葉鍵板最萌トーナメント2回戦Round101!!

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879琉一
 何度も自分に、『前と同じに戻っただけ』『先輩は、すぐに帰ってくるんだから』と言い聞かせた。
 だけど励ましてくれる声も、心配してくれる声も、誉めてくれる声も、何一つない。
 それが無性に悲しかった。寂しくて寂しくて、心が壊れそうになった。
 言い換えれば、どれだけ浩之という人間が、自分にとって大きい存在になっていたかが分かる。
「先輩の、声が聞きたい……」
『え? 今の、もう一回やってくれないか?』
『葵ちゃんは、俺なんかよりずっとすごいからな』
『よっしゃ! いいぞ、葵ちゃん!』
 浩之の言葉、顔、しぐさを思い出すたび、かえって悲しさは募った。
 思い出というものは、悲しみを埋めることはできないんだと、初めて知った。
「先輩、先輩、先輩…………」
 名前を呟くたびに、こぼれてくる涙。
 悲しみが生み出す心のかけらが、零れて頬を伝う。
 それはひどく綺麗なのに、ひどく残酷なものに見えた。
「う……わ…………ああああああぁっ!」
 絶叫のような泣き声が、喉から溢れた。