最萌トーナメント支援用SSスレッド

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701The blank of three years(5/10):02/02/25 18:42 ID:0HjGiZXi
 春の日は風。
 雪解けの街を二人で歩く。
「また、同じクラスになれたらいいね」 
「……うん」
 風は薄紅色の花びらを運んでいる。

 夏の日は太陽。
 夏服に衣替えして思いの限り駆けていく。
「こう見えても佐祐理は運動神経いいんだよ」 
「……まだ、甘い」
「わ、舞、早すぎるよー」
 陽の光が二人を照らしてくれる。

 秋の日は落ち葉。
 ものみの丘の紅葉は見るものすべてに淡い感動を与えてくれる。 
「あ、狐さんがいるよ」
「……かわいい」
「あははーっ、ほら見て、ここに鈴が付いてるよ」
 舞の鼻先に散り行く落ち葉……。

 冬の日は雪。
 凍れる季節の到来を予感させる風。そして雲。 
「うわ、あの人の頭すごいねー」
「……あれは、2時間は待たされてる雪の量だと思う」
「早く待ち人が来るといいね、舞」
「…………」
「……どうしたの、舞?」
「何でもない……」
 雪は今も降り積もっている……。
702The blank of three years(6/10):02/02/25 18:43 ID:0HjGiZXi
 何気ない時を過ごすことがこんなにも心地いいなんて知らなかった。
 少しは近づけただろうか?
 今の佐祐理は、舞にとって知人くらいにはなれただろうか?
 いつか思い出を振り返った時に、私のことを思い出してくれるだろうか?
 ――刻み込まれているだろうか?
 私はとても舞のことを大切に思っている。
 初めに芽生えた感情は、今はどこにもなかった。
幸せにしたい≠ナはなく幸せになろうね≠ニ想いは心ではなく語り掛けになっている。
 一弥が巡り合わせてくれたなんていう想いだって微塵もない。
 私にとって舞はずっと舞だったから。
佐祐理≠ヘどんな風に思っているのだろう?
 今でも一弥≠フことを引き摺って笑えないのだろうか?
 私は空の上から佐祐理を見下ろした。
 ――笑っていた。
 いつしか思い描いていた光景がそこ≠ノある。
『まだ知らない悲しみがある』と言って泣くことはもうしない。
 この先にしかないものが見えたから。
 もうすぐ自分のために笑える日が来ると信じられたから。 
 輝く季節だ。
 色褪せることのない光の中を舞う。
 いつか言えるかな?
 もしも、この道の先で、男の人に敬語を使わないわたし≠ェ居るのなら……。
 きっと、舞にとっての大切な人で……。
 そして、言葉を……。
 心をこめて大切な舞のために贈りたい――
「幸せになってね」と。
 その時になってようやっと私は知るのだろう。
 失恋したことに。
 それが、新しいスタートだということに……。
703The blank of three years(7/10):02/02/25 18:44 ID:0HjGiZXi
「舞、ごめんーっ」
 昼休みの時だった。
「って、あれ?」
 私は職員室に呼び出されていたので舞を待たせてしまっていた。 
 でも、そこには見知らない人。
 目を丸くしてしまう。
「えっと……お友達ですか、舞の?」
 恐る恐る訊いてしまう。
 ちょっとした予感。
「彼氏だ。全校公認のな」
「ふぇー……」
 ――的中だった。
 少しだか寂しいけど大丈夫だと思うから。
 祝福したい。
「ほら、否定しないから信じているじゃないか」
 ちょっとした冗談?
 ううん、私には分かった。
 ――うん、この人だ。
「じゃあ、一緒にご飯でも食べましょうか」
「はあ?」
 どうしてそうなるんだという目で私は見られる。
 でも、きっとそうだという瞳で見てしまう。
「舞とお話してたんですよね?」
 だから大丈夫。 
 私はこの人を好きになれる。
 佐祐理もそう。
「俺は相沢祐一って言うんだ」
 相沢祐一さん。
 ……祐一、祐一さん。
 ――うん、いいかも……。
704The blank of three years(8/10):02/02/25 18:44 ID:0HjGiZXi
 そして、春……。
 いつだって木漏れ日の中を花びらが舞っている。
 息を切らせて祐一さんが駆けて来る。
 そして、他愛もない冗談。
「はは、本日の主役を待たせるわけには行かないだろう?」
「佐祐理が主役ですか?」
 少しだけ期待を込めて私は問い掛ける。 
「さあ、行こうか。お姫様」
「はい」
 祐一さんの手を取ろうとした時、
 ――ぽかっ。
「あははーっ、残念です。本当のお姫様の登場ですね。これで私は脇役です」
 桜が舞う。
 風も舞う。
 花びらが舞い散る。
「私だけ置いていこうとした」
「お、妬いてるのかお前」
 そうではなくて、本当は佐祐理の方が妬いていたのだけど……。
 二人を見ているとどうでも良くなってしまうから。
「祐一さんが舞を置いていくわけないよ」
 優しい時間だった。
 途切れることない瞬間の連続だった。
「佐祐理だって舞の祐一さんは取らないし……いたっ」
 舞のちょっぷが飛んでくる。
「お前なー、そんな反応したら脈ありありなのがバレバレだぞ?」
 そして次は祐一さん。左に右にで舞は大忙しだ。
「さて……行くか」
 いい加減、頃合だろうと祐一さんが背を向ける。
 その隙を見て、私は言う。
 抱き付くように、後ろから舞の耳元に囁く。
705The blank of three years(9/10):02/02/25 18:45 ID:0HjGiZXi
 ――今なら分かる。
 舞という優しい女性のことが。 
 遠い過去、
「変わってますね、川澄さんは」 
「……?」
 二人が他人同士だった日。
 私は自分がこの世で必要のない人間だと感じていた。
この人≠フためになれるなら。 
 空白だった想い。
 でも、今はこんなにも自分でいられたから。
 不器用で良かったのだ。
 厳しくすることの優しくすることの必然性なんて実はない。
 こんなにも当たり前のこと――
 川澄舞、相沢祐一、この二人に恥じないように生きてみたい。
 そして、一弥にも……。
 だから、私は言うのだ。
「幸せになってね、舞」
 そこに、またちょっぷ。 
「佐祐理も一緒……」 
 ちょっと怒ったように口を尖らせながら舞に言われる。
 私には立つ瀬がなくて笑うしかなかった。
 こんなにも幸せでいいのだろうか?
 ふと、私は佐祐理に問い掛ける。
「あははーっ」
 どうやら、いいらしい。
706The blank of three years(10/10):02/02/25 18:46 ID:0HjGiZXi
 もしも、この道の先で……夢は終わりだと現実に向かって歩き出すことが出来る少女がいるのなら。
 過去の傷を乗り越えたものの強さだと思う。
 自分がどうしたいのか。どうしたら大切な人に誇れる生き方が出来るのか。
 そうやって初めて今≠ノ目を向けることが出来るのなら。
 私はいつしか言えるかもしれない。   
「祐一くん」
 振り返れば思い出だ。
 辛いこと、悲しいこと、嬉しいこと、楽しいこと、どんなことも越えて行ける。
 舞の悩み事だって今なら言われなくても分かる。
 舞の表情を読み取れるようになったのは、私にとって誇らしいことだ。
 夜の校舎。舞踏会。何も出来なかった自分。
 私には出来なくて祐一さんなら出来たこと――
 そして、私はその反対を出来るように、これからも努力していきたい。
 祐一さんのことが好きで……。
 舞のことが大好きで……。
 いつか自分も二人のことを思っているくらい佐祐理のことを好きになってあげたい。
 もう失うことの怖さに何かを諦めたりはしないから。
「祐一さん、舞――」
 二人とも私を見てくれる。
「行きましょう!」
 二人はたおやかに微笑んでくれている。
 だから――
 行こう。この旅路に終わりはないのだから――

