葉鍵板最萌トーナメントブロック決勝Round143!!

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598琉一
『星霊の降る夜に(1/2)』

 ひどく寒い深夜の公園。
 私は一人ベンチに座り、星を見上げていた。
 高く深く、吸い込まれそうに暗い空。
 そんな中で、ううん、だからこそ素晴らしく綺麗に輝く星々。
 一面に空を埋め、今にも零れ落ちてきそうだ。
 洩らした息が白い靄になって、一瞬星空を隠すけど、すぐに輝きは現れる。
 あれが何百年も昔の光だなんて、とても不思議な感じ。
 ずっと昔から、そして未来永劫消えない、神秘的な輝き。
 赤に、青に、白に、異なる美しさを夜空にちりばめる。
『La La 星が今 運命を描くよ――♪』
 私の運命は、どの星が描いてくれるのだろう。

 私はよく――アイドルは、よく星にたとえられる。
 綺麗に輝き、誰もが欲しがって手を伸ばすのに、けして届かない。
 ただ天の高みにあって、人々を魅了し、目を引きつけて離さない。
 人々はその美しさを羨むけれど、でも、星達しか知らない。
 私たちがずっとずっと遠くにいて、誰の手も取れないことをどんなに寂しく思っているか――。
 多くのファンが取り巻いてくれている。支えてくれるスタッフがいる。
 だけど本当の意味で心を許せる人は、心を休める時は、なかなか得られない。
 星達は昼の間、太陽の陰に隠れて休めるかもしれないけれど、私たちはずっと輝き続けなくてはならない。
 輝きがあせたら、そこで終わり。星は地に落ち、もう、誰にも見向きされない。
 だから私たちは、燃え尽きる恒星のように、強い光を放つ。
 少しでも長く、人々の心を惹きつけておけるように。