梓 「姉貴・・・遅いよぉ」
千鶴「眠いよ・・・ふぁ」
梓 「あぁ、髪もボッサボサ・・・
なーんか、耕一居なくなった反動でてない?
姉貴は美少年趣味だったか・・・あはっ」
千鶴「まっ、かわいかったのは、かわいかったけどねぇ・・・ふふぅ」
梓 「なんだよ。キモチワルイなぁ、思いだし笑い?」
千鶴「なーいしょ・・・さっ、用意できたっと。行きましょ、梓」
耕一が彼の家に戻るその日、行方不明になった。
夕刻を過ぎて、あちこち擦り傷をつくり、服も靴も泥だらけだった。
叔父に「心配したぞ」と頭をポクンと叩かれても、終始無言だった。
彼らを見送り自室へ、空気の入れ替えに窓際へ寄ったとき、
それに気がついた。きれい色のキノコだった。土のついたメモ用紙が添えられている。
「千鶴おねえちゃん この前はごめんなさい おわびになにか探してみて
これが一番きれいに思えたのであげます ばいばい」
千鶴「・・・なんで、キノコなのかしら、へんな子、へんな子ね・・・ふふっ」
後年、大切に世代を重ねたそのキノコが、柏木家の食卓にあがり、
「千鶴=料理下手」を定着させる要因ともなりました。
どこから出したキノコか・・・思い出を大切にする姉さんは黙して語らないし、
耕一さんも忘れてしまってたのですね。
それではなんとも可哀想なので、書き送ります。
今度、姉さんに逢ったとき、耕一さんのキノコを・・・
楓 「・・・姉さん、何を書いてるの」
千鶴「(ぎっくぅ)」