セーブした所からやり直す
87日目
期限前日。
原因が判らないと対処のしようが無い。
能力を無くす前日から、琴音の様子は変だった。
その時問われた質問。
その答えはもう出ているが、それを口に出す資格は、私には無い。
朝、琴音は私の部屋に行きたいと言い出した。
清潔だが入れ物でしかないこの部屋より、散らかっているが人間の生活する
部屋である私の個室の方が、琴音は好きらしい。
今日は訓練をせず、琴音とゆっくり話をすることにした。
どんな訓練も全く効果が無かったのだ。もはや琴音の心を少しでも理解する
しか方法が無い。
好きな音楽、好きな食べ物、将来動物学者になりたい事。
家族の事、学校の事・・・
琴音が語った人生は、私の予想以上に能力と遺伝異常で破壊されていた。
ここに拉致されて来た事すら、琴音にとっては生涯続く破局の一つでしか
なかったのだ。
どこにいようと、奇異の目に包まれた孤独が続くだけ。そうだと思っていた。
だが、私は必要以上に琴音の中に踏み込んでしまった。
ここまで話して、琴音はもう一度私にあの質問をした。
私が琴音の事をどう思っているか。
言える訳が無い。琴音の自由を奪い、誰よりも琴音を辱めたのは、私自身なの
だから。
琴音だけではない。
良心と知的好奇心を天秤にかけ、悪魔に魂を売る選択をし、多くの能力者を
実験動物として扱ってきた私が、琴音を愛しているなど・・・言ってしまった。
その想いは、能力が無くても、戻らなくても変わらないか。
今更隠しても仕方なく、そう聞かれると素直に変わらないと答えた。
それを聞くと、琴音は涙を流した。
今まで琴音は、誰からも愛されたことが無かったから。
どんな相手でも、どんな状況でも、愛していると言われた事が無かったから。
泣きながら微笑む琴音を抱き寄せると、一瞬身体を硬直させるが抱き返して
くれる。
唇に私が口を近づけるのと、琴音が目を瞑るのは、ほぼ同時だった。
一度離れてもう一度唇を合わせ、思わず私が舌を入れても、琴音は抵抗しな
かった。
ベッドの上に寝かせ、身体に触れても。
白衣と下着しか着ていない、着るものがない琴音は、すぐに生まれたままの
姿になった。
恥ずかしがるのでカーテンを閉めたが、琴音の白い肌は薄闇でもくっきりと
浮かび上がった。
細い身体、小さな胸、銀色の体毛。全てが愛しい。
私も邪魔な着衣を脱ぎ捨て、体重をかけずに琴音の上に乗り、また唇を重ねる。
まだ慣れていない彼女は私に口の中を一方的に弄られるが、それでも舌を必死
で舌を絡め返そうとしてくれる。
十分に琴音の舌を味わってから、小さいが美しい胸へ口を移す。
夢にまで見た琴音の乳房の味は、想像以上に美味だった。
大きさにコンプレックスを持っているようだったので、私がどれだけこの
乳房に魅了されているか伝える為に、執拗に責める。
舐め、吸い、揉み、撫で、弾く。
気が付くと、琴音の息はすっかり荒くなっていた。
股間の隙間に指をやると、じっとりと湿り気を帯びている。
琴音が私の愛撫で感じているのが嬉しくて、その証の部分を何度も擦ると、
薄い銀毛は指の動きの邪魔にならず、新たな蜜で更に湿り気が増す。
割れ目の中の小さな突起を探し出し指先で転がすと、琴音は甘い声で鳴き、
突起が固く膨らむにつれその声も甲高くなっていく。
堪らなくなり琴音の脚を押し広げるが、琴音は一瞬で怯えた表情になり、手で
大事な部分を隠した。
身体検査や卵子摘出の時の恐怖が、琴音に残っているのか。
だが抱き締めて頭を撫でると、琴音は徐々に硬直を解いてくれた。
琴音の手を取り剛直を握らせると、触っているうちに、琴音もこれが危険な
物ではないと判ってくれたようだ。
一緒に位置合わせをして、腰を進める。
いくら慎重に進んでも、琴音の顔は苦痛に歪む。
処女膜が破られていても、琴音は正真正銘の処女なのだ。
それでも私が最奥に達すると、健気に微笑んでくれた。
熱く狭い琴音の中は、全身が融けそうなほど気持ち良かった。
長く持ちそうに無いが、今の場合それは都合が良い。
行き来する私の動きを遮るように、琴音がしがみ付いてくる。
それを抱き返し、全身を擦り付けるように動く。
琴音の乳首が、私の胸を擦る。
琴音が私を呼び、唇を突き出す。
唇で答え、腰を小刻みに振る。
そして込み上げたものを、躊躇うことなく琴音の中に吐き出した。
行為が終わった後も、私達は長い間抱き合っていた。
やがて琴音が、自分は子供が産めないのだろう、と言う。
薄々気付いていたが、私が胎内に射精した事で確信したらしい。
自分の迂闊さを責めながらも、私は真実を話した。
聞き終えると、琴音は無理に笑顔を作りながら、遠慮せずに好きな人と愛し
合えるから良い、と言った。
けどその目は、涙を抑えられていなかった。