葉鍵板最萌トーナメントブロック準決勝Round114!!
『涙雨』その9
少女が、驚いたような顔をした。
私は続ける。
「私は・・・浩平を信じてます。
絶対に帰ってくると・・・約束を守ってくれると・・・」
それは、自分に言い聞かせるように。
弱い自分に、言い聞かせるように。
「私は・・・浩平と生きていたいんです。
同じ世界で、時間を刻める場所で・・・
大切な人が居て、穏やかな日々があって。
退屈で・・・でも、とても幸せな日々。
そんな中で・・・生きていたいんです・・・」
そして、もう一度少女を見据えて。
「だから、私は待ちます。
浩平が帰ってくるのを。
また、浩平とあの街で時を刻める日を」
言い終えて、息をつく。
それは、確かな決意。
私自身の。
「・・・」
少女は、無言のまま、私を見つめ返して。