       『さらなる路』
       『さらなる轍』

 『数多の悔恨を踏みしめて』

              <FIN>
707名無しさんで逝こう:02/02/25 18:50 ID:0HjGiZXi
 以上です。お目汚ししました。
 でも、今回はちょっとだけ自己主張させてください。

>輝く季節へ
 たくさんのレスありがとうございました。
 未熟なれど少しでも物語として人の心の琴線に触れられるのなら誇らしいことだと思えます。

 ――敬具。
708あー:02/02/25 20:42 ID:eYw4sfaL
>>707
素晴らしいSSです。即興とは思えん。
俺も佐祐理さんSS載せようと思ったけど、あまりのクオリティの違いに鬱。
しょうがないのでエロに走ります(ぉ
709無題(1/6):02/02/25 20:55 ID:DSbEFBQH
「佐祐理さん。俺、君のことが好きなんだ」
「……はい。佐祐理も祐一さんのことが大好きですよ☆」
彼女は頬を真っ赤に染めて微笑んだ。それは天使の笑みに相応しい。
「ありがとう」
その愛らしい唇に口付ける。
「……ん」
佐祐理さんは一瞬目を見開き、ゆっくりと俺を受け入れた。
「……ぷはぁ……は、恥ずかしいですね……」
とろんとした表情で俺を見つめる彼女を見て、俺は理性を抑えきれない。
「……ん…あん……うん……はむ……ふう……」
舌を入れるディープキス。
「ふえぇぇ……こんなキスもあるんですね……もっと、いいですか?」
今度は佐祐理さんが俺を求める。
「……はあ……はぁむ……んん……んあ……うん……はむ…ああん」
荒く息を吐きながら俺たちはそっと離れる。
「佐祐理、もう我慢できないんです。祐一さんのこと好きだから。今日はイケな
い子になっちゃいます。あなたの奴隷のHな子に」
710無題(2/6):02/02/25 20:56 ID:DSbEFBQH
「じゃあ、早速だけどいいかな?」
俺が怒張したものを取り出すと、興味津々にゆっくりと手を伸ばす。彼女はひ
ざまづいて顔を近づける。指の柔らかくスベスベした感触が限りなく心地良い。
「お口も動かした方がいいんですよね?……んん…んぐ……じゅる……くちゅ。
ん、うん……ん、ん、ん、んん。じゅる……はあ…はあ…気持ちいいですか? 祐
一さんの好きなようにしますから何でも言ってくださいね」
そう言って佐祐理さんは奉仕を続ける。3分の2ほど飲み込んだ所でゆっくりと
口を戻し、舌を絡める。それを繰り返し、口を前後に動かす。その動きを見てい
るだけで興奮が高まっていく。
「…ん……あむ……んぐっ。あふ……う……あむ。じゅるっ、じゅっ、ん…ん
ぐ、んんっ。じゅぽっ。ふぅ…もっと激しいほうがいいですか?」
「いや十分すぎるよ。気持ちよすぎてどうにかなっちゃいそうだ」
「本当ですか? 佐祐理、嬉しいです……ちゅっ、ちゅう……ぷちゅっ」
俺のモノに優しくキスしながら、上目遣いで見上げてくる。俺と目が合うと、い
つもの顔で笑いかけてくる。
「祐一さん、大好きですよ……ちゅう、くちゅ、くちゅっ……あむ…あぐっ……
じゅるっ……あん…つばが溢れちゃいます」
「そのほうがいやらしくて素敵だよ」
「あはは、そうですか? じゃあ遠慮なく……じゅ…じゅるっ…ん。チュッ。……
チュッ、チュッ。……ん…ちゅぅ……チュッ、ちゅぅぅぅ」
佐祐理さんが、亀頭の先端の小さな割れ目を丹念になめたり吸ったりを繰り返す。
その刺激で俺は絶頂が近くなっていく。
「もう、イキそうだよ。最後は胸でやってもらってもいいかな?」
「はい、そんなに大きくないですけど……」
711無題(3/6):02/02/25 20:58 ID:DSbEFBQH
彼女はその綺麗な胸をさらけ出した。大きさも申し分ない。俺が横たわったその
胸に跨ると、佐祐理さんは胸と口を動かし始めた。
「なんか不思議な感じですね……んん、んむ……はあ……ああん。ちゅうぅ……
ちゅっ、ちゅっ…ふう……はあん……あむ…うん……」
感じ始めている彼女を見て、俺はその秘所へと刺激を加える。それに抵抗して、
彼女も俺のものを大きく頬張る。
「ひあああっ! ダメですそんなところ、何も出来なくなっちゃいます!……はむ
…んむっ……ん、んん、んむっ……ぷはっ……ふあっ、んむう…ん、ん、んー!」
彼女の口の動きがさらに大きくなっていく。
「……んあっ、ん、ん……ぷぁ…あむっ……ちゅぅぅぅ…ちゅう…ぷはっ。ん、
んむぅ……うん、ん……はあっ。ひああん!……んんー、ん、んんんんんー!」
俺と彼女の絶頂はほぼ同時だった。
「も、もうダメです、佐祐理のほうがイッちゃいます! あ、ああん! ひあっ、
はあん…あっ、あっ、んんっ。変になっちゃいます…ひいいっ、ああああー!」
大きく開いた彼女の口と顔に俺の体液がほとばしる。
「はあ……はあ……嬉しい。祐一さんと一緒に気持ちよくなれたんですね……」
712無題(4/6):02/02/25 20:59 ID:DSbEFBQH
「でも、まだこれからだよ」
俺は佐祐理さんの股間に顔をうずめると、指と舌を使って、丁寧に恥毛をかきわけていく。
「私まだ……あ…ああ……あん。ああぁ」
佐祐理さんは小刻みに体をふるわせ、熱い息をもらす。
「はあ……祐一さん、そんな……あっ、ああっ!?そこはダメです…んああっ!」
クリトリスを唇でくわえて軽く吸いたてると、彼女はガクガクと体を揺らし、激
しく喘ぎまくる。
「ダ、ダメです、そこは……あんっ!そんなにしちゃ……あ、あひぃっ!」
「気持ちいい?」
「いい、いい……気持ちいい…気持ちいいです!ひああっ、気持ちいいよお」
