」
自分で自分につぶやく。
初音の高校は、高校のまわり3面が、ぐるっと雑木林で囲まれている。
それでいて、少し坂になっていて、ボールは自然の摂理に従って、
どこかに転がって行ってしまったようだった。
しかたないなぁ、そう思ったのだけれど。
とりあえず、探してみることに決定。
「♪、♪、♪〜」
テンポよく、坂道に丸太を止めただけの階段を下る。
いい天気。
葉っぱと葉っぱの間から差し込む日ざしが、まだらな模様を作っていた。
「あ、あった。」
階段を10段ほど下ったところに、ボールはあった。
ただ、どぶにはまっていた。
とりあえず、両手の、親指と人差し指と中指の6本の指で、ボールを持つ。
ボールからは、水滴が滴っていた。
「…。」
少なくとも、今日のバレーボール遊びは、おしまいかな、とか思った。
まあ、後のことは、戻ってから考えよ。
そこで考えを打ち切って、戻ろうとしたのだけれど。
…声が聞こえた。
なにか、怖そうな声。
どうしよ。無視して戻ろうか、ちょっと迷ったのだけれど。
大事になる前に、止めた方がいいかな。そう思って、覗いてみることにした。
面倒くさがり屋の自分としては、珍しい風の吹き回しかもしれないな、とか思いながら。
少し奥の方に、四人の人がいた。
声の元は、この人たちのようだった。どうやら、三人対一人らしい。
見つからないくらいの距離をとって、覗く。
背の高い三人と、私より少し背が高いくらいの、どちらかといえば、小柄な人が一人。
みんな、髪を染めている。
この距離からでは、遠すぎて話の内容まではわからなかった。
ただ、「あ?」とか威嚇するような声は聞こえる。
どうやら、小柄な人をたかっているみたい。
不意に、三人のうちの一人が、小柄な人の襟首をつかむ。
小柄な人は、宙ぶらりんのまま、なにかを喋った。
それは多分、挑発の言葉だったのだろう。背の高い三人が殴り掛かった。
(あ…)
どうする、柏木楓。いずみさんたちを呼びに行く? それとも、止めに入る?
もう、2、3発は殴られていた。
意を決し、取った行動は。
どぶ水滴るバレーボールを投げることだった。
とん、とん、と4人の前にバウンドする。
「あ、すみませーん。」
小走りに4人に近づいた。
「よいしょ、っと。ボールが飛び込んじゃって。」
ボールを拾い上げ、すまして4人を見る。じぃっと。
多分襲われることはないと思っていたし、仮に襲ってきても、
撃退することはできたのだけれど、それでも怖い時間が流れた。
「ちっ。」
殴っていたうちの一人が声を上げた。
私は、いかにも何がどうしたのかわからないというように、首をかしげて見せる。
(勝った)
そう思った。
「おい、行くぞ。」
捨てぜりふをはくと、3人は踵を返す。
立ち去ったのを見届け、殴られていた小柄な金髪に声をかけてみた。
答えは、
「余計なことすんじゃねー。」
だった。
さすがにむっとしたので、黙ってきょとんとした目で、相手を見て。
「うん、じゃ、忘れて。私が勝手に首突っ込んだだけだから。」
そういってやった。
あの金髪の人、そんなにわるい人に見えないんだけど。
こんばんわ。月末性金欠症候群患者の3時半です。
今日のは散文調を気取ってみたんですが、どうなんでしょ。
SS修行中の身なんで、いろいろ書いて勉強したいところです。
このネタ書き切ったら、少しは上達できるといいなとか。
189 :
名無しさんだよもん:02/03/31 23:28 ID:oZVKZHaE
舞「あなたも魔物を討つものだから……。」
何か…最近凄く駄スレが立っているような。
モモちゃん
キャラ的には悪くないですが戦力として見た場合、貧弱この上ないですな。
3人組の不良グループのうちの一人が、繁華街をぶらついていた。
その不良の名前は、梅田といった。
