葉鍵板最萌トーナメントブロック決勝Round147!!
過去の遺産(1/2)
「千鶴さん!!」
俺はその姿を確認したとき叫んでいた。
そう、マンションに残していたはずの千鶴さんがそこに立っていた。
裸に俺の掛けた上着だけを羽織り息を荒げながらも・・・
彼女は俺の助けになる為歩いて来た・・・
「ま、間に合いましたね耕一さん」
弱々しい笑顔を残すと彼女はそのままその場に崩れ落ちる。
「参りましたね、まだそんな力が残っていたとは」
だがそんな彼女に俺が駆け寄る間もなく柳川が俺の前に立つ。
体の各所は焦げ煙さえ上げているが全くダメージを受けた様子はない。
「タフだ・・・な」
俺は本心からそういうと、奴と向かい合い再び戦うために構えを取った。
再度先ほどと同じことが繰り返される。
「何度やってもムダだ、もう助けもないしな!」
悔しいがやつの言うとおりだ、俺は地面を転がることしかできないのだから・・・
-ザッザッザッ-
再び奴が止めを刺そうとしたその時、俺は視界に気になるものを見止めた。
崩れた社、その中にあるのは・・・あれは!?
俺は腹をくくった。
過去の遺産(2/2)
奴の止めの一撃を自らの腕で受けると俺は走った、そう社まで。
そしてそれを手にとったとき俺の直感が正しかった事を知った。
社の中に眠りしもの、それはエルクゥの神器、宝剣『ギスギテ』だったのだから。
剣を手にした瞬間俺の中で何かが爆発しそうになる。
-コロセ・オカセ・ウバイツクセ-
心の中に広がっていく昏い感情。
だがしかし何とかそれを納めると俺は再び奴と対峙した。
「ほぉ?それはなんだ??まぁいい、お前の命の炎さぞや美しいだろうな」
奴の爪が来る、だがしかし今度はそれを易々と剣で受けきることができる。
この剣は人の負の感情を喰って・・・さらに増幅して力を与える剣。
俺が奴を憎めば憎むほど・・・強い力を与えてくれる。
「くっ、なんだ?その剣は??」
その問いに答えずに俺はひたすら斬撃を繰り出しつづけた。
やがて剣は奴の体を削るようになり、爪を切り落とし、腕を切り落とし・・・
だがそれでも止まることなく奴の体を壊しつづけた・・・
「ぐっ・・・くそ・・・くそぉおおお」
奴の叫びが耳に入る、甘美な感覚に酔う俺の前で・・・奴は最後に炎を残しこの世から消え去った。