52日目
実験翌日。
私が部屋に入っても、琴音は拒絶も歓迎もしなかった。
どんなに私が憎くても、彼女には私しか会話の出来る人間は居ないのだ。
人間は群れで行動する生物だ。単独では生きて行けない。
私はその弱みにつけこんでいる。
私が話し掛けても、頷くくらいの返事しか返してこない。
能力開発訓練ははかどらず、最近は残さないようになっていた食事も半分近く
残した。
53日目
昨日と状況は全く変わらなかった。
無理に話題を作って話し掛けても、冷たい視線しか返して来ない。
54日目
今日も状況は変わらず。
1ヶ月以上かかって築き上げたものも、壊すのは簡単だった。
それとも彼女との間に何か築いたと思ったのは、私の幻想だったのか。