葉鍵板最萌トーナメント2回戦Round105!!

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58禁忌(タブー)1/5
ちーちゃん支援SS   「禁句(タブー)」

 事の始まりは1本の電話からだった。
『おっ、梓か?急に電話して悪いな』
『(えっ、耕一?ドキドキ)な、なんだよ。最近連絡もよこさなかったのに、一体どういう風のふきまわしだい?』
『いや、それにはちょっと理由が……それより、千鶴さんいるか?』
『(なんだ……あたしに用があったんじゃないんだ)まだ、鶴来屋だよ。今日は会議があるとかなんとか……』
『じゃあ、千鶴さんに、俺から電話があって明日そっちへ行って大事な話がしたいって言ってたって伝えておいてくれないか』
『えっ……ちょ、ちょっと耕一!!大事な話って……』
『あ、もう10円玉が無いな、じゃあ梓頼んだぞ』
 ツーツーツー……

 ガチャンッ!!あたしはおもいっきり受話器を叩きつけた。
「なんだよ、耕一の奴!!千鶴、千鶴って!!あんな偽善者のどこが良いってんだよ!!耕一は千鶴姉の本当の性格知らないからあんな……」
「何かしら?あ・ず・さ・ちゃん?」
 うっ……この声は……恐る恐る後ろを振り向くあたし……
「今日は会議が遅くてまいったわ〜、で、そんな所でいきり立ってて、どうしたのかしら、梓?」
 こ……これはやばい……
「あ、あのさ……千鶴姉……いつから見てたの?」
「あら、丁度電話を梓が叩き切ったあたりかしら、確か。その後何か面白い事を言ってたみたいだけど……」
 か、楓、初音!!どっちでもいいから来てくれ!!こ、殺され……あ!!
「そ、そそそ、そうだ、千鶴姉。さっきの電話耕一からで……」
「耕一さんから?」
59禁忌(タブー)2/5:02/01/23 06:31 ID:YPHfl9Ed
 よし、耕一の名前を出しただけで効果てきめん。
「う、ううう、うん。で、明日千鶴姉に大事な話があるからこっちに来るって……」
「まあ♪大事な話なんて……恥ずかしいわ♪きっと私にプロポーズでもしてくれるのかしら……『君に永遠の愛を誓おう』とか……きゃっ!耕一さんたら……」
 あーあ……完全に妄想の世界に行っちゃったよ。でも、おかげで逃げられそう……
「梓」
「は、はぃぃっ!!」
「会社に電話しておいて。明日は風邪引いて、休む事にしましたって♪」


 で、翌日……日曜日という事もあり、あたしや楓や初音は耕一の為の歓迎会の準備をしている。千鶴姉はさっきから浮かれっぱなしだ。
「ね、ねえ……梓お姉ちゃん……千鶴お姉ちゃんどうしたの?」
「……確かに、いつもの姉さんではありません……耕一さんが来る、という事を差し引いても、あれは……」
 まあ、朝から浮かれて踊ってりゃ誰だってそう思うわな……
「耕一さん!私……あなたの為にも……いい女になります!!」
 なんだかほっとくと、どんどん悪化しそうだ。
「あ〜……千鶴姉……浮かれてるとこ悪いんだけど。今日、休んじゃって本当にいいの?」
「大丈夫よ、耕一さんがプロポーズにくるんだもの。会社なんかどうだって良いわ〜」
 あ、やばい……それ、初音や楓は知らないのに……って、いつのまにか耕一、プロポーズしに来る事になってるし……。
「ええっ!!耕一お兄ちゃん……千鶴お姉ちゃんの事……」
「耕一さん……私の……思いは……」
 おいおい……初音も楓も落ち込んじゃったよ……あたしだってがっくり来てるってのに……
 ピンポーン♪
60禁忌(タブー)3/5:02/01/23 06:32 ID:YPHfl9Ed
「耕一さんだわっ!!耕一さ〜ん」
 千鶴姉が走る!!もちろん、あたし達だって走る。
「あの〜……MHKの集金ですが……」
「集金屋さん……あなたを……殺します」
「わー、待て待て、千鶴姉!!ほら、楓、初音!!後頼む!!」

「……集金の人、今帰ったよ……流石にびっくりしてたみたいだけど」
「もう、千鶴姉は耕一来るまでそこでおとなしくしててくれ!!さっきみたいなの続かれたら困るんだから」
「しくしく……」
 えーと……あとやっておく事は……
「初音と楓は料理の方作っておいて。あたしは千鶴姉見てるから」
「あ、料理なら私も……」
「却下!!耕一殺す気?」
「そ、そんな……私あれからも練習して……」
 練習の結果は……思い出したくも無い。たまは今だに獣医さんの所だ。
「ほ、ほら、千鶴お姉ちゃん。お姉ちゃんは耕一お兄ちゃんが来た時にちゃんと出てあげないと、だから料理は私たちが、ね」
 ナイスフォロー、初音。
「それもそうね……第一、これからいくらでも作ってあげる機会はあるし……うふふふ」
 どうにも、婚約者を前にする女性の目、というよりは獲物を狙う獣の目に見えるような気がするのはなぜだろう?

 ピンポーン♪
「今度こそ、耕一さんねっ!!」
「千鶴姉はそこで待っててくれ。あたしが先に行って来るから」
 そういってくぎを刺す。そして、玄関を開けると……
「よっ、梓。久しぶりだな」