連れの二人と分かれた後、ゲームセンターで金と暇を使い、
日が暮れたので、そこら辺でタバコを買って家に帰るか、と、そんなところである。
それにしても、梅田は不愉快だった。
金髪に染めたチビの不良気取りが、突っかかってきた上に、
ボコってやろうとしたところに、女が乱入して邪魔した。
「クソ、あの野郎」
独りごちる。
乱入してきた、華奢な女はともかくとして、
あのチビは半殺しにはしておかないと、気が済まない。
そう、梅田は思っていた。
梅田と2人の連れ(松枝と竹井という名前なのだが)と、渡り廊下を歩いているときに
あのチビがぶつかってきた。
「おい、どこ見てるんだよ。」
しかも、突っかかってきたのもそいつである。
「あ? オマエこそどこ見てるんだよ。キサマがぶつかったんだろ。謝れよコラ。」
チビの野郎の返事は、唾をはきかけることだった。
「キサマ…」
あとは成り行きで裏の林まで連れ込んで、わからせてやるはずだったのだが。
「…ムカつくな。畜生、殺してやる」
また独りごちる。
が、今度は独り言とはならなかった。
「何が、ムカつくんだって?」
「は?」
梅田は、顔を上げた。
目の前にいたのは、紫の髪に、全身の入れ墨、そしていくつもの腕輪とネックレスを付けた
背の高い男であった。
「へへ。こんなおいしいヤツに会えるたぁ、たまには蒼くない夜もいいもんだ。
むかついたから頃す? これだからヤロウは思考回路が単純だからいけねぇ」
背の高い男は、梅田を無視して続ける。
「まー、単純だからいけねぇってことねえけどヨ。女はねちっこすぎていけねぇ。
ま、ヤるときはその方がいいんだけどよ? ヒャァッハッハ!」
その態度は、梅田の気分を逆撫でするには充分だった。
「ヤロウ、うぜえんだよ。ぶっ殺すぞ!」
「あー?」
背の高い男は、それだけ言うと、一瞬のうちに梅田の襟首をつかみ、
そのまま路地の塀に、背中から梅田の体を叩きつける。
「がはっ」
「お前、ウルサイな。びーびーと。」
塀に梅田を押さえつけ、ギリギリと首を締め上げる。
梅田の口からは、すでにわずかに息が漏れるだけになる。
それをみて、男は顔を近づけてせせら笑い、さらに顔を近づける。
「んー? ぶっ殺すって、誰が? 誰を?」
梅田の顔が引きつり、脂汗が流れる。
「ヒャァッハッハ! 何も言えないってか。このクズが。これでも飲んでろ。」
背の高い男は、梅田の口をこじ開け、何かを押し込んだ。
「ほら、飲めよ」
襟首を揺さぶると、梅田の喉を、何かの固まりが下りていった。
背の高い男の手から解放された梅田は、地面に膝をついて、荒い息をしていた。
喉に指を入れたときのような、あの感覚。
そして、自分の意思とは関係なく、嘔吐の衝動を波のように与えてくる、胃の中の何か。
「ちくしょう、何を入れやがった」
やっと、そこまで言う。
「あー、光狩ってヤツさ。 ドラッグなんかよりよっぽど、イケるぜ?」
光狩というものがなんなのか、梅田にはわかるはずはなかったのだが。
ただ、梅田の体の中では、何かが起こりつつあった。
こんばんわ。
「梅田」を貼らせていただきます。
>>190 確かにその通りですね。
本編で、狭間の探索に連れていった覚えがありません(w
195 :
名無しさんだよもん:02/04/03 02:11 ID:q4+5YGos
舞「めんてだから……。」
不良3人組、結構面白い奴らですよね。
海戦の話とか。
夜が来る、女の子的には星川>百瀬らしいです。
「なぜホッシーがキャラ攻略出来ないのか?これは痛い…」
と言っておりましたです、ハイ。
197 :
名無しさんだよもん:02/04/03 23:44 ID:7J1Gdqc8
大悪司でできんじゃん。キャラクリ。
朝過ぎて昼ですが、何か?
