葉鍵板最萌トーナメントブロック準決勝Round114!!

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802名無しさんだよもん
『涙雨』その10

「そうなんだ・・・」
少女がふと、呟くように言った。
「えいえんなんて、いらないんだね」
私は頷く。
待ち続けることができるのだから。
だから、私はあの世界にいられる。
「・・・ありがとう」
少女は、そう言って。
ほんの・・・ほんのかすかに、笑った。
そして。
「えいえんは・・・おわるかもしれないね・・・」
その言葉を残して。

・・・世界が、戻ってくる。
私はまた、あの空き地に立っていた。
長森さんの姿はもうない。
時間は・・・もう急がないと間に合わない。
と、そこで私は気づいた。
雨がやんでいることに。
「・・・」
私は一度、日の差し始めた空を仰いで。
そして・・・傘を閉じて、歩き始めた。

空き地の中。
泥の中に埋もれるように。
カメレオンのおもちゃが。
いつまでも・・・そこにあった。
              『涙雨』了