葉鍵板最萌トーナメントブロック決勝Round136!!

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371名雪ポニテSS(1/2)
 今日は気温も気分も最低だ。このくそ寒い中マラソン大会なんてどうかしてる。
 いつのまにか北川ともはぐれてしまった俺が手を抜き気味に走っていると、
「あ、いたいた。祐一、一緒にふぁいと、だよっ」
 いつも通りののんきな声。そういえば今日は男女合同だったっけ。
「…なんで、そんなにやる気なんだ」
 振り向くと、体操服にブルマー姿の名雪が俺に並ぼうとしていた。
「だってわたし、陸上部の部長さんだから〜」
 もちろん男子と女子では距離が異なるが、折り返し地点の位置が違うだけで、
同じコースを走っているのだ。
 それにしても男子に追いつくとは…。普段からは想像もつかないギャップだ。
 しかも全然息が切れてないぞ…。
「祐一、どうしたの?」
 呆然としたままの俺を追い抜いしまってから、名雪が振り返る。
 ポニーテールがふわ、と揺れた。白いうなじがまぶしい。
 …ポニーテール?
 ほとんど後ろ向きになりながら前を走る名雪(変なところで器用な奴だ)を、思わずまじまじと見る。
「お前、本当に名雪か?」
 いや、毎朝のように学校まで走ってるから、名雪が結構脚が早いのは知ってる。
 しかしこの、ブルマー姿にポニテの名雪の外見にはいつものぼへーとしたイメージは全くない。
「わたし、ぼへーなんてしてないよ〜」
 声に出ていたらしい。間延びした抗議の仕方は確かに名雪だ。
372名雪ポニテSS(2/2):02/02/15 16:45 ID:aUZn5QZd

 俺は名雪に追いつきながら、できるだけ興味なさそうに訊ねた。
「その髪型、どうしたんだよ」
「走るときは邪魔にならないようにいつもこうしてるんだよ。に、似合うかな?」
 ちょっと顔を赤らめる名雪。
 ああ、似合ってる。…なんていえるわけないだろ。
「全然」
「ええ〜っ!! じゃあ、ほどいて走ることにする…」
「ちょっと待て」
 俺は思わずポニーテールを引っ張った。
「いたいいたい、いたいよ祐一」
 手を離して、名雪の方を見ないまま言う。
「面白いからマラソンが終わるまでそのままで走ってくれ」
「うう〜、ひどいよ…」
 髪を抑えて涙目になってる。少しやり過ぎたかな…。
「…嘘だよ」
 だめだ、どうも勝手が違う。普段の俺ならこんなこと絶対に言わない。
「イチゴサンデーおごってやるから、今日はそのままでいてくれよ、な?」
 名雪が驚いてる気配。
 しばらく無言で走っていると、
「…うん、いいよ」
 そっと寄り添ってきた。
「こら、走りにくいだろ」
 折り返し地点はまだ先だ。
 俺は名雪と目を合わせるタイミングをはかりながら走っている…。