葉鍵板最萌トーナメントブロック決勝Round143!!
「…幸い携帯で英二さんとはるかに連絡が取れたから。英二さんはもう新幹線の中だけどはるかは
まだUSJにいるから遊び終わったら来てくれるってさ」
「はあ、結局またはるかちゃんに助けられることになるわけね」
「あいつが俺たちを振り回しているだけかもしれないけどな」
天王寺でははるかに感謝の言葉など話してしまったが、思えば南の島で楽しもうとしたところをあいつに邪魔されたんじゃねえか、
と今さら思い出した冬弥。
「それにしても喉が渇いたわね。小銭ぐらいないかしら」
「あ、そういえば大学受験の時、由綺に貰ったお守りの中にゲンをかつぐために500円入れてたんだ」
「ふーん。そんな昔のお守りを今でも大事に持ってるんだ」
「あ、いや…」
「まあ、いいわ。それがあれば喫茶店に入ってコーヒーぐらいは飲めるわね」
「え、大阪でもさすがに喫茶店で2人で飲むには足りないと思うよ」
「私1人で飲めばすむことでしょ」
「…はい」
由綺の名前が出たせいで理奈の不機嫌度がさらに増していた。それにしても大阪ではまだまだ名前は知られていなくても
この娘はアイドルだったんだな、と改めて思う冬弥である。
「じゃあ、あの純喫茶いずみという店に入ろうか」
冬弥は2階にある白い内装の店を指差した。
「どこでもいいわ。それにしてもさっきから流れているこの歌は何よ。京橋はええとこだっせ♪ グランシャトーがおまっせ♪
…気が狂いそうになるわ。早く入りましょう」
アイドル歌手がグランシャトーのテーマを歌うという奇跡が起きたことを知る物は冬弥しかいなかった…。