葉鍵板最萌トーナメントブロック決勝Round143!!
516 :
琉一:
【トーナメント・控え室】
正直、俺は圧倒されていた。
冬弥「うわ……すごいな、吉井さんの支援」
理奈「……そう?」
冬弥「ほら、さっそくAA攻勢だし、票の勢いも相当なものだし」
理奈「みたいね。でも、予想されたことじゃない?
組み合わせの妙とはいえ、職人さんたちの数々の支援による、劇的な勝ち抜き。
加えてトーナメントに対する正しい萌えのあり方、みたいに言われているじゃない。
正直、勢いは向こうの方が上だと思うわ」
冬弥「だけど、理奈ちゃんはWAの人気キャラで……」
理奈「そんな狭い世界のことは関係ないの。ここは、最萌なのよ!
メインヒロインと言われた人が、今まで何人負けていると思うの?
肩書きも、過去の栄光も関係ない。ここは……そういう勝負の場所なのよ」
冬弥「う、うん……」
理奈「でもね、私は負けない。私はトップに立たないといけない。
由綺と……約束したもの。たとえ相手が誰であろうと、私は負けない!」
そう理奈ちゃんは言うけれど、目線はうつむき、か細く震えていた。
冬弥「理奈ちゃん……。いいんだよ、そんな気を張らなくったって。負けたって、誰も責めたりなんかしない。
このトーナメントでWAの良さを知ってくれた人がたくさんいるじゃないか! それだけで……」
理奈ちゃんは、続けようとした俺の唇を、指で塞ぐ。
理奈「ありがと、冬弥くん。
でもね、だめなのよ。よくやったじゃ。勝つのは一人。負けたらそこで終わり。
私はそういう世界で生きてきたの。そして、これからも――」
そう言って立ち上がる理奈ちゃんの肩は、やたらとか細く見えた。
理奈ちゃんは自分に言い聞かせるように、言葉を続ける。
理奈「負けない。負けられない。負けたく……ないの……。だけど――」
理奈ちゃんは、そっと俺の胸に頭を預ける。