俺の頭をきつく押さえ付けるようにして、佐祐理さんは何度も首を振りながら
身悶え、よがりまくる。
「祐一さん……もうダメ……佐祐理、なんだか……ああっ。体が浮いちゃいそ
う……ああっ。あああああっ、ああっ!」
左右に開ききった両足をピンと伸ばし、佐祐理さんは大きく叫んで硬直した。
彼女は目を閉じ、荒い息をつきながら、痙攣するように火照った体をヒクヒク
とふるわせている。
「入れるよ」
「きて……来てください、祐一さん……」
俺はゆっくりと腰を使い、佐祐理さんの中へと突き進んでいった。
「あ……ああぁぁぁ……祐一さんのが入ってきちゃいます!」
「痛くない?」
「少し……でも、その…あ…佐祐理…ああ…なんだか、すごく……気持ちいい
んです……あん……ああ…ん…あん。くっ…あ、ああ…はあ…くぅん」
713無題(5/6):02/02/25 21:01 ID:DSbEFBQH
佐祐理さんは自ら腰を使い、快楽を貪る。
「ああ……佐祐理、わかんないです……こんな……体が勝手に動いて……あん…
…ああっ!くぅ……ん…あ、ああ…ん……ひぐっ…ああっ、ああああん!」
耐え切れず叫んだあと、再び股間を擦りつけるように腰を激しく動かしだす。
「あ……ああ、ああん。祐一さん…こんな…Hな子は嫌いですか?…ああっ」
「凄く素敵だよ。もっと気持ちよくなりなよ」
「いい…いいです…すごくいいよお! 佐祐理、もう…おかしくなっちゃいます!」
「ほら、もっと腰を振っておかしくなりなよ」
「ああぁん。祐一さん、ああ……佐祐理飛んじゃいます……ひぐっ、ひぐうっ!」
「まだだよ。俺がイクまでずっと気持ちよくなってなきゃ」
「ダメ……佐祐理、もうイッちゃいます!……あん…ああん、ああああん!」
俺は体を振るわせる佐祐理さんを抱き寄せ、さらに強いピッチで突き上げる。
「ああ!……祐一さん……佐祐理、イってるのに……こんなイきながら……ああん!」
彼女の快感はどんどん膨れ上がり、ひたすらそれだけを追い、むさぼり続ける。
「あ、ああん……あああっ!あ、あ、あああぁ、ああああぁぁぁぁっ!」
普段はおとなしくて清楚な佐祐理さんが必死に俺の首にしがみつきながら、信じ
られないくらいに激しい喘ぎ声をあげ、俺のモノによって何度も昇りつめている。
「はあ、はあ、はあぁぁっ。……また、イっちゃう!……すごいの……こんな……
こんなの……んきゅっ…ひいっ、ひいいっ…くっ、くううぅ……ああぁん!」
それまで以上の感覚が彼女を押し上げ、ひたすら上へと押し上げていく。
「イク、佐祐理、イッちゃうよお! イクっ、いいっ…ヘンになっちゃいます!
ああっ、あああっ…ひいいっ!……っ、あっ、あっ、ああああっ!」
彼女は強烈な絶頂感に達し、身をヒクヒクと激しく痙攣させた。
714無題(6/6):02/02/25 21:02 ID:DSbEFBQH
「じゃあ、次は違う所を刺激してあげるよ」
俺は佐祐理さんを逆立ちにさせ、X字にまたがった。
「そんな、恥ずかしいです……ああああっ!」
「痛くない?」
「ああ……はあ、はあ……大丈夫です……またおかしくなっちゃいそうです……」
「おかしくなっちゃえよ」
「ひいっ!…ああっ…あたってる! 祐一さんのが佐祐理の中でえッーー!!」
佐祐理さんが髪を振り乱してせつなそうに喘ぐ中で、俺はさらに激しさを増す。
「横に、横にあたるんです! ああん、あひいっ!……気持ちい……い! 佐祐理、
感じちゃう! 感じちゃいます!」
「はあ、はあ、いいかい、佐祐理さん?」
「いいです。あっ、あっ、あっ! すごい、佐祐理、佐祐理、こんなに感じるなん
てぇ―――!」
「佐祐理さんてHな子なんだね」
「ああ、ああん、いいっ、イッちゃうよお。イク、イク、またイっちゃいます! 出してください、中に!」
「ああ、もう少しだよ」
「あっ、あっ、あっ、気持ちひひ……気持ちいいよお! 佐祐理壊れちゃいます…
…ああ、そんな! ひいいっ、ひぐっ! ああん、ああっ、あああああぁぁぁ!」
佐祐理さんは再び股間と体全体を激しく収縮させ、天に昇る天使のような姿を見せて失神した。
715あー:02/02/25 21:04 ID:DSbEFBQH
人間、欲望に正直に生きなきゃいかん。
……なんか荒らしっぽいか?(脱兎)
716名無しさんだよもん:02/02/25 21:55 ID:Tsz10civ
佐祐理陣営のSSイタ過ぎ・・・
717なにがしだよもん ◆ie2wgyeo :02/02/26 03:53 ID:InMo5sDh
本スレで要請があったので、2/18に掲載された『攻め綾香、受け好恵』4レス分を
投下します。
718攻め綾香、受け好恵1/4(再掲):02/02/26 03:53 ID:InMo5sDh
「ねえ好恵。私のことどう思ってるの?」
「そ、それはその…」
 口ごもった好恵の顔は真っ赤だ。
「あは。黙ってると、身体に直接聞いちゃうわよ」
「う、うわっ」
 飛びかった綾香はレスリングと柔道のテクニックで好恵を押さえ込む。
「や、ちょ、ちょっと綾香」
「ほら。ここまで来て抵抗しないの」
空手家である好恵は寝技には素人だ。綾香はたやすく組み伏せると、好恵の下半身を覆う最後の薄布をめくり上げた。そこには見違いようもない、男の性器がたくましく自己主張している。包皮は半ば剥け、敏感な粘膜組織が露出している。その先端が濡れて光る。
「ふふ。もうこんなに反り返ってるわよ?ずーっとヘンなこと考えてたのね」
「や、駄目…」
「好恵にこんなものが生えてるなんてね。なんていやらしいのかしら。胸はちゃんとあって、しっかり女の子なのにね」
