葉鍵板最萌トーナメントブロック準決勝Round124!!
白い妖精 (2/3)
カチャ。
「わっ!」
「う、うぐぅ!! うぐぅ〜!!」
開けた途端にいきなおどかされて尻餅をつくボク……
「はっは、どうだ、驚いたかあゆ?」
「う……うう……うぐぅ〜いじわる……」
うう……たまに祐一君の方が早く起きてるとこうやっておどかされることがある……毎回その度に驚いてるボクもボクだけど……うぐぅ……
「ほら、立てるかあゆ?」
「う、うん……」
祐一君の差し出した手に掴まって立つボク。
「しかし、毎度毎度面白いように引っかかるな〜、あゆは」
「うぐぅ! そんな事してる暇あったら、名雪さん起こしてきてよ!!」
「ああ、悪い悪い。じゃあ、あゆは先に下行ってろ」
そう言って祐一君は名雪さんの部屋に向かった。ボクも下に行って顔を洗わないと……
「おはよう、あゆちゃん」
「あっ、秋子さん、おはようございま〜す」
もうすっかりお馴染みになった朝の風景。最初はこんな何でもないことでも緊張してたっけ。
「あゆちゃん、朝ご飯今日はパンとトーストでいい?」
「うんっ!」
いつも通り、祐一君と名雪さんが来るまでにお皿を並べて……あ、来た来た。
「うにゅ……おふぁよ〜ございま〜ふぁ〜〜」
わ、今日の名雪さんいつもの5割増くらいに凄いよ。
「いや〜、今日の名雪は苦労したぞ……全っ然目が覚めなくて……」
それでも起こす祐一君は凄いよね……そんな事を思いながらいつもの楽しい食卓風景が過ぎていく……
「名雪、出られそうか?」
「わたし、まだたべれるよ〜」
「駄目だ、こりゃ。じゃあ秋子さん、とりあえず俺は学校に行ってきます」
「うん、ボクも行くよっ!」
ボクはまだ祐一君の高校に入ってない……一生懸命勉強してるけど、編入はもうちょっと先……
だから、ボクは毎日祐一君と一緒に学校まで行く事にしてるんだ……
「あゆちゃん、祐一さん、いってらっしゃい」
「うん、いってきま〜す」
「行ってきます」
「いってらっしゃ〜い……」
家を出るのもいつも通り……でも、今日はちょっとだけ違う。
「いや〜、派手に積もったな」
「うん、そうだねっ!」
白くなった道路に足跡を踏みしめながら……ボクは大好きな雪道を、大好きな祐一君と一緒に歩いている……
「ねえ、祐一君……祐一君は……雪は好き?」
「好き……といいたいところだが、雪かきする時は嫌いだな」
「あはは……祐一君らしいね」
祐一君の言葉に苦笑しながら……ボクは空を見上げる。
「お、降ってきたな……前はあんなに嫌いだったはずなのに……今は素直に、綺麗だっていえるな……」
「うん……」
こうやって空から降ってくる雪は、すごく綺麗で……まるで妖精さんていう言葉が凄く似合っていて……つらい時も楽しい時も悲しい時も……いつもボク達を見守ってくれていたこの妖精さんに……ボクは……
「ね、祐一君、今幸せ?」
「な、なんだ急に……」
「いいからいいから!」
「ああ、幸せだぞ……そういうあゆはどうなんだ?」
感謝を込めて……空を見上げながら言った。
<<うん! すごく幸せだよっ!!>>
白い妖精 完!