最萌トーナメント支援用SSスレッド

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591詩子さん ◆SHIIko2U
もしも茜が司のことを中途半端に忘れてしまったら…
そんな試みで書いてみたよ。
『わすれもの』 全2レス

 とてもたいせつなこと、わすれたこと、ありますか?
 けっしてわすれてはいけないこと、わすれたこと、ありますか?
 普通なら、忘れてしまったら、
 忘れたことさえ、忘れて、
 ずっと思い出すことは、ないはずなのに、
 …私は、なにを忘れてしまったのだろう。

 なにかを忘れてしまったことは知っている。
 大切なことであることも知っている。
 でも、肝心の内容が思い出せない。
 ヒントはたくさんあるけれど。

 詩子に逢うとき、雨の降っている日、
 近所の空き地の横を通りかかるとき、
 わずかに動く、心のよどみ。
 胸が少しだけ、締め付けられる。
 でも、思い出せない、その内容。

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592詩子さん ◆SHIIko2U :02/02/17 18:08 ID:v//89X4C
 だから、忘れてしまおうと思った。
 忘れていることがあることも。
 でも、忘れられなかった。
 忘れたくても、忘れられなかった。
 そのたびに心が揺れるから。
 忘れてはだめと、心の中が訴えるから。

 だから、私は思い出そうとした。
 詩子が逢いにきてくれるうちに、
 ふと思い出すのではないかと思った。
 雨が降る日に、窓を伝うしずくを見ているうちに、
 ふと、記憶がよみがえると思っていた。
 近所の空き地でしばらくたたずんでみた。
 ふいに、桜の花びらが水面に降りるように、
 私の記憶が舞い戻るのではないかと。

 でも、だめだった。
 何も思い出すことはなく、
 心のよどみが揺れるだけ。

 忘れることもできない、
 思い出すこともできない、
 私は出口のない迷路を、
 ただひとり、今日もさまよいつづける…

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