葉鍵板最萌トーナメントブロック準決勝Round114!!
そして、二次小説支援なんてしてみたり。
『かすかなおも影』
「あっかね〜!」
目印の長いお下げを見つけて、
あたしは後ろから抱きつく。
「し、詩子?」
さすがの茜もびっくりみたいで、驚いた顔で振り返る。
「茜、今日はもう終わりでしょ? 一緒にかえろ」
「まだ掃除が残っています」
茜はそう言ったまま教室へと戻ろうとする。
終始無表情、いつからこんなになってしまったんだろう?
あたしの知っている茜はもう少し表情がある子だったのに。
「そんなの折原君と交代しちゃえばいいじゃない」
「そんなこと、できません」
「山葉堂の新製品、売り切れちゃうよ」
「新製品…ですか?」
茜の表情が一瞬変わる。
少し嬉しそうな、何かを期待するような、
昔のおも影、素直な表情。
でも、それは一瞬のことであって、またすぐに戻ってしまう。
そんな昔のおも影が見たくて、何度も言葉を掛ける。
どうしたら元に戻るのだろう。
いつになったら戻るのだろう。
えいえんとも思える昔のおも影は、
あたしの手では戻せないかもしれない。
でも、あたしは続ける。
茜のおも影を取り戻すために。
えいえんという、長い時間がかかっても…