徹夜をすると字を書きたくなってしまう罠。
『お手伝いの女の子』 全2レスだよ。
「こんにちはっ♪」
「ありがとうございますっ♪」
茜とふたり、投票所に近づくにつれて聞こえてくる元気な声。
あたしたちは聞きなれない声に顔を見合わせる。
「あっ、かわいいっ!」
投票所に到着して最初に目に入ったのはかわいい女の子。
声の主もこの女の子だった。
「はいっ、どうぞ」
まずあたしの票。
「私のもどうぞ」
続いて、茜の票。
「ありがとうございますっ♪」
その女の子は、あたしたちが差し出す投票用紙を嬉しそうに受け取ると、
机の上に置いてある投票箱に優しく納めた。
あたしはその様子を見ながら、話し掛けてみた。
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「がんばってるね、お手伝いなの?」
「はいっ♪ 広報兼お手伝いでやってきましたっ♪
HMX-14C、コードですっ♪」
にっこり笑顔がとてもかわいい。
だから、思わず頭を撫でてしまった。
「あ、あのっ…」
少しだけ困ったような顔をしてうつむいてしまうコードちゃん。
「ずっとお手伝いなの? がんばってるね」
そんなコードちゃんにあたしは頭を撫でつづけながら言葉を伝える。
コードちゃんは瞳をこっちに向けて口を開いた。
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「そ、そんなことないですっ♪
皆さんが大切な一票を投票してくださってるんですっ♪
いろいろと考えて、いろいろと悩んで、ログを読んで、
そうして投票してくださるんですっ♪
ですから、わたしも精一杯、お礼をしているんですっ♪
これくらいしかわたしにはできませんけどっ♪」
しっかりとこちらを見つめて、はっきりとした口調でコードちゃんは言う。
「えらいねっ!」
そんなコードちゃんをあたしは抱きしめてしまった。
あたしの腕の中で少しもがくコードちゃん。
あたしはぎゅっと抱きしめたまま頭をなでつづけていた。
「詩子…」
不意にあたしを呼ぶ茜の声。
あたしは顔だけをそちらに向ける。
「目立ってますよ、詩子」
「あ…」
茜のその言葉にゆっくりとコードちゃんから離れる。
あたしたちはお互い真赤な顔をしていたけれど、
コードちゃんはすぐに笑顔に戻って、
「ありがとうございますっ♪」
そう、言ってくれた。
「ごめんね、それじゃ、これからもがんばってねっ♪」
「…がんばってください」
「はいっ♪ ありがとうございますっ♪」
あたしたちは笑顔で挨拶をして、茜とふたり、会場を後にした。
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