>>198 最近はどうして暇な人を削ってトリップだけなのかと問うてみる。
それと突っ込むのが遅過ぎだろ。
自転車置き場。
楓は、自転車を下りると、後輪に黄色いチェーンをかけた。
上下とも、よくあるスポーツ用の白いジャージ。黒と赤のラインが入っている。
傍目には、どこかの運動部の部員にしか見えない、そんな格好だった。
楓の通う高校はセーラー服、初音の通うこの高校はブレザー。
セーラー服のままでは目立って仕方がない。
そんなわけで、天文部の練習にくるときは、着替えて来ることにしていた。
「よいしょ、っと。」
自転車の前カゴから、ショルダーバッグを取り出し、肩にかける。
そして、いつもなら渡り廊下から学校に入り、部室に行くはずだったのだが。
「あ…」
部室につづく廊下。偶然ではあった。
向こうから歩いてきたのは、この前3人組に襲われていた、あの金髪だった。
思わず立ち止まって、金髪を見つめる。
「あん?」
片方の眉をつり上げて、金髪が言った。
楓の声に気づいたのか、楓がたまたま見えたのか。
金髪もまた、楓に気づいたようであった。
渡り廊下の東の端と、西の端。
金髪には、西日に照らされた楓の姿が、シルエットのように見えたはずだ。
「なんだよ? オマエ、何か用かよ。」
「いえ、別に。なんでもないですけど。」
誰もいない廊下。声だけが響く。
わずかに、首を横に振る。切り揃えた髪が、さらさらと揺れた。
金髪の顔が、にわかに不機嫌そうになる。
「ふん、じゃぁ呼ぶんじゃねーよ。」
憮然として、そう言った。
金髪が、楓の方に向かって歩きだす。
ポケットに手を突っ込み、いかにもヤンキーを気取って。
楓は、その場で立っているだけだった。
すれ違う直前。ふと金髪は立ち止まる。
「それからな、お前うっとうしいんだよ。この前も余計なことをしやがって。」
「それは、私が…」
「どーゆー理由か知らんが、お前がしゃしゃりでて来るのは迷惑なんだよ。」
楓は、それ以上何もいわなかった。
また歩きはじめる
「じゃぁな。二度とオレの前に出てくるなよ。このブス。」
楓が振り返ると、左手をポケットに突っ込み、ヒラヒラと右手をこっちに振りつつ、
金髪が向こうに歩き去るのが見えた。
無視されているわけでもなく、いじめられているのでもなく。
関わりを意味もなく拒否するような、そんな態度。
楓は、少々困惑していた。
こんばんわ。「Reject」を張らせていただきます。
>>195 メンテありがとうございます。
>>196 自分のまわりには、「その筋」の女性はいないんで、ちょっとわからなかったです。
Kanonの絵を描く人なら、一人いますけど。
まあ、女性心理は、なかなか難しいってことでしょうか。
逆もしかりだと思いますけどね(w
メンテ
__________________
___ /
/´∀`;::::\< 夜が来るのOPカッコいいですね。
/ メ /::::::::::| \__________________
| ./| /:::::|::::::|
| ||/::::::::|::::::|
「お前…、マジかよ」
2人の顔におびえが走る。
正確に言えば、金髪の手の中にあるものに、おびえていた。
手の中にあったものは、刃渡りにして15、6センチほどのサバイバルナイフだった。
前の晩のこと。
「ふ、これさえあれば。」
金髪が、手に持っているナイフを覗き込む。
金髪自身の顔が浮かんでいた。
「これさえあれば、あの3人組になど、絶対負けはしない。」
手首をひねって、傾ける。
ナイフに浮かんだ金髪の顔が、少しゆがんだ。
電気スタンドに照らされた刃の先端が、キラリと光を集める。
やろうと思えば、人を殺すことなどたやすい武器が、金髪の手の中にあった。
「オレだって、やろうとすれば、やれる。」
自分は誰よりも強いと、金髪は信じていた。
金髪に染めたのも、強さを誇示するためだった。
そして、ナイフを持ったのは、強さを証明するためだった。
椅子から立ち上がり、ナイフを高く掲げて、もう一度光に照らした。
そしてナイフを仕舞い、この、復讐の時を待っていたのだった。
金髪は、じりじりと間を詰めた。金髪が間を詰めた分だけ、不良たちは後ずさった。
あと、4メートル。あと4メートルで、
このクソ虫共を潰すことができるのだ。そう、金髪は思った。
「あ、あ、あ…」
竹井が、恐怖にうわずった声をあげた。
ざまあみろ。金髪は心底そう思った。
オレに逆らった罰だ。これから、もっと怖い目にあわせてやる、とも思った。
「くそ…」
松枝は、憎しみに満ちたとしか形容しがたい顔で、金髪を睨み付けていた。
ふん、いつまで強がっていられるんだ?
