葉鍵板最萌トーナメントブロック決勝Round143!!
「岡田、どうしよう」
「今そっちに藤田くんが向かってる!
彼と合流して直接向かって! あたし達もすぐ行くから、遅れないでよ!」
電話は一方的に切れた。
えっ、えっ!
藤田くんが来るの!?
どうしよう、えっと、準備していた荷物はどこだっけ。あれと、これと。ああ、これも!
あたふたしている時、外で自転車のブレーキ音がした。
窓を開けてみると・・・藤田くんだ。
「おい、急げ! 全力で走らないと間に合わねぇ!」
「あ、うん!」
声に弾かれたようにさっき慌ててかき集めた荷物を手に取り、玄関を飛び出す。
「早く乗れ!」
藤田くんの、自転車の後部座席に飛び乗る。
「飛ばすぞ、しっかり掴まってろ!」
「わかった!」
ぐんぐんとスピードを上げる自転車。勢いに跳ねとばされないように藤田くんの背に
しっかりと掴まる。
・・・あ、藤田くんの匂いがする・・・それに暖かい・・・
藤田くんにしがみついていた両の手に更に力を込める。
ずり落ちそうになる鞄をもう一度抱え直し・・・気付いた。
その鞄の横に、慌てて持ってきた便せんが入っていることに。
「藤田くん 貴方のことが好き」
とだけしか書かれていない、未完成の文章が覗いている事に。
慌てて隠したかったけれど、手が塞がっているのでそれもできない。
・・・どうか、気付かれませんように。
吉井、まもなく入場。