31日目
琴音に他の能力が潜在していないか調べる為、感覚を制限する実験を行う。
嫌がる彼女に拘束マスクを取り付け、視界を完全に塞ぐ。
食事は私が食べさせてやったが、トイレへは手探りで辿り着けるようだ。
拘束初日、目立った成果無し。
32日目
24時間経過。
念動波は時折強く発信されるが、透視波等は検地されず。
ヒステリックな言動が多くなる。
33日目
48時間経過。
念動波に乱れが生じるが、他に変化は無し。
怒鳴り散らしたりマスクを剥がそうと暴れる。
34日目
72時間経過
念波は前日と変化無し。
泣き叫ぶことが多くなる。
35日目
96時間経過。
何故か念動波も検地されなくなる。
子供のように泣いたり、突然手が付けられない程暴れたりする。
危険な兆候が続く為、私が同室で24時間監視することにする。
36日目
120時間経過。
念動波は回復せず。
絶えず話し掛けて来るのは、琴音なりの正気を保つ努力だろう。
これほど多く彼女と話をしたのは初めてだ。
37日目
144時間経過。
前日と変化無し。
迷子の子供のように、私の服を掴んで離そうとしない。
トイレの時も私が部屋を出るのを拒み、就寝も一緒のベッドで寝る。
38日目
168時間経過。
前日と変化無し。
琴音の幼児退行が進む。
シャワーを浴びたいとねだってきたので、身体を洗ってやると喜んだ。
39日目
192時間経過。
前日と変化無し。
これ以上は成果を得られず、精神的にも危険と判断し、また私の理性も持ちそうに
無かったので、実験を終了し拘束を解く。
暗い部屋から徐々に慣らす。
視力を取り戻した琴音は、真っ先に顔を洗ってから、泣きながら私の胸を
叩き始めたが、耐えた事を誉めてやると胸に顔を埋めてきた。