 綾香は人差し指と親指で輪を作り、好恵の肉茎にからめる。そのままキュッと雁首を締めつけ、他の指もそえる。弱点を握られた好恵は身体の力が抜けてしまった。
「ふあっ、綾香っ!」
「好恵。可愛いわ。それに固い…。血管浮き上がらせちゃって」
 綾香の右手が上下に動き、粘液にまみれたくびれをしごき始めた。指の輪が段差を何度も乗り越える。
「ああっ!駄目、駄目え…」
 白い手が往復するたびに、好恵の赤くはれ上がった亀頭の先端から透明な蜜が溢れ出す。それがゆっくりと流れて綾香の指を濡らし、ニチャニチャという音を立てる。
「うふふ。嫌がってる顔じゃないわね」
 綾香の指技は巧妙で、締め付ける力にリズミカルに強弱をつけてくる。そして根元から先端へ向けて蜜を絞り出すようにしごき上げる。
719攻め綾香、受け好恵2/4(再掲):02/02/26 03:54 ID:InMo5sDh
「はあっ、はあっ…」
 好恵の引き締まった白い腹が荒い息に合わせて上下している。もう抵抗する意思はまったくないようだ。大きく脚を開き、両腕もシーツの上に落ちている。
「気持ちいいんでしょ?恥ずかしがらないで教えて…」
 左手で優しく頭を撫でてやる。
「綾香ぁ、もう、もう…」
「あら。もう限界?イクの?ほうら、白いの出ちゃうの?」
 好恵の切迫した表情に、綾香は妖しく笑みを浮かべ右手のピッチを上げる。
 ニチャニチャニチャ…
 淫らな音に合わせ、好恵の尻が浮き上がる。
「はあっ、綾香、綾香ぁ!」
「あははは。あははははは!」
 綾香は笑いながらとどめとばかりに肉茎を強く責めたて、右手にぎゅっとひねりを加えた。
 いっそう激しくしごくと好恵の身体に痙攣が走る。
「駄目っ、いく、イクうっ!」
 しかし好恵がそう叫んだ瞬間、綾香の手が離れる。最後の刺激をおあずけにされた肉棒が性感のやり場を失ってヒクヒクと震えた。すぐそこまで上がってきた精液が亀頭を内側から熱く責める。
「はい。ストップよ」
「あ、ああっ!どうして…?」
「誰が出していいと言ったの?」
「そ、そんなあ…」
 あとひとこすりというところで寸止めされた好恵は思わずそそり立つ股間に手を伸ばす。
「駄目よ!」
綾香の声が響く。手がビクリと止まる。
「自分でしごいたりしたら二度としてあげないわ。自分の手と私の手、どっちが気持ちいいか知ってるわよね?」
「…ひどい…」
720攻め綾香、受け好恵3/4(再掲):02/02/26 03:54 ID:InMo5sDh
弱々しく抗議の言葉をつぶやくが、綾香に見つめられればそれ以上は言えない。まさに蛇ににらまれた蛙だ。射精への衝動を必死にこらえ、オナニーで果てようという手をなんとか遠ざけた。
「こ、これで…いい?」
背中を反らし、訴えかけるような涙目で綾香を見た。
「まだよ。ちゃんと言いなさい。どうして欲しいのか」
「…」
「嫌ならやめるけど?」
「あ…」
 綾香は好恵のツボを知り尽くしている。
「お願いです…わたしのいやらしい肉棒、いっぱいしごいてください…」
 好恵の口から、仕込まれたとおりのセリフが自然に漏れてしまう。はしたない言葉に反応して、肉棒がピクンとはねる。
 浮いたままの下半身がゆらゆらと揺れた。
「い、イかせてぇ…」
「はは。腰振っちゃって」
 綾香は目を細め、好恵の白い太腿を撫でる。その手がすっと這い上がり、パンパンに張ったままの肉茎へたどりつく。
「よく言えました。ご褒美よ」
 5本の指を絡めると再びしごき始め、好恵を荒々しく追い詰めていく。
 ニチャッ、ニチャッ、ニチャッ!
「やらしい…真っ赤になってるじゃない」
「あ、あ、あ、いく、いく、気持ちいいのが出ちゃうう…」
 やっとイける、綾香のリズムに合わせて好恵の腰も上下する。しかし。
「はーい、ストップ」
 またしても限界寸前で綾香の手が止まる。しかも今度は暴発を防ぐため根元を強く握り締め、精液をせき止めた。
「好恵。まさか本当にイかせてもらえると思ったの?」
721攻め綾香、受け好恵4/4(再掲):02/02/26 03:55 ID:InMo5sDh
「ウソ、いや、嫌あっ!イカせて、イカせてよ!」
必死になる好恵の顔を見て、綾香はニッコリ笑う。
「うん。ウ・ソ。ほうら、思いっきり射精しなさい!」
 許可を与えると同時に締め付けをわずかに緩め、包皮を根元まで完全に剥き立てた。好恵の最も好きな責めだ。肉茎の全てが外気にさらされる。剥いた皮を右手で固定し、そこへ左手で先端の粘液を塗りたくった。更にキュッキュッとひねるように幹をしごきたてる。
 待ちに待った最後の引き金を与えられ、好恵の身体がピンと硬直した。
「ふぁ、ふぁああああ!イクううう!」
 ビュ、ビュッ!
 綾香の手を振りほどきそうな力で肉茎が震え、先端から熱い白濁液がほとばしった。本当に音が聞こえそうな勢いだ。
「あっ、あっ、あっあっ!」
「すご…好恵…」
 思わず息を呑む綾香。それでも最後の一滴を搾り出すまで、責める手は休めない。
 クチュクチュクチュ…
 ビュ、ビュビュ!…
「こんなに溜まってたなんて…言いつけ通り、本当にオナニー我慢してたのね」
手の往復に合わせて怒張がしゃくり上げるたびに、放物線を描いた精液が次々に好恵の腹から胸の谷間にまで降り注ぐ。
「はあっ、熱い、熱いよう…精子、熱いの…濃いミルク、止まらない…」
 いやらしい言葉で自分を高め、精液を少しでも遠くに飛ばそうとするように夢中で腰を突き上げる好恵。
「はあ、綾香、綾香!好き、好きよ…」
涙で潤む目を精一杯開いて、綾香を見た。濃い精液が肉棒と綾香の手の間に流れ込み、潤滑油となって性感を増幅させていく。
「よ、好恵ったら…もう」
 激しく射精しながら告白する好恵に、綾香はたまらず唇を重ねた。