この腰抜けが、かかってこいよ。そう、思った。
「……」
梅田は、何もいわず、ただこちらを見ていた。
思わず金髪は、口元をゆるめた。
これだ! この恐怖で意識が飛んだ、ブザマな梅田の顔を見ろ!
口元の笑いが止まらなかった。
「ぐっ」
3人の不良は、ついに校舎の壁に追い詰められた。
そびえ立つ鉄筋コンクリート。窓はなかった。
「そろそろ、お前らも終わりだな。」
ナイフをぎらつかせながら、金髪と不良の間が縮めた。
「ぎゃぁあぁぁあぁ!」
ついに、竹井が大声をあげた。
そして走り出す。この気の狂った奴から逃げるために。
しかし、竹井の足は、主人の意思に従わなかった。
自分で自分の足を踏み、さらには石につまずき、竹井は無様に転んだ。
竹井は、金髪を見上げた。
見下していた。笑いながら、手にはナイフを持って。
「あ、あゃ、あわあわわ。」
言葉にならない言葉を発する。
ブリッジが潰れたような、そんな無様なかっこうだった。
金髪は、もう一度不敵に笑い、ナイフを竹井の腹めがけて振り下ろした。
「なにっ?!」
あまりの思いがけないことに、金髪は声を上げた。
振り下ろしたナイフは、竹井から数センチの隙間を残して、
それ以上振り下ろすことができなかった。
金髪が、何が起こったのかを理解するために、数秒を要した。
梅田が、右手をつかんでいた。
なぜか「腕をつかまれている」という感覚はない。
金髪の顔を、梅田が覗き込む。
目を見開き、瞬きもせず、口は両端をつり上げて。
そして、耳元で、言った。
「壊してやる。」
そのまま、梅田は腕を勢いよくひねった。
痛みのあまり、金髪はナイフを落とす。
続けざまに、腹に膝蹴りが入る。
一発、二発。
金髪の目が点になる。
が、そんなことには構いなく、顔にパンチを浴びせた。
さらに金髪を突き飛ばし、地面にぐったりとしたところを蹴りつける。
胃の内容物が、金髪の口から溢れ出る。蹴られた勢いで、それはあたりにまき散らされた。
次は、胃液と血。
しばらくすると、もう何もでてこなくなった。
すでに、金髪は地面に横たわり、わずかに痙攣するだけになっている。
竹井と松枝は、呆然と金髪がボロ布になっていくのを見ていた。
不意に、梅田は蹴るのをやめる。
「お、おい…」
気まずそうな声で、松枝が話しかけた。
「ヤバいんじゃないのか?」
「こいつは終った。俺は次に行く。」
梅田は答えにならない答えを残し、走り去った。
残された竹井と松枝は、しばらく何もできないでいたが、
竹井が意を決し、おそるおそる金髪に近づき、体に振れた。
反応がない。
「ひっ」
もしかして、死んでる?
