葉鍵板最萌トーナメントブロック決勝Round147!!
絆(1/3)
千鶴「耕一さん・・・助けて・・・」
暗い部屋の中で千鶴さんが鎖につながれている・・・
その日はそんな夢で目が覚めた。
久々に体が軽い。
昨日の晩用事があるからと言って帰ってこなかった千鶴さんの代わりに、梓の作った料理を食べたからに違いない。男にしとくのは勿体無いぜ。(をぃ)
しかし・・・さっきの夢覚えがある。
そう、過去に柳川とシンクロしていたときに見た夢とそっくりなのだから・・・
俺はちょっと気晴らしに散歩してくるから・・・と告げると心を研ぎ澄ませた。
千鶴「耕一さん・・・助けて・・・」
あの声は起きていてもしっかりと聞こえる。
このときほど俺の中に流れるエルクゥの血に感謝した事はない。
あの千鶴さんを監禁してしまえるような相手で思い当たるのは一人しか居ない・・・
絆(2/3)
『柳川』!!
かつて闘い勝利した相手。
そして共に闘った仲間・・・
再会した彼はエルクゥの力を己のものにしていた。
完全に人の心によって制御されたエルクゥの力・・・俺と・・・同じか。
闘って今度も必ず勝てるという保証はない。
体調も万全ではない・・・
だが、愛する千鶴さんのために俺は刺し違えてでも奴を倒す覚悟を決めた。
驚いたことに千鶴さんの呼び声が聞こえたのはあのマンションに程近いマンションの一室だった・・・
千鶴「助けて・・・」
徐々にか細く変わっていくその声に最悪の事態を思い描きつつも勇気を振り絞りドアのノブに手を掛ける。
-ガチャ・ガチャ-
鍵が掛かっている、しかしこの程度のドアなど今の耕一にとっては無いも同然のものだった。
-メリメリッ-
嫌な音を立ててノブが鍵ごともぎ取られ開く。
そしてその部屋の隅に全裸で・・・
さらには趣味の悪い首輪をつけられて転がされている千鶴さんを見たとき・・・俺は正気を失って彼女のそばに駆け寄った。
絆(3/3)
幸い柳川は留守のようだが千鶴さんの様子が心配な俺は首輪を引きちぎり、手直にあった上着を彼女に掛けると、
「大丈夫か?」
それだけ・・・そう、それだけを何とか聞いた。
「はい、耕一さんが来てくれるとおもいましたから」
だから何が大丈夫なのかわからないが彼女はそう答えた。
「少し薬を打たれてしまって、力が出ないだけですから」
そう言って微笑む彼女の笑顔にいつもの輝きはない・・・
ちくしょう、ちくしょう!!
「ちくしょう!!!!」
俺は自分の拳をきつく握り締めた、血が出るほどに・・・
「耕一さん、いったんここは引きましょう」
「留守なのは幸いです、最初私一人で決着をつけるつもりだったのですが・・・」
「かえって迷惑を掛けちゃいましたね」
俺はそうやって自分を攻める・・・けなげな彼女をそっと抱き上げると部屋を出ようとした。
その時玄関にはもう一人の鬼が居ることに気付きさえもせずに・・・