おしまい。
722攻め綾香、受け好恵4/4(再掲):02/02/26 03:56 ID:InMo5sDh
>718-721 『攻め綾香、受け好恵』

…でした。
作者さん、こんなかんじでOKですかね?
723攻め綾香・受け好恵4/4:02/02/26 04:30 ID:e4MtOkC9
>722さん
作者です。ありがとうございます。
改めて読むと、なんかエロすぎてココでは浮いてたりも。恥ず。
どうもお手数をおかけしました。
724詩子さん ◆SHIIko2U :02/02/26 05:06 ID:CHEDacsO
みさきさん支援二次小説、
『月光』 全15レスに収まるくらい。かな?


●序章 仄かに蒼い光の庭で

 ゆっくりと風が流れている。
 広い、中庭全体を。
 1月の夕陽は早く沈み、
 空にはすでに黄色い満月。
 その姿は黄色いのに、
 その光はなぜ蒼いのか。
 とても不思議なその現象。
 でも、その光すら、
 その不思議な現象すら感じられない彼女。
 それなのに、瞳はまっすぐその方向へ。
 まるで見えているかのように。
 その瞳の中は、今の空のように漆黒の闇、
 あるはずの満月の姿は映っていない。
 なにも見えていない。
 なにも見ることができない。
 それなのに、それなのに、
 なぜ、普通にいられるのだろうか。
 どうして、あれほど強く生きていられるのだろうか…


1/15
725詩子さん ◆SHIIko2U :02/02/26 05:07 ID:CHEDacsO
●第1章 14番目の月、風の中

「はいっ、今日の練習はこれまで!」
「おつかれさまでしたー!」
 大きな声で挨拶をして、今日の演劇部の練習は終わりを告げる。
 わたしは部員たちと片づけをしながら、横目でみさきの様子を伺い見る。
 窓際で遠くの深い紺色の空を見上げている。
「みさき、よかったら台本を片付けるの手伝ってくれないかしら?」
「うん、わかったよ、雪ちゃん」
 わたしのお願いに、みさきは笑顔を向けて、机へと向かおうとする。
 少しだけなびく髪、漂う優しい香り。
 でも、わたしは見逃さなかった。
 その、漆黒の瞳が少しだけ揺れていることを。
「みさき?」
 思わずその背中に声をかけてしまうけど、
 みさきは全く気にした風もなく、台本の片づけを続けていた。
 わたしも気のせいかと思いながら、部員たちと片づけを続けていた。

「みさき、おまたせ」
「うん」
 最後に部室の鍵を閉め、その鍵を返すのは部長のわたしの役目。
 部員が全員が帰ってしまったあとになるので、どうしても遅くなってしまう。
 それでも、いつも、みさきはわたしのことを待っていてくれる。
 みさきのそういう優しさが、わたしは好きだ。
 ふたり並んで、すっかり人のいなくなった廊下を歩いてゆく。


2/15
726詩子さん ◆SHIIko2U :02/02/26 05:07 ID:CHEDacsO
 玄関を出ると、少し強めの風がわたしたちの体を包む。
 その風はわたしたちを包み、通り抜けてゆくと、校門へと、遠く、帰ってゆく。
 その風の冷たさに、わたしも、みさきも、少しだけ震えてしまう。
「今日も寒いね、雪ちゃん」
「そうね、まだこんな日が続くのかしらね」
 小さく溜息をついて空を見上げる。
 深い、群青の空、所々に雲が浮かぶ。
 その雲を照らしているのは天頂のあたりに浮かぶ黄色い月。
 満月まで後わずかの、ほとんどまん丸な月だった。
 そのまま視線をおろして、自分の手を広げて眺めてみると、
 月の光に照らされた、蒼白い手がわたしの目の中に入ってきた。
 わたしはただぼぉっと、その手を眺めている。
 吹いてくる風も気にならないくらい、ずっと。
「…雪ちゃん?」
「え? あ、ご、ごめん…」
 心配そうなみさきの声が耳の中に入ってくる。
 わたしは正気に戻ってみさきに返事をする。
「雪ちゃん、ぼぉっとしてたでしょう?」
 少しだけ意地悪そうな顔をしてみさきはあたしに質問をしてくる。
 わたしは小さく笑って、
「みさきじゃあるまいし、ぼぉっとなんてしてないわよ」
 そう、返事をする。


3/15
727詩子さん ◆SHIIko2U :02/02/26 05:07 ID:CHEDacsO
「あっ、雪ちゃん、ひどいよ…」
「ふふっ、本当はね、なんとなく空を見ていたのよ」
「空?」
「そう、そら…」
 わたしとみさき、同時に空へと顔を向ける。
 先ほどと変わらず、早い雲の流れと丸い月。
「ほぅ…」
 わたしは小さく溜息をついてしまう。
 みさきも視線を空へ向けたまま、ただ、静かにたたずんでいた。
「雪ちゃん…」
 空へと視線を投げたまま、みさきの声、さっきより少し小さい声があたしを呼ぶ。
「どうしたの?」
 わたしの声も空へと向かう。
 風の勢いはまだ止まらない。
 その風の中、みさきの言葉が紡がれる。
「今日は満月なの?」
「今日はまだね。明日かな」
「そうなんだ…」
 その言葉を風に紛らせて、みさきは空を見つづけていた。
 わたしは、その何かを含んだみさきの言葉が気にかかり、その横顔をじっと見つめる。
 月の光を映さないその瞳、それは、
 さっき部室で見たときと一緒、少し潤んでかすかに揺れていた。


4/15
728詩子さん ◆SHIIko2U :02/02/26 05:07 ID:CHEDacsO
●第2章 満月、かごの中の鳥
「それでは、今日はこれで終わりにしましょう!」
「おつかれさまでしたー!」
 夜8時、今日も部活が終了の時を迎える。
 小道具を片付けてゆく子、衣装をチェックする子、
 わたしは台本と資料を持って、本棚へと近づいていった。
 本棚の横には、昨日と同じように窓から空を眺めているみさきがいた。
「みさき、そろそろ終わるから待っててね」
「うん…」
 少しだけ、含みを持たせて返事をするみさき。
 わたしは少しだけ首をかしげて話を続ける。
「みさき? なにかあった?」
「え? ううん、べつに」
「…みさき? 嘘つくのはやめなさい」
「大丈夫だって、ほら、雪ちゃんは部長さんなんだから仕事しないとだめだよ」
「ごまかさないのっ!」
 わたしのその声に、部室の中が一瞬ざわめく。
 部員の子がみんな、わたしとみさきの様子を見ている、いぶかしげに。
「ほら、雪ちゃんが仕事しないから、みんな困ってるよ」
 みさきはごまかすようにそれだけを言うと、再び窓から空を見上げる。
 わたしは仕方なく片付けを続けていった。
 部室の中も先ほどの片付けの喧騒が戻っていた。


