120日目
琴音と出会って4ヶ月。
もはや彼女は、私の全てと言って良い存在となっていた。
日中は琴音の能力の研究をする。
琴音の底無しの能力は、毎日新しい発見を見せてくれ、私は夢中になって彼女
の可能性を探る。
子供のようにはしゃぐ私に、琴音も喜んで能力を見せてくれる。
夜は別の面で琴音の探求をして過ごす。
琴音は抱く度にどんどん美しく素晴らしくなっていき、私は毎晩夢中に
なって琴音を求めた。
抱く度に開発されていく琴音も、思う存分私に甘えてくれる。
私と愛し合ったあの日以来、琴音は一度も拘束室に戻らず、私の個室で同棲
生活を送っているが、誰も文句は言わない。
今や琴音は、研究所史上最大の超能力者となっていた。
ただ一人琴音が心を許す私は、所内での発言力をどんどん高め、今や彼女に対
する権限の全てを握っていた。
もはや琴音が意に反して拘束されることも、非道な実験をされることも無い。
121日目
今日の試験は、どの程度の物を変形させられるか試した。
直径5センチの鉄棒は、容易く蝶々結びになった。
巨大なH鋼は縦からペシャンコになり、コンクリート製テトラポッドは一瞬で
砂に帰った。
誰もが琴音の能力に戦慄し、私だけが恍惚を感じた。
試験の後の琴音に疲れた様子はなく、頭を撫でてやると喜んだ。
122日目
今日の昼食は、気分を変えて所員食堂で食べた。
最近の琴音は、以前のように他人を恐れたりはしないが、関心を示す事も無い。
今や琴音は、人間をはるかに超えた能力を持っているのだ。
私以外の所員は、自分より身体が大きくても、小動物か羽虫程度にしか見え
ないのだろう。
所員達も、琴音に近付こうとしない。
琴音を孤独にしてきた畏怖の目。いくらそれを浴びても、私からの愛する視線
があれば、琴音は気にしなかった。
123日目
今日の試験で、琴音の新たな能力が判った。
念波遮断装置が無効化できるのだ。
念波の周波数をめまぐるしく変えて、遮断装置の効果をすり抜ける。
これで何者も、琴音を縛る事は出来なくなった。
檻に入れる事の出来ない猛獣が、普通に歩き回るようなものだ。
彼女がその気になれば、いつどんな時でも目障りな者を肉塊に変えられる。
その晩、私は可愛い猛獣を背後から抱いた。
私の腕の中で琴音は、子猫の様に鳴いた。