葉鍵板最萌トーナメントブロック準決勝Round124!!
◆予告編◆
これから全七章のあゆ支援SSを随時投下していきます…。
一気に載せるわけではなく、丸一日かけてゆっくりと。
が、全部を本スレに載せるとは限らないし、
どの程度のインターバルで載せるかも未定。
…まあ、要するに本スレの流れを見てということです。
まだ第二章とか書き上がってないのはヒミツです…。
あゆ、ガンバレー。
あゆ支援連続SS◆月宮あゆの動物七変化◆
◇プロローグ◇
夢。
夢の中にいる。
いつもと同じ。
ずっとずっと…。
同じ風景の繰り返し。
ゆっくりと微睡みに揺られながら、
たったひとつのことだけを願う。
目を閉じて、次に開いたとき、別の空が見えますように、と。
第一章◇あゆ、犬になる(1/3)◇
…目を開いた。
ボクの願いがかなった…のかな?
確かにいつもと違う風景が、そこには広がっていた。
でも、なんだかすっごく小さなものになった気分が…。
どうしたらいいのかも分からず、とてとてと歩いていると一本の電柱が目に入った。
うぐぅっ、何だか体の奥底から…。
じわじわと込み上げてくるこの感覚…。
下半身になんだかムズ痒いものを感じるよ…。
これは一体…?
え? え? 電柱に近づいてボクは何を…。
ハッ。
もしかしてっ!?
だ、ダメだよっ! 仮にもKanonのメインヒロインがこんな公衆の面前でっ!
しかも、支援SSの第一話の冒頭だよっ!
でもでもっ!
本能が、しきりに「ここを己のナワバリと主張せよ」って訴えかけてくるよっ!
うぐぅ、ボク、ボク…。
舞「…そんなところでおしっこしちゃ駄目」
わっ、何だかすっごく大きな人が話し掛けてきた…。
怖くて、新しいナワバリを主張したいっていう気持ちが失せた。
…うぐぅ、恥をかかなくて済んだよ…。
「わんわん!」
あれ、なにこの声…?
舞「…犬さん」
ふえ…犬? …ボクは自分の手を見た。
うぐぅ、毛並ふさふさで肉球つき?
すっごくお約束で無難な、第一章にふさわしい動物にボクは変わっていた。
同門のぶつかり合いはイタイが
彼女を外すことは出来んだろう。
<<秋子さん>>一票だ!
◇あゆ、犬になる(2/3)◇
舞「…おなかすいてるの」
ずい、と彼女は右手こぶしを差し出してきた。
「…?」
手を食べろ、ってことなのかな…?
でもそんなもの、食べたくないよ…。
舞「………」
少し何かを考えた後、
ずしん。
「!?」
目の前に、重箱が置かれた。
彼女はおもむろに、そのふたを開け、地面に置く。
舞「………」
そして無言のまま、重箱の中からいろいろな食べ物を取り分け、ふたの上に置く。
ミートボール、鶏の唐揚げ、魚のフライ、ゆでブロッコリー、ミニトマト…。
舞「犬さんにはハンバーグは毒…」
どうやら、ハンバーグの主役であるたまねぎのことを言っているようだ。
舞「…これがおすすめ」
そう言って最後に取り分けてくれたのは、真っ赤なタコさんウインナーだった。
グー…。
お腹が鳴った。
これだけおいしそうなものを目の前に並べられたら、お腹だって空く…。
舞「もぐもぐ…」
彼女はしゃがんだまま、重箱に箸をつけていた。
舞「…お食べ」
ふたを箸で差す。
「わんっ」
ボクはふたの上に並べられたおかずにかぶりついた。
はぐはぐ…。
舞「もぐもぐ…」
◇あゆ、犬になる(3/3)◇
佐祐理「あれーっ、舞? なんでそんなところでお弁当食べてるの?」
別な女の人が近寄ってきた。
舞「犬さんがお腹空かせてたから…」
うぐぅ、勝手に食べ物を分けてきたのはそっちだと思うけど…。
佐祐理「あははーっ、犬さん、また山から下りてきちゃったんだ?」
舞「(こくり…)」
うぐぅ、ボク山出身じゃない…。
舞「佐祐理も食べる…?」
佐祐理「え? でも祐一さんはどうするの?」
えっ、この人たち、祐一くんの知り合いなのかな…?
舞「…しまった」
佐祐理「あ、いいよいいよ。祐一さんには佐祐理から説明しておくから」
舞「…待って」
舞、と呼ばれていた女の人が立ち上がる。
舞「私も行く…」
佐祐理「じゃあお弁当、片付けるね」
もう一度、舞さんがボクの前にしゃがみ込む。
ごしごし…。
頭を撫でられた。
舞「今度は人を襲っちゃ駄目」
うぐぅ、襲ってなんかないもんっ。
重箱を包み直した佐祐理、と呼ばれていた女の人もボクの前にしゃがんだ。
佐祐理「犬さん、佐祐理たちはこのへんで失礼しますね。それではーっ」
舞「…バイバイ」
…そして二人は去っていった。
(完)