5/15
729詩子さん ◆SHIIko2U :02/02/26 05:08 ID:CHEDacsO
「みさき、おまたせ」
「うん、おかえりなさい」
 職員室を出て、そこで待つみさきにわたしは声をかける。
 みさきは笑顔でわたしを出迎えてくれる。
 わたしたちふたり、蛍光灯だけに照らされた廊下を歩いてゆく。
 交わした挨拶のあとは、なにも話さずに、静かにただふたりだけで。
 ふたつの足音だけが廊下に響き渡っていた。
「雪ちゃん…」
 やがて、下へと降りる階段へと到着したときの事、
 みさきがわたしの名前を呼ぶ、小さく、そして、弱々しく。
「どうしたの? みさき」
 わたしもつられて小さな声で返事をする。
「屋上、行ってみたいんだけどいいかな?」
「屋上!?」
 思わずわたしは素っ頓狂な声をあげてしまう。
 屋上は、この学校の中でみさきの一番のお気に入りの場所。
 でも、放課後の夕焼けの頃ならまだしも、
 こんな時間ではいくらなんでも危なさすぎる。
 夜、山のほうから吹いてくる風はいきなり強さが変わることもある。
 ひとつ強い風が吹いて柵のそばでバランスを崩したりしたら…
 あまりに恐ろしい考えが頭の中に浮かび、わたしは瞳を閉じる。


6/15
730詩子さん ◆SHIIko2U :02/02/26 05:09 ID:hP0dH/VW
「だめよ、あぶないじゃない。行かせられないわ」
「大丈夫だよ」
「大丈夫じゃないわよ! 突然強い風が吹いたりしたら…」
「雪ちゃん、お願い!」
「…みさき?」
 みさきにしてはいつもより強い口調、
 懇願するような真摯な瞳、
 こんなみさきを見るのは初めてだった。
 なにがみさきをそんなにも駆り立てるのだろうか。
 なんでみさきはそんなに真剣なのだろうか。
 そんなみさきを見てしまったわたしは、
「…わかったわ。でも、お願い、無理はしないで」
 みさきのお願いを許さざるをえない。
「うん、ありがとう」
 笑顔に戻ったみさきはわたしの手を探し当て、きゅっと握ると、
 そのままわたしの手を引っ張り、階段をゆっくりと上ってゆく。
 確実に、一歩一歩、踏みしめて。
 まるでそれは、鳥かごから抜け出そうとする鳥のように、
 空へと還ろうとする天使のように、
 ただ、一心に。
 わたしは、離れまいと、彼女の手を強く握っていた。
 離したら、このままひとり、彼女が飛び立ってしまいそうだったから。
 このままひとり、どこかへ行ってしまいそうだったから。


7/15
731詩子さん ◆SHIIko2U :02/02/26 05:10 ID:hP0dH/VW
●第3章 満月、悲しい希望

「がたんっ」
 大きな音を響かせて、ゆっくりと屋上への扉が開かれてゆく。
 開かれるとともに、月あかり、蒼い光が階段へと差し込んでくる。
 みさきはわたしの手を握ったまま屋上へと踊り出た。

「風、強くないね」
「ええ、そうね」
 穏やかな風が、みさきとわたしの髪を揺らしてゆく。
 みさきはわたしの手を離して、柵へと近づいてゆく。
「み、み、みさきっ! あぶないわよっ!」
「大丈夫だよ。ほんと、心配性なんだから」
 笑顔でそれだけを言うと、再び柵の向こうへと視線を向ける。
 わたしもみさきの横に並んで同じ方向を眺める。
 真っ暗な中、月明かりが遠くの山々を照らしている。
 穏やかな、優しい風は、わたしたちのほほを撫でて、
 ゆっくりと後ろへと流れてゆく。

「雪ちゃん、ちょっと変なこと聞いていいかな?」
「体重とスリーサイズ、そして色恋沙汰の話以外ならいいわよ」
「色恋沙汰の話は興味あるけど、今はそれ以外のことだよ」
 そこで言葉を区切って、みさきは小さく溜息をつく。
 少しだけ迷っている感じが横顔から受けて見える。
 わたしは黙ってみさきの言葉を待つ。
 小さく、ゆっくり震えるくちびるを見ながら。


8/15
732詩子さん ◆SHIIko2U :02/02/26 05:10 ID:hP0dH/VW
「お月様、どんな色しているかな?」
「お月様の色…?」
 その言葉を聞いて、わたしは顔を天へと上げる。
 まん丸の満月、ウサギの姿もはっきりと見える。
「どうかな?」
 少しだけ心配そうにみさきは再び口を開く。
「そうね、黄色かな」
「黄色なの?」
「うん、少しだけ灰色に近い黄色よ」
「そうなんだ」
 みさきもゆっくりと頭を上げて天頂へと視線を向ける。
 狙い済ましたように、その視線は月を向いている。
 けれども、その瞳には、映っているはずの満月の姿はない。
 ただ、漆黒の闇が広がるだけ。


9/15
733詩子さん ◆SHIIko2U :02/02/26 05:10 ID:hP0dH/VW
「もうひとついいかな?」
「ええ、いいわよ」
 その、わたしの声に、みさきは視線をわたしへと戻す。
 でも、視線は、少しだけずれて、胸のリボンのあたり。
 その視線のまま、みさきの口は開かれる。
「私、いまどんな色してるかな? 周り、今、どんな色、してるかな?」
 ちょっとだけ心配そうに、それでいて懇願するように、みさきはわたしに尋ねてくる。
 その質問を受けて、わたしはみさきの姿をしっかりと見据える。
 黄色い月、その月の光に照らされたみさきの姿は、蒼い色で覆われている。
 冷たくみえて暖か差を感じさせる、少し寂しげな、仄かな色。
 みさきだけじゃない、わたしも、そして、屋上も、
 遠く、雪をかぶった白い山並みも、
 みんな、みんな、月明かりで蒼く染まっていた。
「みんな、蒼い色をしているわよ」
「ほんとう!?」
「え、ええ、わたしが嘘ついているように聞こえる?」
 思いもよらないほど元気な返事に私は少しどもってしまう。
 でも、気にした風もなく、みさきの言葉は続いてゆく。
「だって…信じられなかったから…」
「なーに? あたしの言うことが信じられないっていうの?」
「あっ、ごめんね。雪ちゃんのことは信じているよ、でもね…」
 ぽつりと、そこで言葉を区切って、みさきは再び遠くの山へと視線を向ける。
 少しだけ強くなってきた風、わたしはみさきにさっきより少し近づいて、
 遠くの山並みを眺めていた。
 みさきの言葉が始まるのを待ちながら。


