葉鍵板最萌トーナメントブロック準決勝Round120!!
「事実? 一体どんな事実かしら?」
姫川さんの余裕の表情から、それが悪いことだと予感しながらも、私は訊ねるしか無かった。
「このカタログのサークルカットを見て、綾香さんの人気がどのようなものかが分かりました。
綾香さんの描かれたカットは全部で15。それに対してセリオさんのは全部で35ですね」
「ぐはっ!」
「つまり綾香さんはPS版でシナリオを追加されたにも拘わらず、
シナリオの無いセリオさんに負けているということです」
……くっ! 悔しいけれど言い返す言葉が無い。状況は不利だわ。
「所詮、PC版からの真のヒロインである私に敵う相手ではありませんね。
さて、屈辱を味わっていただいたところで、そろそろ楽にしてあげましょうか」
姫川さんがそう言い終えると、何か耳鳴りのような音が聞こえてきた。
同時に私の体の周りに不思議な力が集まってくるのを感じる。
「綾香さんっ! 逃げてくださいっ!」
葵が物陰から私に向かって叫んでいる。
もしかして、これが超能力!? でも、一体どう対処すれば良いのか…。
「あれ、姫川さんと来栖川さん。こんなところで何してるの?」
「あっ! 俺、雑誌で見たことある! うひょー、本物の来栖川綾香だ!」
偶然通り掛かったと思われる、二人の男子生徒が声を掛けてきた。
「さ、佐藤さんっ!? ……ああっ!!」
二人の男子生徒のうちの一方(確か浩之の友達の佐藤君)を見て、姫川さんは急に取り乱した。
「こ、こんな時に力が暴走するなんて……、ああっ!!」
姫川さんが頭を抱えて叫ぶや否や、佐藤君の隣にいた男子生徒がもの凄い勢いで宙に飛んだ。
「あっ! 垣本ー!!」
佐藤君が叫ぶ中、垣本という男子生徒は遥か空の彼方へと消えていった。
──続く──