恐ろしくなった。
自分がやったではないにしろ、目の前で人が死んだ。
「ヒィィーー!」
竹井が一目散に逃げ出す。
松枝も、少し金髪を見やったが、やはり背を向けてその場を走り去った。
「殺意」張らせていただきました。
>>204 カッコいいですね。禿同。
「お疲れさま〜」
夕方6時。天文部では、訓練を終え、一旦部室に集まってから解散することになっていた。
「じゃ、あしたはグループでの訓練だから、遅れないでね。」
「ええ、楓ちゃんは時間とか、大丈夫だった?」
「あ、私大丈夫です。」
「お姉ちゃん、そんなに早く来れるの?」
「うん。ちょっと早く出るだけだから。」
のどかな雑談がつづいていた。
「あ、真言美ちゃん。カーテン閉めといてくれるかな?」
「了解です。いずみ先輩♪」
真言美はカーテンのところまで行き、あっと声を上げた。
「? どうしたの?」
「せ、先輩。真月が…。」
「え?」
いっせいに窓際に駆け寄る。外では、空が急速に蒼みを増していた。
つづいて、どこからか、男の人の叫び声。
「近いわ。行くよ。」
いずみの声に、皆が続いた。
「これ…」
言葉を失っていた。
靴を履き替え、辺りを探していた、ほんの10分ほどの間に何があったのか?
少なくとも、マトモなことではなかった。
そこには、血まみれになった男子生徒が倒れていたので。
服は裂け、血に染まっていた。腕は変な方向に曲がり、
ひどくえぐれたような足の傷からは、白い骨が覗いていた。
そして、そこら中に撒き散らかされた吐瀉物。そして、ナイフ。
たったひとつ、幸運だったのは、まだ僅かに息があったことだった。
「ひどい…」
初音が目を伏せてつぶやく。
「いずみっ、何とかできそう?!」
「う、うん。でも、私でもどれだけできるか…。」
「とりあえずは、部室に運ぶぞ。おい、ホシ。足の方を持て。」
新開は、金髪をかつぎ上げた。
血に染まった顔がだらりとたれる。
「あっ。」
思わず驚きの声をあげたのは楓だった。
「どうしたの?」
「いえ、この人、知ってる…」
「えっ?」
十分驚愕な事実だった。
金髪の怪我は、想像よりもはるかにひどいものであった。
凍夜で能力が増していなければ、おそらく、いずみでも助けることはできなかっただろう。
当の金髪は、今は傷はほとんどふさがり、天文部の長椅子の上で寝息を立てていた。
もっとも、服は破れたままなのだが。
「それにしても、危機一髪でしたねぇ」
「うん。あと少し遅かったら、だめだったかもね。」
まわりがそんな他愛もない話をしている間、楓は話に加わるでもなく、窓から外を眺めていた。
「楓ちゃん?」
ふと、鏡花が呼びかける。
「あ、いえ、何でもありません。」
「そう? そんなふうには見えないけど。」
「いえ、本当になんでもないんです。」
本当に本当のことを言えば、なんでもないわけではなかった。
気になっていたのは、金髪が倒れていたところに落ちていたナイフ。
まあ、あれだけの怪我をするような事件だったのだから、ナイフの1本位あっても不思議はないのだが。
ただ、金髪の怪我にナイフによるものはなかったし、第一、ナイフに血はついていなかった。
(だとしたら、あれは、あの金髪のもの…?)