10/15
734詩子さん ◆SHIIko2U :02/02/26 05:11 ID:hP0dH/VW
●第4章 満月、伝える人

「先週、図書館行ったよね?」
「ええ。そういえば、一生懸命なにかの本を読んでいたわね」
 先週金曜日のお昼休み、食事の後、わたしとみさきで図書室へ行った。
 みさきは書架で本をじっくり探して、一冊の本を選び出す。
 そして、先に演劇の本を読んでいたわたしの横に並んで読み始めた。
 文字がひとつも書いていない本、指先で読んでゆく。
 ずっと、集中をとぎらせる事もなく、休み時間終了のチャイムにも気づかないほどに。
「あの本、なんだったの?」
「うん、目の見えなくなっちゃった女の子の話だよ」
「そうだったの」
 幼いころ、光を失ってから、みさきは時々似た境遇の話が書いてある本を読んでいた。
『私が困った時どうしたらいいか、教えてくれるんだよ。
 でも、本当に失ったことがない人の話には、見当違いなこともあるんだけどね』
 図書館で借りた本を胸に抱いてそう話してくれたのはもう2年以上前だったか。
「その本の中にね、お月様のことが書いてあったんだよ」
「お月様のこと?」
「うん、そうだよ」
 少しだけ視線を上へ、月がいるその方向へと向ける。
 やはり、きっちりと瞳は満月の方向を向いているその瞳。
 わたしも同じようにその月へと視線を投げる。


11/15
735詩子さん ◆SHIIko2U :02/02/26 05:11 ID:hP0dH/VW
「『空にはすでに黄色い満月。
  その姿は黄色いのに、
  その光はなぜ蒼いのか』
 そういう風にその本には書いてあったの。
 そんな話聞いたことないから、本当かどうか、確かめたかったんだよ。
 月も、その光も、全部黄色いと思っていたから。
 ごめんねつきあわせちゃって」
 みさきはこっちを向いて小さくぺこりと謝る。
 わたしは思わずその体を抱き締めてしまった。
「ゆ、雪ちゃん?」
「お願い、謝ったりしないで、お願いだから」
 少し冷えてきたみさきの体、その冷たさがわたしへと移ってくる。
 だんだんとぬくもりを帯びてくるみさきの体。
 みさきはただ、わたしに抱かれたままじっとしていた。
「ううん、雪ちゃん、ありがとう、私、雪ちゃんのおかげでまたひとつ新しいことを知ることができたよ」
 みさきの優しい声、緩やかな風の流れに乗って、わたしの耳に届いてくる。
「わたし、ひとりでがんばろうと思うんだけど、時々は雪ちゃんのこと、頼っちゃってもいいよね?」
 その言葉に、わたしは首を上げてみさきの顔を覗き込む。
「当然じゃない、わたしでよければいつでも使って」
「うん、ありがとう」
 わたしはしばらくみさきの体を抱き締めていた。
 みさきの手は、優しくわたしの髪を撫でていてくれた。
 その暖かさに、わたしはしばらく漂っていた。
 穏やかな風に、わたしとみさきの髪をやさしく揺らしながら。


12/15
736詩子さん ◆SHIIko2U :02/02/26 05:11 ID:hP0dH/VW
●最終章 満月、わたしたちの輝く季節へ
「そろそろ、かえろうか?」
「うん」
 腕時計を確かめるともう9時半を回ったところ。
 さすがにこれ以上ここにいたら怒られてしまう。
 みさきも家の人が心配しているはずだ。

 まずわたしが階段へと続く扉を開けて静かに中に入る。
 次にみさきが入ってくるはずだけど、扉を開けたままたたずんでいる。
「みさき? どうしたの?」
「うん、最後にもう一度だけ」
 みさきの瞳は満月の方向へ。
 見えていないはずなのに、きちっと視線は変わらずに。
 10秒ほどそれ見て、みさきはゆっくりとこちらに戻ってくる。
「もういい?」
 その顔を見つめながら尋ねる。
「うん、満月の時の風の匂い、風の流れ、暖かさ、たくさん感じたから」
「そう、それじゃいきましょう」
 そして、ゆっくりと、見つからないようにわたしたちは学校を抜け出して、
 無事、帰宅の途へつくことができた。

 みさきの家の前、玄関先、
「また一緒に見ようね」
 そう言っていたみさきの表情、月の光の、蒼さを漂わせたその表情は、
 とても印象深い、嬉しそうな表情だった。


13/13
737詩子さん ◆SHIIko2U :02/02/26 05:12 ID:hP0dH/VW
以上です。
レス番号が違う気がするけど、
気にしない、気にしな〜い。
738名無しさんだよもん:02/02/26 18:36 ID:HprtOSKO
どーでもいいけど、そろそろ新スレ考えた方がいいぞ。    
739つきのひと:02/02/26 22:47 ID:eyJwjwn0
◆絶望の淵で(1/6)◆
「……」
 どうしたらいいのか分からない。
 正直言って、何も考えたくない。思考能力なんてなければいい。頭が潰れてしまえば良かったのに。
 でも、どうしてもいろんな思いが交錯する。
 ひとりきりの時間というのは、ひとりきりの空間というのは。
 なぜこうも、想像力をつまらぬ方向へ駆り立てるのだろう…。

「浩平…?」
 ドアが開いた音の後。姿を見なくても…姿を見ることができなくても、この聞き慣れた声の持ち主の判別は容易だった。
「…なんだ、長森」
 こいつに悪意はないのだが、自然と唸るような、低い声での応対になってしまう。
「あ、起きてたんだね? クラスのみんなから、花貰ったよ。どう、いい匂いでしょ?」
 俺の顔の前に花をかざしているらしい。――甘い、俺の好きな匂いだった。
「……。ああ…」
 こいつの気遣いに俺は言葉が詰まった。
 『綺麗でしょ』ではなくて『いい匂いでしょ』。
 オレに起きた変化を、オレでさえ理解できない事態を、こいつは事もなげに受け入れている…。喜ぶべきか、悲しむべきか。複雑な心境だ。
「…花瓶ないんだね。…ナースセンターに行けば大丈夫かな」
「ああ…いつも悪いな」
「…うーん。そんなすぐにお礼を言うなんて、浩平じゃないみたいだよ」
(そうだよ。もう、今までのオレじゃないんだよ…)
「あ、そうだ」
 部屋を出ようとしていた長森が立ち止まる。
740つきのひと:02/02/26 22:47 ID:eyJwjwn0
◆絶望の淵で(2/6)◆
「川名さん、っていう人が面会に来たがってたけど…どうする? 連れてこようか?」
「それは勘弁してくれ」
「でも、すごく来たがってたけど…」
「いいんだ」
「……。分かった」
 オレは…オレにはもう、みさき先輩に会わせる顔がないんだから。

