葉鍵板最萌トーナメントブロック準決勝Round124!!

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第二章◇あゆ、猫になる(1/4)◇
う…ん…。
目を開けた。
うぐぅ、なんか、また低い視線の持ち主になってる…。
って、あれれ?
風景が流れるのが速い。
もしかして、ボク、走ってる?

???「まてぇ!」
『るっぱぁ〜ん』とでも続くんじゃないかとハラハラさせる声。
この声は…たい焼き屋のおじさん!?
そして、ボクは…たい焼きをくわえている猫だった。
おじさん、ボクを追ってるのかな…そうとしか考えられないけど。
おやじ「きえいっ!」
わっ、サンダルが飛んできたっ。
ドラ猫を裸足で追い掛けないなんて、反則だよっ。
うぐぅ、猫になってまであのおじさんから狙われるなんて…。

ドン!
???「わっ」
「みゃうっ!」
何かにぶつかってボクは目を回した。
「にゃ…にゃ〜〜〜…」
???「あっ…ねこー」
うぐぅ、どこかで聞いたことのある声…?
第二章◇あゆ、猫になる(2/4)◇
名雪さんだっ。
名雪「ねこー」
「ふぎゃっ!?」
思いっきり抱き締められた。
名雪「ねこーねこー」
これでもかと言わんばかりの圧力でボクに顔を擦り付けてくる。
名雪「可愛いねこさんだよー」
「にゃっ! にゃっ!!」
…ボクの叫びは届かなかった。
名雪「…くちゅん! ねこー」
うぐぅっ! …くしゃみ直撃〜。
名雪「くちゅん! クチュン! うー、ねこーねこー」
うぐぅ、今度は涙と、もっと粘り気のある液体がっ!
「にゃ〜にゃ〜!」
必死でもがくけど…。
名雪「くちゅん! ぐすぐす、ねこさんかわいいよー」
もはやボクの体は、この人の涙と鼻水と唾まみれだった。

???「あーっ! そんなに強く猫さんを抱き締めちゃ駄目だよっ!」
第二章◇あゆ、猫になる(3/4)◇
うぐ…?
別な女の人の声が…助け舟かな?
その人の顔を見た。
…なぜか『長森』という名前が記憶のらせんから浮かび上がってきた…。
名雪「ねこーねこー」
新しくやってきた女の人の手もボクを掴む。
長森「わっ! どうしてこの猫、ベトベトなのっ…?」
驚いて、一旦ボクから手を離すけど…再び参戦してくる。
長森「ちょっと離しなさいよーっ! 猫さんが汚くなっちゃってるでしょうっ!?」
ボクを、この涙まみれの人から引き剥がそうとする。
うぐぅ、痛いよ〜。
名雪「いやっ、何するのっ!?」
…ちなみに、名雪さんがこんなに一生懸命になってるのを見たことがなかった。
長森「猫さんを助けてあげるんだもん!」
名雪「ねこさんもわたしと一緒にいたい、って言ってるよっ!」
長森「いたい、じゃなくて『痛い』って言ってるんだよっ! かわいそうな猫さん…」
名雪「かわいいねこさん、だよっ!」
…人の(猫の?)体を使っての綱引き状態…。
名雪「ねこー」
長森「ふーっ!」
「ぎにゃーっ!」
うぐぅ、もう限界だよっ…!