楓が気になっていたのは、そこだったのである。
「……。」
楓は、とくに特訓をするでもなく、部室で資料を整理していることにした。
金髪が起きたときに、だれもいないと困るし。それに、なんとなく気になったので。
「ふう。」
部室にいるのは、楓と金髪の二人。
資料を読むにしても、どうしても集中できないでいた。
起きたときに、なんて言えばいいのか。そればかりがめぐっていた。
それなら最初から、「私が金髪の面倒見る」だなんて言わなければよかったのに。
わずかに苦笑する。
手に持っていた本を手近に置き、金髪のほうを見た。
まだ、眠っていた。
こんばんわ。
「偶然」を張らせていただきました。
なんか、夜が来る!のDVDか何かが出るみたいですね。
買おうかどうか迷い中。
216 :
名無しさんだよもん:02/04/10 03:13 ID:7TRCAeSB
あげ。
メソテ
メンテ
「う、ぐ。」
何時間たっただろうか。
夕暮れになって、ようやく金髪が、うめき声を上げつつ、目を覚ました。
「気分はどう?」
とりあえず、そう呼びかけてみる。
「ここは、どこなんだ?」
質問の答えになっていなかったが、そんな事は気にせずに、答える。
「天文部の部室だけど。」
わざとそっけなく答えた。かえって演技臭かったかもしれないが。
「気が付いてよかった。私は柏木楓。よろしく。」
「あ、ああ。オレは百瀬壮一。」
金髪、いや百瀬は上体を起こし、体にかけられた毛布はそのままにして、楓の方を見た。
「って、おまえあの時のやつじゃねーか?!」
「ええ。」
「ちっ」
百瀬は憮然とした表情になる。
ほんの昨日に、「二度と目の前に現れるな」と言った相手に助けられたのが、
気に食わないと言わんばかりに。
「オレンジジュースだけど、飲む?」
百瀬の目の前に差し出した。
「あ、ああ。」
楓も、椅子を持ってきて、腰掛ける。
聞くべきことを聞いておこう、そう思っていた。
「昨日は、誰にやられたの?」
「そんなこと、おまえに関係ないだろ。」
「でも、一応助けた方としては、聞いたっていいと思うけど? 」
「…ちっ。」
もう一度舌打ちをする。
「前に、裏でおまえがボールを投げてきたことあっただろ。そのときにいた梅田って奴だよ。」
「そう。」
どうやら、その梅田という生徒が光狩に取り憑かれているらしかった。
もう一つ、聞いておくべきことがあった。
むしろ楓にとっては、誰が光狩憑きなのよりも、よほど興味のあることだったのだが。
「あと、あなたの倒れていたところに落ちていたナイフ、あれ、あなたのでしょ?」
百瀬は黙った。ここで話していいものかと、迷いが生じた。
楓を直視する。
言葉遣いこそ親しげだが、冷静で、真剣な顔だ。
「あなた、あのナイフは、3人組と喧嘩をするために持ってたんじゃないの?」図星だった。
もっとも、白状するのは、百瀬が自身を捨てることに等しかったのだが。
「…ああ、そうさ。あれはオレのもんさ。あれはオレの「強さ」ってやつだからな。」
楓は、一瞬、きっとした表情を見せた。が、すぐに我に返り、
「そう。」
と、そっけない返事で返した。
これがいずみなら、そのままはたいていただろうか。
「なんだよ。」
百瀬が、不愉快そうにつぶやく。
「いえ、別に。」
様子をうかがうかのような、いい口ではあったのだが。
それから、しばらく沈黙のときが流れた。
ふと、百瀬が時計を見る。6時3分前であった。
「おっと、オレはそろそろ帰らせてもらうからな。世話になったな。じゃあな。」
「あ、少し待ってくれる?」
「あんだよ?」
部屋の奥から、ナイフをもってきた。
昨日、百瀬を部屋に運んだ後、楓が拾っておいたものだった。」
「あなたの「強さ」なんでしょ?」
ナイフを手渡す。
百瀬は、ナイフを受け取り、蛍光灯に照らした。
昨日と同じように、白銀に光り、百瀬自身の顔を映していた。
「…でも、できればそのナイフは、もう使わないで。しまっておいて。」
しばらく間があって。
「別に、あなたの勝手だけれど。」
今まで伏せていた顔を、不意に上げる。
百瀬の目を見ていた。
あなたの勝手、とはいいつつも、嫌だとはいわせない、そんな意思のある目だ。
しばらくの沈黙。
すでに、夜の帳が降りていた。
わずかに開いた窓からは、この季節にしては寒い位の風が吹き込んでいた。
「わかったよ。」
小さい声ではあったが。
「持たねぇよ。」
たしかに、そういった。
「…ありがとう。」
楓は、なぜそんなことを言ったのか自分でもよく分からなかったのだが。
百瀬を部室から見送る。
もうすぐ、みんな訓練から戻ってくる。
楓は、資料の整理を再開したが、結局はかどらずじまいだった。
こんにちわ。「約束」貼らせていただきます。
メンテ
チャイムが鳴り響いている。
いわゆる下校時刻を知らせるチャイムだ。
誰もいない、そして、妙にエコーの掛かったチャイムだけが響く廊下。
そこを歩く、百瀬。
百瀬は何も喋らない。独り言の一つさえ、出て来ないでいる。
ただ、心のうちは複雑だった。
あの柏木って奴、なんなんだ?
