葉鍵板最萌トーナメント2回戦Round101!!

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882琉一
 だめ……もう帰れない。ひとりぼっちだったあの頃には、もう帰れない。
 こんな寂しい場所で、一人で練習して、一人で強くなっていくなんて、もうできない。 暖かい場所を知ってしまった今は、もう、戻れない。
 それは弱さなの? わたしは弱くなってしまったの? だからもう、一人で強くなっていけないの?
 自分への疑問が脳に渦巻く。
 それでもよかった。
 たとえそれが弱さでも、あの温もりをもう一度失うことに比べたら……。
「先輩っ……先輩っ……先輩……っ!!」
 叫んでも、泣いても、返ってくる言葉はない。
「私は、もう先輩と一緒じゃなきゃ、強くなれない…………」
はっきりと分かってしまった。
 自分が浩之のことをどう思っているか。なにを求めているか。
 答えを聞かないといけない。
 想いを伝えないといけない。
 そうでないと、これから先、自分は強くなっていけない。
 そして……残酷な答えが返ってきたら、自分はどうすればいいんだろう。
『大丈夫、葵ちゃんは強いっ!』
 そう言ってくれたときの、あの人の顔が浮かんだ。
 自分の中のなにかを、決定的に変えてくれた言葉。
 その力は、あの時の言葉のなかに、本当に自分を信じてくれる、強い想いを感じたからこそ生まれた。
 自分を真っ直ぐ見つめてくれる、瞳の奥にのぞいた……。
「先輩……信じて、いいの……?」
 そう、恐る恐る訪ねながらも、サンドバックの上の拳は、きゅ、と握られた。