「…そうなんだ」
「ええ、だから…ごめんなさい」
「ううん、ありがとう。浩平君が元気だったら、いいよ」
「何か浩平に伝えたいこと、ありますか?」
「そのうちお願いするよ」
 浩平君が私を避けている。
 それが何を意味することなのか…。分かってるの、浩平君…?
 …やっぱり会わないといけない。今だからこそ、会わないと…。

 ……。
 もうオレの病室に見舞い客が来なくなってから何日経つだろう。
 あのお節介の長森や根性の据わった七瀬でさえ来なくなったもんな。…二人とも、やっぱり痛々しい姿の怪我人は見ていられなくなったんだろう。
 ひとりでいると頭の中で鳴り響くのは、将来への不安。…ようやくオレも現実が見えてきたということか。
(よく先輩はこんな状態で生き続けようだなんて思ったな…)
 枕元に立ち込める甘い花の香り。
 だが今のオレには、それを引き寄せることすらできない。
 そして、食事や排泄でさえ。
 ――このナースコールなしには、満足にこなすことができないのだ。
741つきのひと:02/02/26 22:48 ID:eyJwjwn0
◆絶望の淵で(3/6)◆
「折原さん…ですか?」
「はい。下の名前は浩平、です」
「その病棟は…面会時間、過ぎちゃってますけど…」
「でも、今会いたいんです。ここまで来るのに少し、時間が掛かってしまって…」
 多分、私のスカートは泥だらけだった。病院の空調に、濡れた部分が冷える。
「あなた、目が…?」
「え…」
「いえ、ごめんなさい。――分かりました、お待ちください。その前に…タオル持ってきますから。体、拭いてください」
「ありがとうございます」
 …こんな時に目が見えないことで例外の許可を得られるなんて。ちょっと卑怯だ。
 でもどんな形でもいい。
 浩平君に会わなきゃ…。

 病室の外で、複数の足音がする。…詳しい時間は分からないけど、面会にしては遅い。
 こんな時間に面会に来てもらえる――そんな幸福な病人が近くにいるのだろうか、羨ましい話だ。
 コンコン。
「……」
 コンコン。
「折原さん? 面会です」
 え?
「あ、はい?」
 ガチャリ。
 部屋の空気が入れ替わった。
「どうして…」
 誰が来たのか、一瞬で分かった。だから、オレの口からは非難の言葉しか出なかった。
742つきのひと:02/02/26 22:49 ID:eyJwjwn0
◆絶望の淵で(4/6)◆
「今日は雨なんだろ? 朝から雨音がうるさくてたまらなかったぜ…」
「雨でも来たかったんだよ」
「先輩には危なすぎるだろ…? 雨音で車の音もかき消されて。足元だって滑るし」
「それでも来たかったんだよ…」
「長森からも『来るな』って聞いてたはずだけど…」
「歓迎されなくても」
 ふわっ…。
 先輩の匂いがオレを包んだ。
「私が来たいと思ったから、来たんだよ…」
 ぎゅっと頭を抱き締められる。
「…失礼します」
 看護婦が慌ててドアを閉めて出て行った。
「…他人が見てたぞ、今のシーン」
「誰に見られても構わないよ…」
「ちなみに、オレの顔の前に先輩の胸があるみたいだぞ…」
「…ちょっと恥ずかしいけど、でも仕方ないよ…」
「……」
 オレは決定的なことを言わなければならない。だが、まだ躊躇っている。

 このひとは決定的なことを言おうとしている。
 私はそれを否定しなければならない。
 そのために、今日来たのだから。
743つきのひと:02/02/26 22:50 ID:eyJwjwn0
◆絶望の淵で(5/6)◆
「オレは…もう目が見えないんだぞ?」
「それがどうしたの…」
「もう先輩の手足にはなれないんだぞ…?」
「分かってるよ…」
「目が見えない者同士が二人手を繋いで仲良くしてても。それこそ道に迷うだけじゃないか…」
「……」

 オレには先輩の悲しげな表情が思い浮かぶ。

 今浩平君が見ているものは、確かに現実だけど。でも、それは一瞬のものなんだよ。
 そう教えてくれたのは――他ならぬ浩平君、あなたなんだよ。
 それを今から教え返してあげるからね…。

「目が見えなくても。希望があれば、生きていけるんだよ。自分の心に絶望が満ちてしまっても。他人が、希望を灯してくれることがあるんだよ」
「私が浩平君を選んだのは、便利な手足にしたかったからじゃないよ…」
「私が浩平君を『光』と呼んだのは、私にとって暗く、闇でしかなかった『世界』を明るくしてくれたからじゃなくて」
「心の暗闇を、取り払ってくれたからだよ…」

 オレは先輩の言葉を静かに聞く。オレの心を暖かくする。
744つきのひと:02/02/26 22:50 ID:eyJwjwn0
◆絶望の淵で(6/6)◆
「今度は私が浩平君の『光』になる」
「私が、浩平君の心の闇を照らしたい」
「…そんな存在に、私はなれないのかな…?」

 オレは言葉の代わりに、先輩の胸に顔を擦り付けた。

「わ、なんか直球すぎる答えだよ…」
「盲目初心者だからな」
「全然答えになってないよ…」
「一つだけ約束できることがある」

 オレは先輩の顔があるであろう方向に目を向ける。
「オレはいつまでも先輩のことが好きだ」

 浩平君の、しっかりと未来を見据えた視線を感じるよ。
 そんな浩平君に、私からの答え。

 チュッ…。
(完)
745つきのひと:02/02/26 23:00 ID:eyJwjwn0
>>739-744
以上です。
次スレ、誰が立てるんですか??
746名無しさんだよもん:02/02/26 23:32 ID:BVofbxvQ
>>745
テンプレはここの1と2をそのまま使って...........>>15のツッコミを忘れずにって所か
俺建てるけどいい?
747名無しさんだよもん:02/02/26 23:37 ID:4eD7bwAm
新しいかちゅだと下のほうにスレのサイズが出るね、こりゃ便利。
埋め立てできなかった本スレは永遠に過去のものになりそうだな
748つきのひと:02/02/26 23:47 ID:eyJwjwn0
>>746
お願いします〜。
749名無しさんだよもん:02/02/26 23:49 ID:BVofbxvQ
>>748
悪い、感想スレで請負人氏に権利を譲ってきた(w
俺は二番手で待機してるよ
750ずーれ立て請負人 ◆ZUREP.A.
最萌トーナメント支援用SSスレッド#2
http://wow.bbspink.com/test/read.cgi/leaf/1014735202/
〜♪