これが一つ。
なんで、「ナイフ持たない」とか約束したんだ?
これがもう一つ。
別に、ムカつくとか、うっとうしい、とかいった感情があった訳ではない。
あったのは、不思議な感覚としか形容できない、感覚だった。
昇降口まで、たどり着く。
すでに3つあるシャッターのうちの2つは閉じられていた。
靴を履き替え、外に出る。
「あー、蒼いな。」
空を見上げる。ぽっかりと浮かぶ第二の月、「真月」が青い輝きを放っていた。
火者を、戦いの舞台へと誘う光も、百瀬のような一般人には、
星がきれいに見えるのか、曇っているのか程度のものでしかないのだ。
百瀬は、ぶらぶらと、歩いた。
運動場を見やる。野球部の奴らが、バッグを肩にかけ、グラウンドを後にするところだった。
白いユニホームも、真月の光の中に、蒼く光って見える。
(そーいや、昨日も蒼かったっけな。)
百瀬の頭の中は、相変わらず、楓と話したときのことを考えていた。
決して、女が言ってきたから、ナイフを持たないとか誓ったわけではない。
少なくとも、そう思っていた。
「オレの、強さだよな。」
独りごちた。
…ふと、気になることを思いついた。
昨日、3人組とやり合った所に、行ってみようと思ったのだ。
ナイフを持たないということは、不良としての百瀬自身の終わりであったので。
その、終わらされるきっかけの場所を見ておきたい、百瀬はそう思った。
昨日の今ごろだったろうか。
いま、百瀬が立っているところは、昨日百瀬自身が倒れていたところだった。
乱闘のあとこそ片づけられていたが、
血と、吐瀉物の胸くその悪くなる臭いが、わずかに鼻につく。
「ふっ。」
ため息の混じった、苦笑が漏れる。
もしかしたら、馬鹿なことをした。そう、百瀬は思った。
3人を相手に、ナイフを振り回し、挙げ句の果ては逆にボコボコにされた挙げ句、
迷惑だと面と向かって罵った相手に助けられたのだから。
ボコボコに。
(?)
違和感に気づく。
そうだ。昨日、あの3人組にボコにされたハズだ。
百瀬は、シャツをめくりあげる。
傷はなかった。
かわりに、怪我が治ったところにできる、ケロイドのようなものが、数カ所あった。
動揺。
昨日、怪我をした。が、傷がない。
昨日までなかった痕。が、今は、ある。
ならば、導き出される、解答は一つしかなかった。
「一晩で、オレの傷を治した。」
その解答は、普通なら、間違いのはずなのだが。
背筋を冷や汗が流れた。
(あいつに、聞くのか?)
天文部の、あの柏木というやつが知っているはずだった。
校舎を見上げる。
天文部の窓は、カーテンこそ閉まっていたが、明かりはついていた。
聞きに行くなら、今しかなかった。
しかし、恐ろしいことのようにも思えた。
少なくとも、あいつは人ではなくて、怪物ではないか。そういう想像が百瀬を襲う。
「くそっ!」
百瀬は、邪念を振り払うと走りだした。
いま、歩いてきた道を。
こんばんわ。
三時半の駄SSをわざわざ見にきていただきまして、ありがとうございます。
「反芻、そして疑問」を張らせていただきました。
ハカロワを読み返す今日この頃。
あらためて読んでみると、やってみたい表現とか、見習いたいところとか
いろいろあって勉強になるですね。…がんばろ。