葉鍵板最萌トーナメント2回戦Round104!!

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424玲子支援SS 1
「むー」
 柄にもなく深刻な顔で唸っている玲子を、和樹はゲームセンター
の前で見かけた。
 そのつもりは無かったのだが、店内に入って声をかける。
「どうしたの? 玲子ちゃん」
「あー、せんどーくーん。……えーっと、その……」
「どうしたの?」
 言葉を濁す玲子など見るのは初めてであった。それ以前に、深刻
な顔で思い悩む様子なども初めて見る。和樹は心配になってきて重
ねて尋ねた。
 対する玲子は玲子で、和樹が本気で心配しているのを見て取ると
隠し事などできるものではない。
「実は……ほら、それ見てよ」
「ん?」
 玲子の指差す先へ視線を転じると、そこにあるのはUFOキャッ
チャーであった。ブームは既に過去のものだが、ブームとともに去
ることもなく、今やゲームセンターの定番機といえる。
 和樹はその中に見覚えのあるぬいぐるみを発見した。
「これって前に玲子ちゃんがコスしてた……」
「うん、翔さま。カッコイイ翔さまがぬいぐるみになったらこんな
可愛くなっちゃって、もー、すっごくいいよね。せんどーくんもそ
う思うでしょ? ね? ね? ねー?」
「え、う、うん、そうだね」
425玲子支援SS 2:02/01/22 22:28 ID:gfxbksGk
 適当に合わせつつ、和樹は思い当たる。
「あ、玲子ちゃん。あれが欲しいんだ」
「よくぞ察してくれました。あれ、今日入ってきたばかりなの」
「チャレンジしてみたら?」
「ダメダメ、あたし、全然上手くないのよー」
「へえ」
「でもね……」
「うん」
「ここに鍵があったりして……」
「……うん」
「これをそこの鍵穴に刺して回したら空いたりして……」
「……だろうね」
「ゲーセンの店員のあたしが空けて中をいじっていても、店長がど
っか行ってる今、咎められる可能性はゼロに近かったり……」
「……やるの?」
「と、思ったんだけど。止めた。そんなことして手に入れても、翔
さまは喜ばないと思うんだ」
「そ、そうだね」
 とりあえず、和樹は知り合いが悪の道を踏まぬのを喜ぶことにし
た。
426玲子支援SS 3:02/01/22 22:28 ID:gfxbksGk
「それどころかお仕置きされたりして、翔さまの真っ赤な炎があた
しを焼いて……あ、でもそれいい。翔さまに焼かれるならこんがり
焼いて〜、って感じだよね☆ せんどーくんもそうでしょ? ね?
ね? ねー?」
「……うん」
「にゃはははは☆ 実はせんどーくんは隠れ翔さまファンだったん
だねー。嬉しい〜」
「あ、いや、その」
「にゅふふ、恥ずかしがらないでも、けっこう男の人で隠れヤオイ
ファンって多いんだよ〜。そだ! 今度翔さまメインで描いて描い
て〜、せんどーくんの漫画面白いから、千歩譲って非ヤオイでもい
いから〜」
「う、うん、考えとくけど……で、そのぬいぐるみどうするの?
諦めるの?」
「うーん、あたし、あと十分であがりなのよ。だから、今のうちに
翔さまを取りやすい位置に移動させておいて……」
「それなら……ギリギリ犯罪じゃないと思う」
「んー、でも、やっぱり止め。正々堂々と取らないと翔さまに悪い
から」
 変なところで頑なに律儀である。