葉鍵板最萌トーナメントブロック決勝Round147!!

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153名無しさんだよもん

凍りつくような冷気が、周囲を包み込んでいた。

触れれば切り裂かれるような、鋭利な夜気をまとい、彼女はそこに独り佇む。
鮮血を薄めたような、淡い血の色をした満月を背負い、夜空を思わせる髪は深く大地に影を刻んでいる。

柏木千鶴は、紅の瞳を長岡志保に向けた。

「あなたは、何故ここにいるのかしら」
「………」

選ばれた者のみが集い、己が背負うものを賭けるこの死闘の場に、志保の身体はあまりにか細く、頼りなく見えた。
その瞳に映るものは、畏怖と……意志。
あまりに強大過ぎる相手に、恐れを感じつつ……それでも、志保は一歩も退かなかった。

「……いい目をしているわね」

千鶴は、ふっ、と静かな笑みを浮かべる。
だが、その笑みは安らぎをもたらす笑みではない……狩られる者への、憐憫と期待を秘めた笑み。

「もう一度聞くわ……あなたは、何故ここにいるのかしら?」