葉鍵板最萌トーナメントブロック準決勝Round132!!

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908砂漠のセリオ(1/2)
横転した車からなんとか這い出る。辺りには砂しか見えない。
……砂の下に隠れた岩にぶつけてしまったらしい。調べてみなきゃわからないが……自走は無理か?
そうだ……ナビは? スポンサーに押しつけられた来栖川製のメイドロボを確認する。
見たところ無事のようだが、過負荷で機能停止状態になってるようだ。
今回の"走り"の主役はこの機械人形だ。これを目的地まで運ぶ。スポンサーはデータを、俺は"次の走り"のチャンスを得る。
壊れちゃいめぇな……っと、再起動音……冷や汗かいたぜ。

トラブルから20時間経過……無線機能、歩行機能が破損したこの状況で、文字通り重荷を背負って北東へ歩く。
この機械人形をベースキャンプに連れ帰らなければ……俺は……走りたい……まぶし い……

 喉を潤す水気……半覚醒……胸をはだけさせ、白い胸の可愛らしい先端を俺の口もとに押し当てている少女の姿。
「気がつかれましたか?」
 みれば必要最低限の衣服しか着ていない。脱いだ衣服は俺にかけられていた。
「こ、ここは……」
「あの車を基準にすれば、北東に約70kmほどです。気絶されてからは14時間が過ぎてます。ナビの記録と照らし合わせると
あと20kmほどでベースキャンプです」
「よく……ここまで、でも、どうやって」
「這って」見れば、地平線に一条のライン。肘部はスティールが剥き出しになって……軋んだ音をたててる。
「無理を……させた」 俺の大バカ野郎…もっと、何か云いようが……あるだろうに
「仕事ですから……ですが、ここまでのようです」
「どうした?」
「バッテリー、胸部冷却水タンク、残量共に起動限界を越えました。最後まで、この旅を御一緒できなくて残念です」
そこで"少女"は動きをとめた……耳が痛いほどの静寂……
うっ、あっあああああ……
909名無しさんだよもん:02/02/13 02:25 ID:yIDDEZE5
問題なく<<セリオ>>に一票。
疲れきっているので、駄レスのみでご容赦を
910砂漠のセリオ(2/2):02/02/13 02:26 ID:n7wxD9c3
歩いて、歩いて……ベースキャンプに……灯りに……

そして、三日が過ぎた。ベースキャンプから搬送され、病室の天井を見上げている。
年若い少女、綾香と云っただろうかが、先程まで来ていた。彼女は"少女"を『わたくしどもの"子"』と
呼んで深々と頭を下げた。

日が落ちて、どのくらいたつか……病室の戸が叩かれ……靴音と軋んだ音が続く。看護婦の巡回時間ではなかった。
「……どちらさんで?」
「失礼します、セリオです……ご迷惑をおかけしました」そして、綾香と同じく深々と下げられ、焦る。
「あっ……まってくれ、助けられたのは俺だ。その……ほら、仕事だから」
 あの時の献身を思い出す……ダメだっ、我慢できない。
「……助かったんだな……よかった」
「……はい」
「は、恥ずかしいな……でも、本当に本当に……よかった」
 吹き出した感情は止めようがなかった。涙が耳に流れ込む。いまは一つだけ伝えたい。
「いつか、また一緒に旅がしたい」
「……はい」
 軋む音……軽く押し当てられ、すぐに離れる唇。ほのかな暖かみの残滓……またなっ、<<セリオ>>